2.鶴見明久
初投稿でテンション上がってます。
ちょっとホラー入ってるかも。苦手な方はご注意ください。
「この位置にこのタロットが来てるから、告白はうまくいくんじゃないかな。」
「ほんとに!?うれしい!」
「鶴見君の占いよく当たるって評判だし、サエコ、突撃あるのみ。」
「さー。いえっさー!」
キャッキャウフフしながら去っていく女の子たちを見送りながら、僕はため息をついた。
女の子たちと話したいが為に身に着けた占いが、なんだか的中したことがあるらしく、
口コミで同学年の子たちを中心に広がって1日2~3件は占いを頼まれるようになった。
「やっぱり5分以上女の子と話すと緊張するなー」
女の子は好きなんだけど、勢いに押されちゃって笑顔が引き攣るんだよね。
本当は手相占いが良かったんだけど、あからさますぎて気持ち悪がられても嫌だし、
これ以上、近づかれたらしゃべることもままならなくなっちゃう。
「さて、本日の営業は終了しました。」
僕はそう言って机からトランプを取り出す。
トランプマジック。こっちが本当の趣味で、いとこのお姉ちゃんが見せてくれた手品に影響されて
小学生のころから練習しているから、触らないと落ち着かないレベル。
「おっ。明久の手品が始まるみたいだぞ。」
「お~見る見る。」
今度は男子が集まってきた。
「女子も馬鹿だねー。明久の真骨頂は手品の方なのに。手品のない明久なんて
ネギのついていない納豆みたいなものなのに。」
山中君。僕はネギなのか。
…まあいいや。楽しんでもらえてるみたいだし。
「じゃあ、山中君。ここから一枚選んで、何か目印をつけて。他のみんなも確認してね。」
「おう。じゃあこれにする。」
そう言って一枚のカードを抜き取る山中。
「僕に見えないように確認したら、こっちに戻してね。」
カードを戻してもらった後、よくシャッフルをする。
そしてその中から一枚カードを選び出した。
「山中君が選んだカードはこれかな?」
「いや、ぜんぜんちがうぜ?」
「あれー。失敗したかな?」
そう言って首をかしげる僕。
「アッ。山中君に選んでもらったカードがうれしくて、山中君のポケットに旅立ってた。
上着のポケット見てくれる?」
「え?うお、マジだ。すげー!」
「さっき書いたサインもあるぜ。」
「さっすが鶴見。ウナギにかける山椒みたいなやつだぜ!」
山中君。意味が分からん上に今度は山椒か。
その後数種類の手品を披露してたら下校時刻になってた。
「んじゃ帰るか。」
「さいならー」
僕もトランプを片付けながら挨拶を交わす。
鞄に荷物を入れている際に、タロットが一枚床に落ちた。
「うわ。死神のタロット。なんだか縁起わるいな。」
「ほんとだぜ。まるで、赤いところが残った焼き鳥のようだな」
山中君。それは本当に危ない。
で、その帰り道。あたりが薄暗くなって、人気がない道を一人で歩いていると、
電柱の陰に誰かが立っていた。
「あれ?さっき占いに来てた。サエコさんとかいう…」
「うん。ちょっと明久君に話があって。」
「占いのこと?ひょっとして外れたとか?」
「ううん。告白は今からするの。」
「えっ。ひょっとして…僕?」
やばい。期待に胸が高鳴ってきた。
「うん。それでね。ちょっとお願いがあって。」
「な、何かな。」
告白なんて生まれて初めてだよ。どうしよう、最初ってどうすればいいの?わーパニクッて来た!
ドスッ
「え。」
なんか…胸からナイフが生えてる。手品?
「うふふ。明久君に突撃しちゃった。これで明久君は私だけのモ・ノ♪」
ってそのまんまの意味かい!
…こうしてサイコなサエコさんに殺されて、
鶴見明久は16歳で幕を下ろした。