第三章 転 《津島忍者の昔話》
昔々の日ノ本にはたくさんの忍者がおったそうな。
忍者が増えて村もだんだんと大きくなり、とうとう北の村と南の村がくっ付いた。
ある時、北の村に住む忍者と南の村に住む忍者が田んぼの境を巡って言い争いをはじめた。
それを知った津島忍者は西の海から小さな船でやって来て東の山に去って行った。
その船が通った跡が小さな川になり、田んぼの境になり村の境界線にもなったそうな。
それからしばらくはお互いに特産品を交換したり仲のいい状態が続いた。
ある時、日照りが続き小さな川が枯れてきて、上流の忍者がその川を堰き止めた。
それはやがて村を巻き込み、村の西側と村の東側での貴重な水の取り合いになった。
それを知った津島忍者は西の海から中くらいの船でやって来て東の山に去って行った。
その船が通った跡が中くらいの川になり、その豊富な水が田んぼの水源になったそうな。
それからしばらくはお互いに嫁を嫁がせたり仲のいい状態が続いていた。
ある時、中くらいの川から砂金が見つかった。
それはやがて全ての忍者を巻き込み、北の忍者と南の忍者の奪い合いに発展した。
それを知った津島忍者は西の海から大きな船でやって来て、そこにいた忍者を皆殺しにして砂金を根こそぎ採り尽くすと東の山に去って行った。
その船が通った跡が海になり、忍者の村は海の底に沈んだそうな。
それから生き残った忍者は麒麟様にもう争いを起こさないと誓い、四方に散って人里離れひっそりと暮らすようになったそうな。




