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誰かのせい

作者: かわ

大国で感染が発見されたその伝染病は瞬く間に世界中に広がり多くの人の命を奪った。


各国の政府はそれぞれのやり方でその被害をできるだけ押し留めようと努力した。他国からの入国や帰国を完全に遮断する国、有無を言わさず感染者を殺す国、神へ信仰を捧げる国。


しかしどのやり方もはっきりとした成果は出ず、感染症による被害はどんどん大きくなっていった。自分だけでも助かろうと思って政府の決めたルールを破る者もいた。


ある時、ある国のある国民が言った。


「この災禍が全然収まらないのは政府のせいだ。政府がもっと優れた策を用意すればもっと早い段階で食い止めることができたはずだ。」


それに対して政府も言い返した。


「私たちは十分努力している。この災禍が収まらないのはお前たち国民のせいだ。お前たちがもっと私たちの決めたルールに従っていればもっと被害は少なく済んだはずだ。」


そうやって政府と国民が責任の擦りつけ合いをしている所にみすぼらしい女が来て言った。


「この災禍による被害は全て私のせいです。私が幼い頃から未曾有の事態に備えて努力していれば、例えば誰よりも優れた医者になって全ての被害者を救えたかもしれません。例えば誰よりも優れた情報網を用いてパンデミックを防げたかもしれません。例えば誰よりも優れた研究者になって世界中の感染者にワクチンを素早く与えることができたかもしれません。例えば…」


国民も政府もみんな、言い争うのをやめた。


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