表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
坊主と白い蝶のはなし  作者: ぽすしち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/22

『秘薬』

 

 ※※




 チョウイチは、うまれてからこのかた、仕事が楽しいと思ったことなど一度もなかった。


 できれば女のヒモになりたいと思っていたが、腕っぷしに自信はなく、本当のやくざものになる気もなかった。

 手近な女からおとしていったら、村にいられなくなった。

 ここに住み着いて、宿場の御用聞きの手下のようなことをして金を稼ぎ、宿屋で客をとる女をおとし、金をみつがせた。

 またしても、あっというまに居場所がなくなった。



 親分である男にまでにらまれ、てめえは女でしか生きていけねえ腐れ者だとののしられた。

 

 女から巻き上げた金でいっしょに騒いでいたやつらも離れてゆき、最後の女にも愛想をつかされたとき、それを見たのだ。

 



 稲荷神社の賽銭箱でもあさろうかとおもい、夜中にほっかむりをして畑の中の社へむかった。

 竹藪に囲まれて灯篭もないそこは真っ暗なはずだったが、なにやらぼうっとあかりがみえる。


 提灯だろうかとおもいそっとよっていけば、ぼそぼそと話す声がきこえた。



「―― はい、こうして人として無事にいられるのも、すべてあなたさまのおかげでございます。このままあの方と添い遂げ、命をおえたいとおもうておりまする。ええ、ええ。もちろんあのかたはわたくしの正体はぞんじませぬが、うっすらとは・・・。もちろん、この秘薬は大切に大切に」


「何の『秘薬』だって?」

 この機会をのがしてなるものかと、チョウイチは相手の正体もみきわめずに竹藪から飛び出した。


 耳にした声は透き通った女の声で、提灯にうかぶ姿も紗をかぶった女に見えたので、こわくなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ