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女子会って自由ですね……。

前作を読んで下さった方々に本当に、本当に感謝致します。ありがとうございます。

 本日は瑠美ちゃんのバイト先であるファミレスで女子会です。


 メンバーは私と瑠美ちゃん、沙樹ちゃんと井澤さんと青木さん。それから女子リーダーの美希ちゃん。


「あのぉ……それでぇ……ぼっ、ぼくはどうして……」


 U字の座席の奥に押し込められた、バスケ部一年生久保くん。


 ……女子会ですよ?


 久保くんは何処かの駅で沙樹ちゃんが確保して来たようです。きっと部活に行く途中だったんでしょう。可哀想ですが何事も諦めが肝心です。頑張れ久保くん。


「で、かなは何が聞きたいって?」


 大盛りポテトの一本を私の顔面に突き出し聞いてくる瑠美ちゃん。食べ物で人を指してはダメです。


「何だか言い辛いんですがぁ……。」


 なぜか私ソファーに座らせてもらえず、お誕生日席で全員の好奇の視線の的になっています。


「気にしなくても、女子だけだし疑問に思っていることや知りたいこと何でも聞いていいのよ?」


 いやいや、久保くんいますけど。


「そうそう、ここじゃないと聞けないことあるでしょ?」


 青木さんと井澤さんのメロンペアがニッコリと微笑んでいます。普通にしているだけなのに何でしょう?この半端ないフェロモンは。恐ろしいです。


「山田 佳奈恵くんが聞きたいって言うのは佐藤くん絡みではないのかね?」


 おおおおおお〜〜ッ‼︎ さすが新聞部次期部長!


 思わず拍手です!座布団三枚です!


「佐藤?じゃぁ、この子がここにいるのはそのため?」


 美希ちゃんがオムライスを掻き込む久保くんを見ます。


「使えそうかなぁと思って連れて来ましたが、ビンゴでした。」


 沙樹ちゃん、得意げに瑠美ちゃんを見て褒めてもらおうとしていますがその瑠美ちゃんが身体ごと向きを変えて見ないようにしています。沙樹ちゃん残念!


「えっ⁈ 拓真先輩絡み⁈ 」


 ……久保くんオムライスのソースが口もとに付いてます。


「佐藤の何が聞きたいの?何処に住んでいるのか?それとも家族構成?学校の成績?じゃなくて過去に付き合った女の数?」


 はぁ?何言い出すの?瑠美ちゃん!


「……住んでる所は知っていると思うから省きます。後、家族構成は祖父母と同居しておりまして父親母親、三つ離れた兄がおります。学校の成績はアレでなかなか良い成績で、だいたい二十番内には入っています。で、今まで付き合った女の数ですがーーーー」


「田中、そこまで。」


 瑠美ちゃんが言い出したのにそんな怖い顔で沙樹ちゃんを睨まない!


 沙樹ちゃんも嬉しそうな顔をしない!


「えっ?何人か教えてよ。」


 そこまだ聞く?美希ちゃん!


「あっ、ぼくも聞きたい……。」


 だから!口の端にソースついたままだってばッ!


「……後で……。」


 沙樹ちゃん!



 で、仕切り直しです。


「ほら、佐藤くんからいろいろ貰っているけど私から何かあげたことが無いから、どんな物だと喜んでくれるのかなぁと思って……」


 いっつも私ばかりが嬉しくて、はしゃいじゃってるから、佐藤くんにも喜んでもらいたくって……。


「ーーーー何だか身体がかゆい。」


 何で今身体がかゆくなるの?お風呂ちゃんと入ってる?美希ちゃん。


「ーーーそうだね。ムズムズするね。」


 井澤さんまで!


「別にかながあげた物なら何でも喜ぶでしょう?」


「その辺に転がってる石だって、今の佐藤くんなら泣いて喜ぶでしょう。」


「瑠美ちゃんも沙樹ちゃんも面倒臭さそうに言わないでっ!ちゃんと考えてよ!」


 聞いてくれるって言うから聞いたのに!


 私だって恥ずかしいんだからねっっ!


「難しく考えなくてもいいんじゃない?普段使うような物とか……」


 黒井くんの彼女であるあなたの言葉を待っていました!青木さん!


「普段使う物?」


 聞き返すと青木さんが頷いてニッコリと微笑みます。


「そう。学校で使う物だとか部活で使う物だとか、学生らしい物?かなぁ。」


「そうだね、高価な物貰っても宝の持ち腐れだし……。」


 瑠美ちゃん!フォークで刺した唐揚げ振っちゃダメです!


「かと言って、貰ってテンション下がるような物もねぇ……。」


 大きく口を開けてクラブサンドを食べる美希ちゃん。


 ……クラブサンド、美味しそう……。


「山田 佳奈恵くん。それは佐藤くんの誕生日にあげる物ではないよね?」


 沙樹ちゃんがメモ帳をめくりながら聞いてきます。


「うん。誕生日は過ぎちゃったから、クリスマスプレゼントで………。」


「「「「「「クリスマスプレゼントォ⁈ 」」」」」」


 いやぁぁぁぁっ‼︎ 何でみんないっせいに言うのっ!


  今一瞬お店の中が静かになったよ!チョー恥ずかしいでしょう!


「……そうきたか……。」


 瑠美ちゃん?なぜ眉間にシワを寄せてこめかみを揉むの?


「……年に一度のビックタイトル……。」


 乙女のように胸に手をあててうっとりする美希ちゃん。大丈夫?


「……やっと……」


 久保くん?なぜ泣きそうなの?目がウルウルだよ?


「……ふふふふっ。」


 沙樹ちゃん⁈ 満面の笑顔が怖いよっ!


 クリスマスプレゼントってだけだよ?反応おかしくない?


「佳奈恵ちゃんは、刺繍なんてできるの?」


 テーブルに肘をついて手に頭をのせて私を見る青木さん。


「刺繍?う〜〜んどちらかと言えば苦手。どうして?」


「今は夏休みでクリスマスまで時間があるでしょ?だからと言って、手作りは重いからイニシャルぐらいの刺繍なら良いんじゃないかと思って。」


「そうだねぇ。例えば部活で使うタオルなんかにイニシャルを入れるとか?やってる子結構いるんじゃない?汗拭く度に彼女の刺繍が目に入って、ヨシ!頑張るぞぉっ‼︎ てね。」


 ニンマリ笑う井澤さんの言葉以上に目が何かを訴えているみたいなんだけど、私にはわかんないから。


 でも、そうかぁ……タオルに刺繍ねぇ。


 ふむふむと頷いていると、


「ドリンクバー行って来る。」


 瑠美ちゃんが席を立ちます。


「あっ!私も行く!」


「私も行こっ!」


 青木さんと井澤さんも立ち上がります。


「ぼく……そろそろ……。」


 みんなが席を立ち、動けるようになった久保くんがジリジリと奥から出てきます。


「久保くん!君は佐藤くんを近くで見ていたのだからわかるだろう?佐藤くんには何が必要だい?」


 沙樹ちゃんが、脱出を試みた久保くんの肩をガシッと掴んで阻みます。


「拓真、先輩……に?必要?」


「そうだ。何だと思う?」


 久保くんが私をチロっと見ます……?何か?


「……山田先輩?」


 ?私?どう言うこと?


「正解だ、久保くん。褒美にケーキセットをご馳走しよう。その前に君もドリンクバーに行くぞ!」


 えええっ⁈ 瑠美ちゃん以外にその笑顔?沙樹ちゃんどうしたのっ⁈


「いやっ‼︎ ぼく部活ーーーーっ」


 胸ぐら掴まれて引きずられて行く久保くん。


「……何も説明無し?」


 ゔぅぅぅっ!何なんだっ!


「難しく考えないの!そのまんまのことだから。」


 私の頭をぐしゃぐしゃと撫でてドリンクバーに行く美希ちゃん。


 みんなが集まったドリンクバーが賑やかです。


 私は誰も居なくなったテーブルを見渡し大きくため息を吐きました。


「結局、久保くん必要ないよね?」


 佐藤くんが喜んでくれる物って何だろう……。





もう少しお付き合い下さい。

読んで頂きましてありがとうございました。

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