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8.出会い


ギルバートはハーブ茶を飲みながら、どうやって話をつけようかと思案。

今行ったら飛鷹騎士団の団長はいるだろうか、などと考えていたら・・・・・



いつの間にかすぐ隣に、エルフの少女が立っているのに気付いた。


とても綺麗なエルフで、冒険者ギルドにはやや不釣合いな印象。

そばに来るまで存在に気付かなかったことを、ギルバートは不思議に感じた。

彼は目を細めながら、そちらを見つめる。



「あの、すみません・・・・・」


やや緊張気味に小さな声で、エルフの少女がギルバートに話し掛けてきた。



「聞く気はなかったんですが、さっき受付で飛鷹騎士団を討伐するとかどうとか、言ってるのが聞こえて・・・・・」


「それが何か?」


「私も飛鷹騎士団に用事があるものですから・・・・・」


「ふーん、飛鷹騎士団に知り合いでも居るの?」



唐突に話しかけてきたエルフの少女は、ルカ・ルー。

掲示板で依頼を見ている時に、耳に入ってきた会話が気になってしまったようだ。

聞き逃せない単語があり、つい聞き耳を立てていた。



「いえ、私が探している人を、そこの団長さんが知っているかもしれないんです」


「探している人?」


「はい。片目の虎人の剣士です」


「んー、その人が知り合いなのか?」


「いえ、親の仇(,,,)なんです」



ギルバートは若いエルフの女性と、親の仇という言葉のギャップに驚く。

彼は改めてルカ・ルーを観察する。


俊敏そうな体つき。

隙のない動きと体幹の安定感。

強い印象の残る鮮やかな眼差し・・・・・


単に綺麗なエルフ、とだけ考えた最初の印象を、彼はすぐに改めた。



「君は冒険者なのか?」


ギルバートが問いかける。



「はい、まだ駆け出しです」


「んー、そうは見えない。君、かなり強そう」


「えっ。そんなことありませんよ。狩りばかりしてましたし」


「なるほど、狩人さんか、なんとなく冒険者っぽくないと思った」


「ふわぁぁ。バレバレですね・・・・・」





◇ ◇ ◇ ◇





ルカ・ルーは冒険者っぽくないと言われて、ちょっと恥ずかしかった。

彼女は子供の頃からずっと、狩人として生活してきていた。

自分自身、普通の冒険者と雰囲気が違うかも、と漠然とは思っていた。

実際に、はっきりとそう言われると、動揺してしまう。



(うわぁ、やっぱり見る人が見れば、私なんてただの素人・・・・・)



少しだけがっかりしたが、狩人の自分が冒険者に見えないのはあたりまえ。

そんなこといちいち気にしててもしょうがない、とすぐに考え直す。


ただいきなり話しかけたのに、きちんと対応してもらえたので少しホッとした。

大きな体で迫力満点な姿から、予想していなかった丁寧な話しぶり。

ルカ・ルーは彼に好感を持った。



「それで何か用かな?」


「お忙しいところ、ほんとにすみません。私は近々、飛鷹騎士団に行ってそこの団長さんに話を聞くつもりだったんです」


「ん」


「あなたが討伐してしまうと、話が聞けなくなるかなと思って、ちょっと心配になったんです」


「んー、そういうことか」



ようやく合点がいったのかギルバートはくすりと笑って、少し気を緩める。

テーブルの向かい側の椅子を指差し、座るように促す。

ルカ・ルーはぺこりと一礼して、対面に座った。



「しかし、俺も頼まれて話を付けに行くんで、止めるわけにはいかない」


「そうでしたか・・・・・それじゃぁ」


「ん?」


「私も付いて行ってもいいですか?」



ルカ・ルーは下からクリっとした目で見上げながら、シレッとお願いする。



「飛鷹騎士団の駐屯所に?」


「はい。もし許していただけるのなら、私が先に団長さんにお話を聞かせてもらうのはどうでしょうか?」



今のところ、探し人の唯一の手掛かりが、前の村で聞いた話。

飛鷹騎士団長が裏の世界に顔が広いので、情報に詳しいらしい。

情報源がなくなっちゃうかと、かなり必死に訴える。



「君、飛鷹騎士団ってどんな人たちか知ってる?」


「実はあまりよく分かってないんです、さっきから失礼なことばかり言って申し訳ありません」


「かなり危険な人達だぞ?」


「話とか聞いてもらえませんかね?」


「おそらくブラリと行っても、取り合ってくれない」


「そうですかぁ。参ったな・・・・・」



ルカ・ルーは素直に、簡単に考えていた自分の非を認めた。

さてどうしようかと途方にくれる。



「俺はこのあと駐屯所に行って話をつけるけど、話がこじれたら、団長さんと斬り合うかもしれんよ?」


「殺してしまうんですか?」


「場合によりけり」



鷹騎士団長が死んでしまったら、手掛かりが無くなる。

ルカ・ルーにはそれが、いかにも(,,,,)残念に思えた。



「うーん・・・・・やっぱり一緒に付いて行ってもいいですか?揉めた後だとお話も聞けなくなっちゃうので・・・・・」


「俺としては責任持てない。付いて来るのはお勧めしない」


「邪魔はしませんので、ダメじゃなければ、付いて行かせて下さい」


「まあいいけど、いざとなったら身を守るか、逃げるかしないと、君、死んじゃうよ?」


「逃げ足だけは、自信があります!」



ギルバートがジッとルカ・ルーを見つめる。

彼女は目をそらさずに、真正面から視線を受け止めた。



「ちなみに、君いくつ?」


「20歳になったばかりです」


「んー、もう子供じゃないんだな。もっと下だと思ってた、すまん」


「よく幼く見られますので、だいじょぶです」


「まぁ、ならいいか。君けっこう腕が立ちそうだし」


「足手まといにはならないようにします!」


「俺は自分のことで手一杯だろうから、守ってやったりはできない。それでいいなら一緒に行こうか」


「ヨロシクお願いします」

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