01話 馬鹿にされている気がするステータス
5/8
文章を書き直しました。ストーリーに変更はありません。
「――異世界に転移しました。チートスキルはありません」
把握できた現状を声に出して確認する。
チートなスキルがなかったのは残念だが、なんの情報もないまま異世界に放り出されなかっただけましな方だろう。
ひどい場合なら、超危険なエリアに知らずにいたり、スライムだったり蜘蛛だったり剣だったりと、人外だってありえる。
――まあ、読んでいた小説の話だけどな。
「てか、こんなよくわからない状況だし、これからは小説に出てくるオタク知識で行動することにしよう!」
こちらとて生粋のオタクだから、できればこのまま異世界物として第二の人生を楽しみたい。
ともかく、まずはスキルの確認からだ。
たまりにたまった小説の知識から判断すると、スキルは使おうとする意思に反応するか、キーワードで発動するか、もしくはその両方が一般的だ。
その前に、ステータスを見られるといいんだけど。
「ステータスオープン」
とりあえず、『定番の声に出す』をしてみると、頭の中に情報が出てきた。
なんとも、異世界チックな現象だ。
――――――――――――――――――――
カジ シロウ
LV: 1
HP: 100
MP: 1
STR: 1
INT: 1
VIT: 1
AGI: 100
スキル
【言語翻訳】【簡易マップ】【アイテムボックス】
――――――――――――――――――――
――うん、、、
この世界の平均的なステータスはわからないが、これだけはわかる。
「――めっちゃ馬鹿にされている気がするステータスだ」
だって、魔力と攻撃力と賢さと防御力が1ってどうなの?
素早さは以上に高いから、逃げ足だけは立派というわけだな。
「確かに、俺はいじめとかから戦わずに逃げて、オタクになったダメ人間ですよ」
――うん。自分で言ってて悲しくなってくる。
「――はあ。嘆いていても仕方ない、とりあえずスキルだ」
ステータスに載っているスキルに意識を集中してみると、詳細が現れた。
どうやら、声だけではなく、意識することでもスキルとか発動できそうだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【言語翻訳】:公用されている言語をスキル所持者にわかる言葉に翻訳する。また発した言葉も相手にわかる言語に翻訳する。
【簡易マップ】:使用者から半径1キロの簡単な地形が分かる
【アイテムボックス】:アイテムをしまうことができる
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
どれも、ある程度予想していた通りだった。
【アイテムボックス】の容量はわからないが、後々試していけばいい。
それで、【簡易マップ】だけど、、、
「地形だけか、、、 人とか魔物とかはわからいっぽいな」
俺が予想していた中では、最低に近いものだ。
――とりあえず使ってみよう。
今度は口にださず、【簡易マップ】を使うぞ、と心の中で言ってみる。
すると、ステータスの時と同じように、頭に直接情報が流れ込んでくる。
どうやら、スキルなどは、口に出さずとも使えるみたいだ。
まあ、言葉として喋った方がイメージするのも楽なので、声が出せない状況でもなければ声に出して発動すれば良さそうだ。
それで、頭の中に流れてきたマップには、その範囲のぎりぎりに町があることはわかった。
【簡易マップ】の範囲は半径1キロなので、そのぎりぎりってことは歩いても十分行ける。
――アイテムボックスの容量は、川でも見つけたら水で試すことにして町に向かおう