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夢1

目の前にいるのは、巨大な白熊だ。

 でかいなんてもんじゃない。

 流石に無理があった。

 あんなもの、人間の勝てる相手じゃない。

 殺される。

 そもそものプランに無理があった。

 漫画に出てきた修行法を片っ端から試してみようなんて考えるべきじゃなかったんだ。

 丸太で山下りも、猪と相撲も、なんとか生きてただけだ。

 たまたま死ななかった。

 でも、今度は死ぬ。

 足、速すぎる。もう背中に鼻息かかってる。

 あれ? 背中向けて逃げちゃいけないんだっけか。

 戦い以前に、目が逢った瞬間死ぬと思ったし、逃げるのは当たり前だ。仕方ない。

 だから見逃してくれ白熊よ。まだ何もしてないし。

 ダメだ。寒すぎて関節が固まってる。全然思うように動けない。

 死ぬ。

 間違いなく死ぬ。

 いや。

 オレは何をしているんだ。

 戦うためにここに来たんだろ。

 だったら、戦って死ぬ。

 背中を見せるのは、白熊なんかにじゃない。

 オレが見て来たのは親父の背中だった。

 だったらオレも、逃げる背中は見せられない。

 誰も見ていなくてもだ。

 かかって来い。熊野郎。

 拳を握りしめた直後、視界が赤く染まった。

 そんなはずはない。

 まだヤツの爪はオレに届いていない。

 これは血の赤じゃない。

 違う赤。

 頭上のあれが放つ赤。

 あれは何だ。

 空を切り裂く、巨大な火の玉。

 空気が思い切り振動し、雪焼け防止のゴーグルが砕け散った。

 白熊が、あたふたして逃げ出す。

 瞬間、世界が輝いて――

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