表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空の騎士  作者: 星野セイ
3/4

魔法使い

この生意気なガキ、名前はラヴェルというらしい。

あの言い合いの後から私とは一言も言葉を交わさないし目も合わせない。

ソファに座って団欒している今でも、レオナルドには応えるが私は一切無視だ。


「ごめんね。悪い子じゃないんだ。」

「育て方を間違ったな。親として失格だ。」

「だから僕の子供じゃないって。

お腹すいたよね?何か作ってくるよ。」


レオナルドは肩を落とすと、料理をするのか台所へと向かった。

暖炉の炎がパチリと爆ぜる。


「何が狙いだ。」


静かにラヴェルが言った。


「どういうことだ?」

「お前は、先生が鳥使いだから近づいたんだろ?」


ラヴェルは私を睨みながら立ち上がる。

今にも殴りかかりそうな勢いだ。


「オレは先生の弟子だけど、先生を害悪から守る役割もあるんだ。

先生は騙せても、オレは騙されないぞ。」


ぞわぞわと気味の悪い風が、部屋を包むように回り出す。

辺りの置物がカタカタと揺れ、紙類はバサバサと音をたてて落ちる。

これはなんだ?

何が起こっている?


「去れ!野蛮人!!」


ラヴェルがそう叫んだ途端、部屋中のものが私に襲いかかった。


「チッ」


私は置いてあった刀に手を伸ばすと、抜き際に体を捻って回転させ、その遠心力を利用して刀と鞘で飛んできた物を一気に叩き落とした。


「な、なんだと?!」


ラヴェルは肩をふるふると震わせ、私を睨みつける。

地面に落ちた物の破片が、カタカタと音を鳴らして揺れる。

おいおい、もうこんな細かくなったものを叩き落とせないぞ…。

顔が引きつるとはこの事だ。


「そうか、お前は剣術使いか。

だが、残念だったな。オレも使い師だ。」

「使い師?」

「そうだ!オレは、魔法使いだ!!!」


ラヴェルの叫びと共に、地面に転がっていた破片の先が一斉に私の方を向いた。

ヤバい。

そう思った時、


「ラヴェル、その辺にしておきな。」


レオナルドの声が、辺りを静寂にさせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ