人間の強さ
あの放送があってすぐ、日本中で動きがあった。
オッサンたちが立ち上がり、救助に、戦いに臨んでいった。
リストラに飲み込まれてなお、それを自らに封じ、この災害に立ち向かったのだ。
特定精神検診で生ける屍となっていたオッサンたちも、リストラに飲まれる事で、逆に己を取り戻した。
ストレスは誰しも抱えるもの。
それと戦う心こそが、人間の強さだ。
そして、戦う男とは、家族を守る者だ。
立ち上がったオッサンたちは、その拳を虐げていた者に向けるのではなく、家族の為に振るった。
その中には、山東や神林だけではなく、小此木やドギーの姿もあった。
彼らは、力の限り戦った。
瓦礫を押しのけ、リストラと組み合い、怪我人を運び、食料を届け、インフラを修理し、と獅子奮迅の働きを見せていた。昔取った杵柄は、今も健在だったのだ。
それはこれまで、窓際に追いやられていた者たちが、本来持っていた力を発揮した瞬間だった。
その姿は、絶望していた人たちに希望を与えた。
人々もまた立ち上がった。
女たちも戦った。
子供たちも戦った。
お年寄りも戦った。
未曽有の大災害を前に、時代錯誤がどうのなど、もはやどうでもいい話だった。
人々はがむしゃらに戦い、そしていつしか、リストラという名のバケモノは、どこにも居なくなっていた――




