優しい異世界にやって来た!
学校帰りに車に轢かれたところ、お約束のように光に包まれて真っ白な世界に連れて行かれた私、加瀬野々花。
お約束のように美形なお兄さんだかお姉さんだか謎な人物がいて、自分は神様だって。そんな自称神様に、自分の世界に来てくれと言われました。魔物が増えすぎて自分の世界の人間では手に負えなくなっていると。
元の世界に帰りたいと伝えたら、お約束のように元の世界では死んでいますと言われた。絶望の余り泣き叫ぶ私。まだ高校生だった。どれだけの間泣き叫んだかわからないけれど、自称神様は私が落ち着くまで気長に待ってくれた。
お約束のように私の世界に来てくれるなら年齢は変わるけれど、チートを付けましょうと言われた。
そしたら頷くしかないじゃないですか。
元の世界に戻りたいって言っても私、死んじゃっているらしいし。
仕方ないから私は自称神様の言うことを了承した。
私、ブームに乗って異世界に召喚されました。加瀬野々花17歳。花も恥じらう女子高生でした。
自称神様、年齢操作は構いませんよ。子供になって無双する、夢がありますね。そう、若返るなら構いません。
何故!年齢操作で年を取らせた!!実年齢+50歳ってどんな無理ゲーですか!!
私も子供になりたかった!大人にチヤホヤされて過ごしたかった!
チートを付けると年齢が変わると言われたけれど、普通は若返ると思うじゃない!
四捨五入で70歳のばあちゃんに、世界が救えるとでも思ったのですか!?
無理に決まっているでしょう!
そんな頭だから自称神様の世界は魔物に占領されちゃうんだよ!
森と思われるところにポツンと取り残された私。服装は元の世界のまま。そう、制服です。
ありえない、ありえないよ!
どこの世界に推定70歳のおばあちゃんが制服姿で召喚されるの?この世界だよ!とんだ黒歴史だよ!
絶望しかない。世界よりもまずは私を救ってほしい。腕のシワを見ながら涙が流れそうだ。ミニスカートからはダルダルのシワシワな足がのぞいている。あ、あんなところにシミが!
取り合えず自称神様、呪われろ!禿げてしまえ!!
『ピーン』
『コノセカイノカミ オリーブハ ノロワレマシタ』
頭の中で何か聞こえた。機械で作ったっぽい声で何かが呪われましたって聞こえた!
どこか遠いところから、ギャーって悲鳴が聞こえる。うん、気のせいだな。私は何も聞いてない。
とりあえず人がいる所を目指そう。その辺に落ちていた気の棒を拾う。無いよりはましだろう。
装備が木の棒だけだなんて心もとなさ過ぎる。せめて鉄の剣くらいは欲しい。装備できるかわからんけど。
そもそも私は剣士?魔法使い?それとも遊び人?大体異世界に飛ばされた主人公は鑑定が使えるはず。心の中で鑑定と言ってみる。反応は無いようだ。
「鑑定!」
声に出して言ってみる。反応は無いようだ。うん、無駄に恥ずかしい思いをした。
さっきは頭の中で声がしたから何かしらの力は備わっていると思われる。よく思い出してみよう、さっき私は何を思った?
「呪われろ、禿げてしまえ?」
うん、私は多分呪術師だな!思いっきり呪われろって願ってた!
絶望的だ。呪いでレベルが上がる気がしねぇ!何?この世界は禿げて救われるとでもいうの?アハハ、魔物みんな禿げろってか?禿げてしまえ!!
『ピーン』
『マモノハ ミナ ノロワレマシタ』
また頭の中で声がした。それも何か恐ろしい言葉が聞こえたような気が。
――――!!!!!――――
――――!!!!!!!!――――
――――!!!!!!!!!!!!!――――
なんかいたる所で悲鳴?鳴き声?が聞こえてくる。
『ピーン』
『レベルガ アガリマシタ』
『ピーン』
『レベルガ アガリマシタ』
『ピーン』
『レベルガ
・
・
・
なんが一気にレベルが上がった!
頭の中ですっごいレベルが上がりましたって言ってた!自称神様さっきは呪われろなんて言ってごめんなさい、この世界、超チョロかった!自称神様の呪いだけ解けろ!
『ピーン』
『コノセカイノカミ オリーブノノロイハ トケマシタ』
頭の中で声がした。どこか遠いところからヤッター!生えてきた!!って声も聞こえた気がした。
ん?心なしか腕のシワが薄くなった気がする。足にあったシミも薄くなっているような?
もしかしてレベルが上がると元の年齢に戻るとか?
私どれだけの魔物呪えばいいの?さっきの禿げろって呪いだけでも魔物たちと思われる悲鳴が木霊していたのに。ちょっと魔物がかわいそう。
人を呪わば穴二つっていうけど、私にも呪いが返ってくるのだろうか?だとしたら禿げろ位の呪いがいいのかもしれない。
よし。魔物には悪いけど、ちょっと不幸になってもらうことにしよう。ゴメンね、恨むならこの世界の自称神様を恨んでね!
推定年齢50歳。加瀬野々花、元の年齢に戻れるよう頑張ります!!
とりあえずこれで終了です
もしかしたら続きを書くかもです