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にん~行雲流水~  作者: 石原に太郎Ver.15y-o
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《逃走 団丸》

団丸は橋の袂に身を隠していた。

手裏剣は既に使い切り、どうやって見張りを倒そうか考えていた。


「近づいて倒せば、もう一人に笛を吹かれるし、どうすれば二人同時に倒せるかな~」


ジャリッ足音に気づき振り返ると鉢をかぶった女が立っていた。

女も驚き声を上げそうになったので、団丸は慌てて口をふさぎ


「オイラ悪者じゃないから安心して」

と言ったが女は怖くて震えている。

団丸は妙案を思いついた。


「これは最後の握り飯だけど、お前にやるから、代わりに頭の鉢をオイラにくれ」

そう言うと最後の握り飯を女の口に詰め込み、頭の鉢をスポッと取り上げて見張りに投げた。

団丸の怪力で鉢はクルクル回転しながら十間ほど先の見張りに、ゴツンゴツンとぶつかった。


「ありがとう」

団丸は女にそう言うと、女は目に涙を浮かべながら


「ありがとうございます、ありがとうございます」と何度もお辞儀をしていた。

団丸はいつもの櫂の口癖を思い出した。

「握り飯で全て解決できると思うのはお前だけだ」


「オイラだけじゃない、あの女は泣くほど喜んでいたじゃないか!

と、櫂の鼻を明かしたようでとても嬉しくなった。


それにしても泣くほど喜ぶなんて本当にお腹が空いていたんだな~。


「よしっ」

パンと両手で頬を張り気合を入れ直すと、修忍里に向かい忍者駆けをはじめた。



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