サポートキャラの最後はヒロインと一緒。
舞踏会が終わった翌日から、私は…私達家族やカイルは忙しく結婚式の準備に追われ…シャロン様の屋敷で過ごすことになったフィーナの事など考える暇もありませんでした。
今日はカイルと式を挙げる教会に下見に行き、今は帰りの馬車の中で…はしたないけれどマーサが二人きりの空間にしてくれたので…つい弱音を吐いてしまいました。
「カイル…少し疲れたわ。」
「僕も、イージュに会える時間が少な過ぎて…疲れがたまってる…ん…。」
チュっと隣り合わせに座るカイルが私の頬に口付け直ぐに離れていった。
「カイル!」
「僕は、疲れが取れたみたい。」
イタズラが成功した子供の様に無邪気に笑うカイルを見て私も…。
チュ、とカイルの頬に口付けるはずだったのに馬車が揺れ、頬か少しずれてしまって唇の横に口付けてしまい。
「イ、イージュ!」
カイルは自分から私に口付けた時は余裕のある笑顔だったのに…
「カイル?顔が真っ赤だわ」
「イージュのせいだからね!」
コンコンっと、御者台からヒーニアスがノックする音が聞こえ…。
「二人とも、そろそろハルスクーダ公爵家に着きますよ。」
「わかった、今日は確か…。」
「カイルが手配してくれた、教会で着るドレスが届く日よね!」
カイルが私のために、ウェディングドレスを作ってくれていて今日屋敷に届く事になっていて、ハルスクーダ公爵家でもウェディングドレスを作ったのですがそちらは披露パーティーの時に着る事になっています。
「帰ったら直ぐに着たいわ、カイル時間はある?」
「大丈夫だよ、僕が送ったウェディングドレスを着たイージュを一番に見たい。」
「カイル…私もカイルに一番に見て欲しいわ」
「…もうドアを開けても?」
いつの間にか馬車は止まっていて、御者台に居たはずのヒーニアスが馬車のドアを開け問いかけできた…。
「ヒーニアス!」
問いかけと一緒にドアを開けたヒーニアスをカイルが注意しようとしていたけれど…。
「ジューンがいないわ?」
私の馬車が屋敷に着くと、ジューンが出迎えにでているはずなのに、今日はジューンもメイド達も何故か屋敷からでて来ません。
「何かあったのかしら?」
ヒーニアスに向け、カイルが怒っているのを尻目に私は屋敷のドアを開け中を覗いて居ると。
「お嬢様、お待ち下さい。」
「イージュ!ヒーニアスに先に中を調べさせるから!」
「カイル殿下!」
玄関ホールの階段の上から…私の…ウェディングドレスを着たヤード男爵令嬢と…白のドレスを着たフィーナがカイルの名前を呼びながらバージンロードを歩くように、ゆっくりと階段を降りてきて…。
「イージュ!」
私が着るはずだったドレスを身に付けた、男爵令嬢をみて私は目の前が真っ暗になり…意識を手放しました。