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第51話

何件かなぜ、ステータスを見ないのかというご指摘をいただきました。

すみません。

前話にてルビーに確認をとる場面でステータスを見たと言う記載をしたつもりになっておりました。

詳しいステータスは本話にて書くつもりでした。

分かりにくくてすみません

 

  




「ぐぅっ」


「ほれ、なにやってるんだ?防がなきゃ痛いぞ?」


 真正面から突進しハルバートを刀ではじきながら潜り抜け超接近戦でフレイを拳で攻撃する。

 刀は懐にもぐりこんだ時点で手放しているため、地面に抜き身で転がっている。


「ち、近すぎる!!」


「あほか、あいつにも同じ事いうのか?」


「うぅぅ」


 フレイがハルバートを振るおうと一歩下がれば、こちらが一歩つめて空間を潰す。

 ほとんど密着しているようなこの状態では長物は逆に邪魔となる。


「はぁ!!」


 ハルバートの柄の部分を始点にして俺を弾き飛ばそうとするが、少しだけ引いてフレイの弾き飛ばしを回避する。

 フレイが少し姿勢を崩したので追撃をかける。

 【操力魔法】で地面に撒いておいた『ゴムボール』をフレイの腹めがけて打ち出す。


「ぐぇ」


 下腹部に直撃し悶絶するフレイ。

 すでに何度も『ゴムボール』を全身に浴びているのでそこら中に青あざが出来ている。


『持ち主よ、10分が経過した。休憩だ』


 タイムキーパーを頼んだ『叡智の書』が休憩を知らせる。

 『叡智の書』はとても正確な体内時計があるようだ。まぁ、体は無いのだが。

 エミィがぼそりと、昨日もお預けです。と独り言を言っているところに、


『正確には、18時間34分18秒前だな。エミィ、君は少々こらえしょうがない』


 などというので、エミィに『叡智の書』を燃やされるところだった。

 さて、『叡智の書』の意外な特技についてはこの辺にしておく。


 問題は、うつぶせのままぶっ倒れているフレイのほうだ。

 『体力回復』のポーションの薬瓶を口に突っ込み、『治療』の【回復魔法】をかけてやる。


「う、うう」


「はい、おはよう」


 すぐに目を覚ますのはさすがだが、こいつからめ手に弱すぎる。


「お前、何度ゴムボール食らうんだよ?気に入ったのか?」


「そんなわけ無いだろう!!お前の攻撃を避けるのに必死になって忘れるんだ」


「忘れるな!!」


「ひゃっ」


 休憩も終わり訓練を再開する。今度は最初からゴムボールを複数浮かせてフレイに向かって放とうとする。


「ま、待て!! そもそも、ゴムボールそれは何なんだ!?」


 ゴムボールは、ティルに頼んでおいたオモチャのひとつだ。

 デートの前日にティルのうちに泊まって談笑したときにゴムの話もしたんだが、どうやらこっちの世界にもゴムが取れる植物があるようで用意してもらったのだ。

 最初は、防具の強化に使えないかと色々やっていたのだが、暴徒鎮圧にゴム弾を使用するという話から、魔力弓の弾として使えないかと作ってくれたものだ。

 中心に魔鉱の芯があり、その周りをゴムの樹液で覆っただけのゴムボール。結局、魔力弓には使えなかったが、魔鉱を使っているおかげで魔力の通りがいい。

 【操力魔法】で動かすと結構なスピードで飛んでいくので、フレイをいじ、いやいや、特訓に使用している。


「これは、ゴムボールだ。あたったらすごく痛いが、血が出ないし死ににくい」


 そういいながらひとつを操作してフレイに向けて飛ばす。


「ひぃっ」


 ヒュ、と音がして飛んでいったボールをフレイが避ける。


「そう、避ければ痛くない。やっと学んだか?」


 なぜ、こんな訓練をしているのか。それは、応接室で見たエヴィンのステータスのためだ。


**********************************

エヴィン・クルーガー(人間)

LV.40 剣士 25歳


スキル

【剣術】★★★

剣系武器を持ったときステータスにボーナスが入る。

効果はレベル依存。


**********************************


 とうとう現れたLV.40台。

 スキルも【剣術】のみだがかなり鍛えられている。

 そして極めつけが持っている剣だ。


**********************************

フランベルク+3


【削り】+3

攻撃対象の防御力を低下させる。

防御力低下率は攻撃に比例する。


【毒付与】+1

刀身が傷口にふれると対象に状態異常【毒】を与える。


**********************************


 なんとも恐ろしい剣だ。人間にもモンスターにも有効な能力だ、 

 シルバーグリズリーは防御に優れたモンスターだと聞いていた。

 そんなモンスターをたった一人で倒したのだから何かあるとは思っていたがここまでとは。

 

 この剣のせいで奴に対して防御はあまり意味が無いということだ。

 盾や鎧で剣を受けてもどんどん削られていく。

 刀身が、生身の部分を捉えれば肉をえぐり、たっぷりと毒を塗りこまれてしまう。

 つまり、奴に勝つには攻撃を食らわないよう、回避と迎撃に専念させるべきなのだ。

 そのためのこの訓練だ。

 休憩は終わりとばかりに次々とボールをフレイに向けて放つ。

 全部で10個ほどのボールがフレイを取り囲んでいる。


「よし、全部はじくことが出来たら今日の特訓は終わりにしてやる」


「ほ、本当か!?」


「ただし、ひとつでも体に当たったら」


「・・・当たったら?」


 俺はにっこり笑って開始を告げる。


「ちょ、ちょっと!! 当たったら? ねぇ、当たったら?」


 色々わめいているがすぐにわめく余裕もなくなるだろう。

 ゴムボールはバラバラにフレイの周りを回っている。

 ただかわすだけでは、ゴムボールはすぐに戻ってくる。

 全てのゴムボールに攻撃を当てなければいけないのだ。

 


 ボールが真正面からフレイに迫る。フレイは落ち着いてハルバートで迎撃を行う。1つ目。

 1つ目のボールが落とされた瞬間に左右からボールが襲ってくる。

 右側から来るボールを短く持ち直したハルバートで弾き飛ばし、左側のひとつをかわす。2つ目。

 今度はフレイの後ろから二つのボールが同時に迫る。

 フレイは後ろをちらりと確認すると、一振りで2つのボールと落とした。これで全部で4つ目。

 3,4発目と時間差で放たれていたゴムボールはフレイにギリギリまで迫り、あと一歩のところまで近づいたがなんとか体を捻ってかわす。

 しかし、今ので体勢をわずかに崩してしまい、続けて襲ってくるボールが体にカスってしまう。


「あっ!?」


 すると、途端に動きが鈍くなる。

 次々に被弾し、ボロボロになっていく姿は先程まで美しくすらあった動きをしていたとは到底思えない。


「も、もう当たったから!!と、止めてくれ!!」


 その場でうずくまり、情けなく助けを求めるフレイに優しく伝えてやる。


「アホ、訓練と罰ゲームは別だ。ボールが何発お前に当たろうが、全部のボールを叩き落とすまでやるんだよ」


 フレイには生き汚さが足りない。

 今回の訓練でも、自分の思い通りにならなくなるとすぐに諦めてしまう。

 これは、その根性を叩き直す訓練だ。

 もちろん、訓練が一段落する度にポーションと回復魔法で元気にしてやっているので、いくらでもしごける。


 叩き落とすまでボールが止まらないと理解したのだろう、フレイは弾幕の隙をついて立ち上がり、ボールに当たりながらも迎撃を再開した。

 全てのボールを落とすのにそれから10分ほどかかった。


「大体、お前は素直すぎるんだよ。俺に止められるまでは続けてもいいんだよ。もしかしたら俺は気づいてないかもしれないだろ?」


「そ、そんな卑怯なこと!!」


「本当にアホだな、お前は」


「うぅ~」


 今回の訓練は、最初から達成出来ないであろう内容をフレイに押し付けたのだ。

 それをどう乗り越えるか、失敗したとき立ち直れるかを見たかった。

 結果はダメダメだったが、ある意味収穫だろう。

 フレイを無理やり回復させて訓練を再開する。

 結局、フレイはこのあと日が落ちるまで十数回ほどこの訓練を繰り返したが、ノーミスクリアは達成できなかった。

 フレイは落ち込んでいたが、途中でうずくまるようなことはなくなったし、直撃はほとんどなくなっていた。

 1日目の成果としては十分だが、フレイには伝えていない。

 こいつはすぐに調子に乗るのだから。


「も、もう無理だ~。か、回復しないでぇ~」

 

 訓練が終わって傷ひとつ無い状態にしてやったのに地面でうつ伏せのままぶつぶつ言っているフレイに訓練の終了を告げる。


「さて、本日の訓練は終了だ。俺は明日、朝から出掛けるがゴブリン達が相手をしてくれるので心配するな」


 一対一では、フレイに歯が立たないので、ゴブリン達には複数で連携して倒せと伝えている。

 フレイをきたえるついでにゴブリン達の連携も磨ける。一石二鳥だ。


「わ、私は本当に勝てるのだろうか?」


 少しいじめすぎたせいか、フレイが弱気になっている。

 誉めれば調子に乗るし、自信をへし折ればどこまでもうじうじする。

 本当にめんどくさい奴だ。


「お前次第だ」


 言葉少なにフレイに答える。その言葉が効いたのか分からないが、足をプルプルさせながら相棒ハルバートに体重をかけて立ち上がろうとしている。

 

「俺は、『お前はやれば出来る』なんて言わないぞ。俺はお前のことなんてほとんど知らないんだからな」


「そ、そうだな」


「まぁ、この3日の間だけはとりあえず味方でいてやるよ。罰ゲームもあるしな」


「う、うん。よろしく頼む」


 ここまで一度も罰ゲームによる強制は行っていない。

 逃げ出すようなら罰ゲーム扱いで扱いてやるつもりだったが、泣き言を言いながらも訓練はこなしている。

 まぁ、もし、この訓練に耐え切り、エヴィンに勝つことが出来たら罰ゲームはチャラにしてやろうか、なんて事も考えている。

 さぁ、明日はラティアと会う日だ。あくまでも調査の一環だが女の子との待ち合わせは胸が踊る。




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