異世界『アナザ』
「…ひ……ま。…ひめさ……。」
ん、誰よ。
今いい気持ちで寝てるのに。てか、朝なの?
「ひめ…ま。朝で……よ。」
あー、朝ね。起きなきゃ、仕事今日早番だっけ?
「ん……」
「ーーーーーえ?」
重い瞼を無理やり開け、目が覚めたら目の前に男の人が立っていた。そして天井には豪華な、あれはシャンデリアよね?いくらするのかわからないけどすごく高そうなシャンデリアがある知らない天井
「姫様。お目覚めですか、おはようございます。今から朝食の用意を致しますね」
「ーーーーえ?」
てか、誰?この人?え、朝から何?なんで姫様なの?
「姫様?如何なさいました?」
え、なによ目の前の男はーーーー
なんなの!このイケメンは!?女の私でも綺麗と思ってしまう美形!
はっ!やだ私。目の前のイケメンを見てたら思考が……いや、だって何なのこのイケメンから「おはよう」とかどんな夢!どんな乙女ゲーム!え、ご褒美ですよね?
「姫様?」
やだ、よくあるファンタジーの執事服を着た黒髪オールバックにややつり目の紫の瞳の美しいイケメンが心配してるわ
やばい、イケる……
じゃなくて!
「姫様どこか、体が悪いんですか??」
あ!えと、やばい、すごい心配されてるわ!今なんか言わなきゃ!!でも、どうしよイケメンの免疫力ないんだが!ううう
「ええ、大丈夫よ。アイビー」
え…今、アイビーって……あれ?
「あ、はい、大丈夫でしたか。失礼いたします。今から朝食のお運び致しますね」
「ーーーー待って!アイビーって?」
待って待って待って待って、アイビーって…
たしか……どっかで聞いたようなーーーー
「はい、姫様。執事のアイビーでございますよ?どうかなさいましたか?」
え、アイビーって、あのアイビー?
「ヴァンパイアの…?」
「はい、『ヴァンパイア・ロード』のアイビーでございます」
ま、まあ!VRMMOゲームの私の使い魔のアイビーだ!
ん?私は今使い魔に起こされたの?
ーーーーVRMMOゲーム、私がめっちゃ課金してやっていた。シミュレーションオンラインゲーム。『Another・World』通称AW。今爆発的人気を誇るVRゲームだ。私は、「ローゼ」という白に近いプラチナプロンドに暗めの赤の瞳を持ったクリクリな瞳の美少女だ。私ローゼはVRゲーム内でトッププレイヤーに並ぶ実力者であり、二つ名『一輪の薔薇姫』としてプレイしてきた。今目の前にいるアイビーは、私の職業が『グランド・ファミリア』召喚獣、テイマーを職業レベルカンストし、さらに職業固有スキルも全てカンストして、運営から特別に私限定で与えられた職業である。ボスを召喚獣にしたり、イベントボスも使い魔にしたりして行って特殊な魔物達を集めていたから運営から「職業進化でローゼさん限定の職業を与えます」メッセがきてAWで最強のプレイヤーになり、最恐なファミリア達を育てていった。それで私のフレンド達から「あんたは、ラスボスとか魔王でもなるつもり!?」とか「ぜってぇお前らと戦いたくねぇーわ」など言われて、プレイヤー達から異様に見られて恐怖されていた。そして、今目の前にいる使い魔の一人もボスだった頃に仲間にしたヴァンパイアである
ヴァンパイアから育てて『ヴァンパイア・ロード』まで進化させるの大変だったわ…
にしても、今AWのログインでもしてるのかしら?昨日たしかギルド戦で相手ギルド『諸刃の剣』のプレイヤー達を仲間達と虐さ…倒してギルドランキング1位になり景品を頂いたからプレゼントメッセを開いたら運営から《緊急アップデート》が起きて、目の前が真っ暗になったから、緊急ログアウトでもしたのかと思ったんだけどーーーー
「姫様?」
「あ、いや、考え事してたわ」
「そうですか、では私は朝食とりにいきーーーー」
ドンドン ガチャーーー
「「ママ〜!!!あそぼぉ〜」」
扉の叩く音が聞こえ、私とアイビーが振り向いた時扉がいきよいよく開いて入ってきた人形の様な可愛い瓜二つの子供が入ってきた
え?ママ??
「スズ!ラン!姫様の寝室にいきなり入ってきて失礼ですよ!」
「え〜、だって暇だし」「え〜、遊びたいし」
「「ママにあいたかったもぉ〜ん」」
「だからって、紳士となるもの姫様の寝室にはいきなり入ってはいけません」
「アイビーは〜」「ママの部屋ぁ〜」
「「入っていいのぉ〜??」」
「私は、執事として姫様の寝起きのお顔を拝見できる権利が……コホンッ!じゃなくて、執事として仕事をしているんです」
「「わぁ〜!!」」
「アイビーだってママに」「会いたかったんじゃん」
アイビーが、瓜二つの美少年に叱り、美少年達はアイビーに文句を言い合って口論していた
「ん?」
あの美少年達スズ、ランっていう名前なんだーーー
「…ん?スズ?ラン?」
「「ん?ママなぁ〜に」」
青髪にサファイヤの様な瞳、片方は赤髪にルビーの様な瞳の美少年達。身長150未満白のシャツに学校の制服の様な上着、膝上までの短めの黒のズボン、長めの靴下を履いて、青髪の方は青、赤髪は赤の蝶ネクタイを着けた小学生高学年ぐらいの瓜二つの双子はたしかーーー
「『スタージュエルスライム』のスズとラン…よね??」
「「ママそうだよぉ〜?ーーあっ!!」」
「そういえばね」「僕たちの島が」
「「海に落ちてたぁ〜!」」
『スタージュエルスライム』は、もう1人の使い魔である。スズとランは、2人で1人の使い魔でもあるのだ。今は人型になってるのね、青髪のスズ、赤髪のランがショタ萌えにはたまらない笑顔で言ってきた。まあ、私もこんな美少年に笑顔で言われたらキュンキュンするわ
…ん?
「あれ?私達のギルドハウスは、浮島よね?」
「「そだよぉ〜?」」
「はい、姫様の城『インカローズ国』は、浮島であり、浮かんでおりましたが、私達も目が覚めたらいつの間にか海に島が落ちていたらしく、私達『ファミリア』達がなにが起こったのか調べに調査しております」
そういえば今さらなんだけど会話してる?ログイン中なのかな?アイビーがすごいいっぱい喋ってるわ
そうなんだー。なんかー。すごい使い魔が働いてるし。てか、本当今更ながら私使い魔と喋ってる。すごーい。なにこれ。今のAI素晴らしいわ。アップデートでもして使い魔達とも会話できるようになったのかしら(棒読み)
え、本当に会話してるよね?そこまで技術が進化でもしたのかしら?NPC達は、決められた事しか喋らないはずよ?ここまで会話できるとか人間って怖いわね
「あら、そうなのね」
なぜか私も普通に会話してるけどね…
「ギルドハウスが落ちてるのはきっとアップデートの時になんかのバグで浮かんでないだけよ。GMコールで今聞いてみるわ。あれ?GMに繋がらない?メニューオープン!」
……
あれ?メニュー画面が出ないんだけど、GMコールとログアウトが画面に表示されないの?どうしてかしら?なんか、バグでも起きたのかしら?
「「ママぁ〜??」」
「姫様、どうかなされましたか?」
「あ、メニュー画面開かないし、GMコールとログアウトが表示されないのよね?なんでかしら?」
「姫様の神に連絡するジーエムコール?とやらの魔法は私達にはわかりません。申し訳ございません。お役に立てなくて……」
「「僕たちもわかんないやぁ〜」」
「あ、そっか!私達プレイヤーは神に召喚された異世界人設定だったもんね!いいわ、大丈夫よ」
ーーーそう、このゲームAWは、プレイヤー達が他の世界から(簡単に言うとラノベでよくある異世界転移である)召喚されこの世界『アナザ』で生きていくためプレイヤー達が自由に冒険したり、好きなもの生産したり、釣りなど多彩なことができる自由度の高いゲームなのだ。それで、メニューなどプレイヤー限定の機能はこの世界のNPCにとって異世界人だけの魔法だと思われてると、このゲームの説明書にかいてあったわね。
あれよね、『Another・World』は『もう一つの世界』って意味通りもう一つ世界に転移して世界を満喫する感じで、人気のラノベやら小説とかでよくある異世界ファンタジーな話だからこそこのゲームは売れたのかしらね?
ん?異世界ーーーー?
…あれ?なんだろ?あり得ないはずなんだけどな?異世界転移ってなんのフラグだろ?この流れやばい気がする
ま、まっさかぁ〜あははは!そんな本当に異世界に転移したわけじゃないよね??だって小説とかの妄想の話でしょ?なにが悲しくて現実逃避して「異世界転移しちゃった!」とかてへ!のぺろ!とかして頭おかしい人になってないわ!そうよ、今バグでおかしいだけよ。それか、ゲームのし過ぎて夢みてるのよ!それに使い魔達と今も喋っているけどすっごいなぁ〜!今までは、喋れなかったはずなんだけどな〜?やっぱりアップデートでもしてAIとかなんとか付いたのかしら?それに、今もナチュラルに私ってばお話してるかしら?頭お花畑なのかしら?(棒読み)
と、とととと、と、とりあえず…ほっぺを思いきり摘んでみましょ…夢なら痛くないんだし、一回冷静になれるはずだし……
よし!いくわよ!
「ーーーいっっったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「「!?」」
「え!?なにこれ!本当にほっぺ痛いんだけど!神経感じる!血の流れを感じる!いや!気がするだけだ!」
「「ママ…??」」
「ひ、姫様…?」
「いたい!いたい!痛いって!!!いっったぁぁぁぁい!!!いたいいたいいたい!!!どこもいたい!!!!!!」
「「「……」」」
痛い!痛い!痛いって!
待って、ほっぺ痛い。頭殴っても痛い。指引っ張っても痛い。睫毛一本抜いたら痛いってーーーー
「まぢで、なにこれ異世界転移とかの設定になっちゃった?待って、睫毛一本勿体無いんだけど…」
私本当に異世界転移したのかしら…
二度寝でもしよう