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にん~行雲流水~  作者: 石原に太郎Ver.15y-o
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《仁和寺 疑心》

篝火が無数にたかれた仁和寺の境内の大きな紋無し陣幕の前で


パリーン、パキンーンと仮面が割れ、バタバタと仮面忍者たちが倒れ始めた。


その光景に疑心は茫然と立ち尽くしている。


いったい何が起こったのだ。


椛忍者たちも、しばらくポカンと立ち尽くしていたが


「あいつだ!」

「あの男だ!」

「囲め!」

急に洗脳が解けたのか、ジリジリと疑心を囲むように近づいてくる。


疑心は止まったまま一点を凝視している。


椛忍者たちは忍刀を抜き一斉に襲い掛かった。


ブワッと疑心が左手を払うと、つむじ風とともに鎌鼬かまいたちが現れ椛忍者たちを切り刻む。


一瞬の出来事に切断された椛忍者の頭部は地面に転がっても、その目はまだ生きているかの様に疑心を睨み付ける。


疑心は地面に転がる無数の肉塊を見回すと。


「はははははぁ~」

突然に笑い出した。


「はははははははぁ~」

笑い声は次第に大きくなる。


「ははははははははははぁ~」

ひとしきり笑うとワナワナと震え、顔を掻き毟り、おもむろに薄暮の空を見上げる。


「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


顔を覆う頭巾がはだけ、まだら模様の醜い姿が現れた。

見開いた漆黒の瞳からは血の涙が流れている。


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