表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/39

夢2

 今でも夢に見る。

 母が父を罵っている。

 最後の日だと言うのに。

 父は、玄関でみっともなく泣いていた。

 その手にはビジネスバッグ。

 たったそれだけ。

 父の、家の中の居場所は、たった五〇センチ四方のバッグに収まるほどにしかなかったのだ。

 父が最後に、私に何と声をかけたか、思い出せない。

 頭に手を乗せ、何か言った気がする。

 思い出せない。

 いや、顔ももう思い出せない。

 父が去って締められたドアの、そのシミの数すら覚えていると言うのに。

 母は勝ち誇っていた。

 邪魔者を追い出して満足げだ。

 これから何年も不機嫌な顔をして毎日を過ごすことになるのに。

 この時点ではそんな事はわからない。

 ただ、部屋を大掃除した時のような充足感だけがあったのだろう。

 捨ててはいけないものを捨ててしまった大掃除。

 胸に空いた大きな穴。

 いつまで経っても埋まらない。

 埋まらない――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ