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アネモネ  作者: 高槻泉
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嫉妬の為の無実の犠牲

彼の名前はレイラ。俺と同じ17歳の高校二年生。男だ。レイラという名前は成り行きで決めた為特に意味はないらしい。彼は純粋な心の持ち主だった。だからこそひねくれている俺は彼の心をへし折るべく個人チャットを始めた。まずは自己紹介をした。とりあえず自分は17歳。女。学校でイジメにあって不登校という設定にした。聞くところによると彼の場合、本当に不登校な男子高校生だった。恐らくいま精神的にドン底に落ちてる時期だ。だからこそ彼をいじめたくなった。

まずは彼と仲良くなるべく彼の趣味を聞いた。趣味は小説を読むことだった。俺も小説を読むのが好きだ。中でもハサミ男という小説が好きであの小説はほんとすごいと思う。「ハサミ男」と呼ばれている美少女連続殺人犯がある日自分が狙っていた獲物を自分と同じ殺し方で殺されているのを見て、犯人をさがすという話なのだが最後のどんでん返しがすごい。ハサミ男をレイラも知っていたから俺はテンションが上がった。「あれ本当にすごいよね!あたし大好き!」そういうと彼もテンションが上がったらしく次は映画の話をしてきた。どれも見たことがない映画だったが見てみたいと思えるほど丁寧な説明をしてくれた。

「ねぇ...このアプリ以外でも話せないかな」レイラは話が盛り上がっているのにも関わらずそれを冷めさすような一言を言った。俺は断るしかなかった。なぜならLINEやメールは俺の名前で登録しており、連絡先には親も入っている。俺が名前を変えれば親にも見られ、家に入れなくなってしまう。レイラは少し悲しげな反応をしていた。「ごめんいきなり変なこと言って。でも自分の存在を認めてくれる人がいてくれて嬉しかった。僕の家は母子家庭で一人っ子だからつい寂しくて自分と似た人を見つけると仲良くなりたくなるんだ。迷惑だよね」俺にはこの気持ちが痛いほどわかった俺もこいつと同じだからだ。3歳で父親が死んだ。父親であろう人の顔は知っていた。当時幼かった俺は葬式の時になぜみんな泣いているのかわからなかったが、母親が責められていたのが脳裏にこびりついてはなれなかった。なぜ責められていたのかは知らなかった。「ごめんね。私がしっかりあなたが大人になるまで支えてあげるからね」母親にそう言われたのをなぜか今でも覚えている。俺も一人は嫌だった。だから帰りの遅い母を責めたこともある。友達を必死で帰るのを引きとめようとしたこともある。だからこそ自分と気があう人や似ている人を見つけると仲良くなりたがる。

俺が友達を作るのをやめたのは中学3年の頃。当時仲の良かった友達Aといつものように遊んでる時の話だ。俺は基本Aとしか話さなかった。そのため周りではあいつらは付き合ってる、Aはホモだ、と噂されていたらしい。それからAは俺とはつるまなくなっていった。俺はAと仲のいい奴らに嫉妬した。今まで一番仲良くしてきたのは俺のはずだ。だけどAは友情より周りからの噂を跳ね除けるため他のやつらを選んだ。俺の怒りはピークに達し、放課後Aを呼び出した。Aは他のやつらを連れ出してた。そいつらは俺がAに告白するもんだと思ってスマホで撮影していた。その行為により堪忍袋の尾が切れた。とっさにAとその友人たちに殴りかかった。結果は返り討ちにあった。元々女のように白く細い体をしていた俺は喧嘩なんかに向いていなかった。俺は顔もどっちかというと女よりのためAはホモだと疑われていたらしい。幸い殴られはせずただ思いっきり投げられただけで済んだがその話が学校中に広まった。あと少しで学校卒業だからいいと思っていたがその話は俺が入った高校でも広まり、一年の頃は必死で耐えたが二年で耐えきれなくなり今に至る。

嫌なことを思い出した。出会いかたさえ違ければレイラともっと話がしたかった。でももう無理だ。胸糞悪い話を思い出すきっかけになったのはこいつのせいだと思ったからだ。

「ごめん。もうチャットやめよ」と打ち込もうとした瞬間彼はとんでもないことを言ってきた。「君に会いたい。別に変なことをするわけじゃない。ただ話がしたい。もうこれから先僕は友達を作れないと思う。なぜかは言えないけどそれほど重大なことをしたんだ。君にならいつか話せそうな気がするんだ」もちろん断った。「それじゃあ君は出会い厨って事でいいんだね。さようなら」そう送りアプリを閉じた。俺はなぜか涙を流していた。

レイラと知り合ってから3日目。アプリを開くと50件もチャットが来ていた。さすがに引いたがそこには俺に対する思いが書いてあった。要約すると、家族にも友達にも嫌われて居場所がない。自分は同性愛者。異性を好きになることができない。でも君なら好きになれそう。その後に自分の住んでいる場所。電話番号が書いてあった。

甚だおかしい話だ。知り合ってまだ3日だ。そう思ったが俺は彼の書いた文章に惹かれていった。何故だろうか。

次の日、俺は女装をしていた。きっと気が狂ったんだ。笑ってくれ。なぜか俺も彼に会いたいと思っていた。彼と俺の住んでいるところは2駅しか離れてなかった。だから会える距離ではあった。彼の思いは俺に届いた。だからそのまま見過ごす訳にはいかなかった。昔から女装には自信があった。中学一年のクラス対抗女装コンテストで一位をとったほどだ。俺は勉強以外何もできなかったが女の声出せるのが唯一の自慢だった。今も出た。幸いヒゲもまだ生えて来ず、あそこの毛も恥ずかしながら少ししか生えていない。きっと男性ホルモンより女性ホルモンが勝ってるんだ。親に見られるとまずいのですぐに着替え直しネットで必死に真似て描いたメイクを落とした。そして人生最大の決断をレイラに下した。「明日駅前で会いましょう」

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