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dilatancy, direct kiss

私はいま、富士山ほどの高いところにいる。

空気は冷え乾燥している。

飛行機の立てるエンジン音がうるさい。「記憶想起実験」というものを私はしている。

危機的な状況に陥ることで、前世の人間だった記憶を思い出させるという実験だ。

実験が起こるのは突然だ。

その方が効率的に思い出させてもらえるからだ。

アイムは人に近づきたがる。

前世持ちから、少しでも多くの記憶を引き出したがる。

だからいま私は高所から飛び降りる。

アイムには骨がない、人間に組み込まれたダイラタンシーの能力のおかげで陸上でも問題がない。

私は今乾燥対策のために、人間の記憶でいうラバースーツを着ている。

頭と十の腕を覆うラバースーツは、無色透明だ。

パラシュートを背負う。

そして、空に出る飛行機の後ろに向かう。

「記憶持ちNo.415アンバー、行きます。」

予告なしに落とされた前よりはマシか。

飛行機から飛び降りる。

体全体が浮遊感に包まれる。

飛行機があっという間に上に行く。

あっという間に下に落ちていく。

湿度が多く、灰色の曇り空が当たり前の世界で、スカイダイビングの時だけは鮮やかな懐かしい青が見れる。


落ちる恐怖と同時に懐かしい気持ちが蘇る。

まるで四月、春ような暖かくて澄んだ空、こんな綺麗な空ならさぞ桜が映えそうだ。お花見したいな。白いご飯に黒い海苔が巻かれたおにぎりに、真っ赤なタコさんウィンナー、黄色で断面が白身とマーブルな卵焼きが入った弁当、それを家族と一緒に笑いながら食べるんだ。

さくらみたいな。

おにぎり、タコさんウィンナー、卵焼きたべたいな。

またあの家族に会いたいなー。

記憶が想起した。


落ちても頭にダメージがないように、ある程度の高度になればパラシュートは開くようにしているそのはずだった。

ある程度の高さでパラシュートを開く。

地面に近づく速度がゆっくりとなる。



パラシュートが絡まった。

飛んでいた小型のフライングフィッシュの群れが絡まったせいだ。

落ち着いて、用意された糸切りでパラシュートを切る。

そして予備のパラシュートを開くが遅い。

降りる予定だった岩の地面がが迫る。

このままじゃぶつかる。


アイムは骨がないから骨折はしないけど、ラバースーツが破れたら、肌が乾燥して、病気にかかりやすくなる。そうなったら病院だ。


もうずっと病院なんて嫌だ。

みんなと一緒にお家に帰りたい。

一緒にご飯を食べて、お母さんのお手伝いやお父さんとテレビゲームもっとたくさんしたかった。

想起がまた起こる。


痛みを覚悟する。

「アンバー!腕を広げろ!」

遠くからタンザの声が聞こえた。

下で待っていたのだろう。アイツは実験にさらわれるように連れ去られていく私をいつも迎えにきてくれる。

咄嗟に10本の腕を開く。

少し遅くなったが、それでもダメだ。

もう間に合わない。

そう思い。

目を空に向ける。

痛みから目を背けるために。

「間に合え!」

その声と同時に私は硬い岩肌ではなく、タンザの柔らかな十本の腕に包まれた。

「タンザ!」

私は覆い被さるパラシュートを切り払い、下敷きになったタンザを見る。

「大丈夫、俺は頑丈で強いから」

私を腕に包んだまま、下敷きになっていた頭を出して、目を合わせできた。

「大切な幼馴染を守れたのだから」

「タンザ」

私はタンザを抱きしめる。

「それに久しぶりにキスはもらえたから、お釣りが来るくらいだ。」

下を見ると、ラバースーツの口の辺りが破けていた。

私はなんとも言えない恥ずかしさになった。

タンザと絡まった手腕をいち早く解きたくなった。

しかし動かない。

「アンバーさん、タンザ君無事か!」

研究の責任者である博士タコが私たちを見つけて、駆け寄ろうとしたが、様子を見て足を止める。

「お熱いところ悪いが、ここは乾燥地帯。体に悪いぞ。

さっさと帰って、想起したことを書き出したら、ひたすらいちゃついてくれ」

「博士違う。落下、ショック、筋肉、動かない。助けて。」

「私も同じです。博士、助けて」

下のタンザ、同じ状態のようだ。



後にこの落下事故には名前がつき、私らが死んだあと、少女漫画から映画化されたりする。









カオスな世界。彼らの関係は察してください。主人公少し大変な目に合います。

主人公たちはイカとタコの姿をしています。

本当にイカとタコです。

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