雨降る空と見上げる私
最近の天気は、よく変わる……今日だって朝は降っていなかったのに、夕方になってこの有様です。
はぁ……とため息を吐いて、窓側の一番後ろの席から外を見ると、ざぁざぁと雨が降っている……
「最近、天気予報が全然当たらないよぅ……」
小声で言ったにも関わらず、隣の席の男子が声をかけてきた。
「あんまりよそ見してたら、また先生に怒られるぞ!」
そう、今は現代文の授業中です……そして、現代文の先生はというと……
「この話では、この主人公が言いたいことはこうなる。だが、著者が伝えたいことは……」
堅苦しい言葉が並んだり、授業をぐいぐい進めようとするので、あんまり頭に入ってこない……そのせいか、周りを見れば船をこいでいる人が、たくさんいる。
みんな、眠そう……と、私は思いつつ先生が書いたのを、ノートに板書していく。
「……む?」
やっと、先生が気がついたのだろう、小さな疑問符を浮かべ、生徒を一喝する。
「おい! 起きろ! 授業中に寝るとは、どういうことだ?」
先生が大きな声でいったからか、船をこいでいた人たちが、全員顔を上げおびえている。
あらら……また始まっちゃった。これは長くなりそう……
先生が何か言っているが、今回は私のせいじゃないので無視する。
外は相変わらずの雨で、ノートに落書きをする。今回描いたのは、うさぎのつもりだった……
「そのイラストなに?」
「え? あ、うさぎだよ。可愛いでしょ!」
「う、うん……うさぎだったのか。ごめん、分からなかった。でも、可愛いと思うよ……」
さっき話しかけてきた、男子だった。
う、うさぎに見えないのかな……特徴は捉えたつもりなんだけど……
分かってもらえなかったことに落ち込んでいると、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響く……
「やっと、終わったぁ~……現代文、ちょうっと長すぎ……」
そう言いつつも、今日使った教科書とかを、鞄の中にしまっていく。
「ね、ねえ……全部、持って帰るの?」
さっきの男子だ。何か恐る恐る聞いているように見える。
「うん! そだよ、家で勉強しないと、どんどん遅れを取っちゃうから」
そう、私が通っている学校は、進学高でもかなりの偏差値を誇るのです! と言っても、私が誇れるとようなことではない……その中でも、かなり成績が低くて、このままいくと赤点まっしぐらな状態なんです!
「が、頑張って……俺にできることあったら、いつでも言って」
「あ、ありがと……」
この男子は、私と一緒の中学だった。結構仲良くしてたんだけど、高校上がってからは、あんまり話していない……
話を切り上げて、教室を出ようとして気がついた。
あ、あれ……傘持ってなかったよね……今日の朝、傘は持ってなかったから、手持ちのタイプは無いと……
鞄のなかをあさって傘を探すけど、見当たらなかった……
ど、どうしよう! 今日、傘持ってきてないよ!
うろたえてる私に、救いの手が差しのばされた。
「あれ? もしかして、傘忘れたの?」
周りに聞こえないような、小さな声で話しかけてきたのは、さっきの男子だった。
あ、あれ……? 帰ったんじゃなかったのかな?
とりあえず頷く……すると、さっきの男子は……
「じゃあ、一緒に帰る? 確か、道同じだし……」
「……え?」
「いやなら、辞めとくけど……」
「い、いえ。お願いします!」
恥ずかしそうに、顔を赤くした男子を見て、私は慌てて言う。
た、助かった~……持つべきは友達だよね!
そんなこんなで、一緒に帰る。
「今日はありがとね……」
「うん? 何が……?」
「ううん……何でもない!」
「何だよ、それ」
意外と会話が弾むかも……こんな風な毎日が続けばいいのに……
男友達でも、放課後一緒にしゃべりながら帰るのは、意外と楽しいかも……いつから、一人で帰ることに慣れちゃったんだろう……
久しぶりなはずなのに、そんな風に感じた。
こんにちは、愛山 夕雨です。
なんか久しぶりに、思ったことを綴った短編になっちゃました。この感覚が、結構気持ちいいですね……最近はインスピレーションも湧かず、ぼーっとしていることが多かったですが、今回描いた小説と同じような出来事から、書いてみました。
何もない日常でも、探せば良いことが見つかる……そんなことが、伝わるといいなぁと思います。
また、たまには初心に戻って、今回みたいに短編書きます。感想いただければ、嬉しいです!
またいつかお会いましょう!