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幼女と執事が異世界で  作者: 天界
第5章

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92,財産 Part,2



 奴隷の目録に全て目を通し、実際に部屋に続々と入ってくる奴隷達を見ていく。

 ダンジョン用の戦闘を主とする奴隷は主力と予備を含めて40人近くいた。

 荷運び用のポーターも主力2人のほかにも5人ほどいてポーターの重要性が高いことを示している。

 主力と予備ではBaseLvには大きな開きこそないものの老執事の話では連携などの関係上入れ替えは死亡したり、体が欠損しない限りはないそうだ。

 ちなみに体が欠損しても主力なら貴重なアイテムを使って治すそうだが、それ以外だとそのまま売却されたりするそうだ。実際に何人も売却されたらしい。

 殺さないのは奴隷を勝手に殺すのは違法だからだが、ランクSクラスなら問題にもならない。

 だがどうやら部位欠損程度では多少値は下がるがそれでもここにいるくらい強ければ高く売れるらしい。


 戦闘奴隷の他の奴隷は使用人などだ。

 武具の整備が行える奴隷などもそれなりにいたが鍛冶を出来るものはいないようだ。

 顎《リオネット》の近辺は美しい女性達で固められていたので当然ながらそういう用途もあったのだろう。

 ただそれだけではないようできちんとメイドとしての行動もできるようだ。

 この成金屋敷にいる人は全て奴隷であり、一般人は誰もいない。その辺が顎(リオネット)の用心深さの表れではないだろうか。


 まぁその原因も奴隷の次に出てきた目録で大体判明した。

 この屋敷にはかなりの量の魔道具があるようだ。

 総額にしたら金貨うん百万枚になるかわからないくらいの量だ。

 これでは一般人は雇えないだろう。小さな魔道具1つ盗まれてもその人が数年遊んで暮らせるだけの金が手に入ってしまう。

 しかも量が多いから発覚が遅れやすい。


 中でも高価で貴重な魔道具なんかは顎(リオネット)自身しか鍵が開けられない宝物庫にあるそうなのであとでヤツをつれてこないといけない。

 その他は使用人奴隷達の中でも選ばれた者達が清掃や点検などをしているのですぐに見ることができた。

 ただ量が量でしかも魔道具なので軽々しく持ち運んでくるのは危険がある、と老執事が言うので部屋を移動した。


 ついでとばかりに屋敷の中を色々と見て回り、魔道具の部屋も回りきったところで陽も暮れ始めたので帰ることにした。

 この屋敷はもうすでにオレの物ではあるのだが、正直こんなところには住めない。

 きっとネーシャが一睡もできなくなってしまう。

 ならば住み慣れた我が家――海鳥亭に帰るのが1番だ。


 また明日、顎(リオネット)を連れて鍵部屋を見てその他の目録にも目を通して今後のことを考えようと思う。

 なんせ今日見ただけでもものすごい資産ができてしまったのだ。

 一応屋敷の警備体制は厳重を通り越して度が過ぎるくらいなので安全だろう。元主がダンジョンに潜る事を主とする冒険者だったのだから、留守にしていることの方が多いので当然だ。

 ちなみに警備をしている人も奴隷で、2軍だがその中でもかなり強い部類が交代制で行っている。


 主が居なくても屋敷の運営には問題がないように体制が整っているのでオレが何か言わなくても問題はないようだ。

 全員奴隷なのでよからぬ企みをされることもない。一人を除いて全員の奴隷契約Lvは5以上。

 老執事のみが奴隷契約Lv4だ。

 これは彼にかなりの裁量を託されているからだろう。それでもLv4。

 うちのネーシャみたいにLv2にはしないようだ。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







「はぁ~……。疲れた」


「お疲れ様でございます、ワタリ様」


「きゅ~」


「ありがと、アル。ネーシャもお疲れだねぇ……」


「……すみません、お嬢様……。あたしあんなお屋敷初めてでもう頭がくらくらしちゃって……」



 アルにいつものように浄化をかけてもらいベッドに腰掛けるとネーシャはすでに机に突っ伏していた。

 レーネさんとは宿の前で別れているが彼女も今日は大分お疲れのようだった。まぁ無理もない。



「それにしてもあんなに奴隷とか魔道具とかいっぱいもらってもどうしたものかなー」


「一先ずは現状維持で問題ないかと愚考致します」


「まぁそうだねー。奴隷で屋敷やなんかの維持管理に必要なさそうな人は解放してあげてもよさげだろうけど……。

 ギルドマスターにPT用の奴隷を貸し出さないといけないから、そんなに解放できないだろうねぇ」


「無理に解放する必要はないかと存じます。エンタッシュ、彼の執事の話では今屋敷に居る全ての奴隷はそれぞれ5年以上居るそうですし、警備上の都合もありますので」



 エンタッシュは今日色々案内してくれた老執事だ。

 確かにそれなりの人数がいる奴隷とはいえ、屋敷が広いので結構手一杯だったりする。

 それに解放してはい、ご自由にというわけにはいかないので、職を斡旋しようにも屋敷で雇うくらいしかない。

 屋敷で雇えば勝手知ったるなんとやら。魔道具を持ち逃げされること請け合いだろう。


 そんなわけで奴隷の解放も今回は結構難しいものがある。

 エリザベートさんなんかがこの辺は詳しそうだし、あとで相談してみよう。



 疲れたのもあって、今日のトレーニングは軽くやってお終いということにした。

 皆勤賞だったエリザベートさんも今日は来ないようだ。


 アルに任せてされるがままに清められて夕食を食べたあとすぐに眠ってしまった。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 翌日。昨日同様目録と実物の検品を今度は同行したエリザベートさんも含めて行う。



「これはすごいわねぇ……。さすが腐ってもランクSだわ。すごい溜め込みよう」


「まったくですねぇー。この小さいのだけで金貨数十枚はいっちゃうんじゃないですか?」


 無造作に手に取ったのは時限式の魔法を発動させる魔道具で消耗品ではなく、何度も再利用できる逸品だ。

 罠として設置して置いてもあとで回収して何度も使えるし、防犯のために事前に設定されている人以外が触ると起動中なら手痛い反撃を食らうという優れもの。ちなみに今は未起動状態なので問題ない。



「数十枚できけばいいんだけど……」


「あれ、そんなにですか」


「えぇ……」



 思っていたよりも高いようだ。

 軽くお手玉していると、エリザベートさんが顔を青くしているので魔道具を元の場所に戻す。

 まぁ壊してももうオレのなんだから別にいいんだけど。


 検品は朝から始めてお昼になっても終わらず、今日はそのまま屋敷でお昼を食べた。

 料理人も当然奴隷だが、出てきた料理は海鳥亭のマスター以上の腕前で非常に美味しかった。

 でもアルには及ばない。


 お昼ということもあって軽く済ませたのもあって少し食休みしても、それほど時間は取られなかった。


 その後も検品が続き、夕方になってやっと終わった。


 ちなみに例の鍵部屋はまだギルドマスターが顎に用事があるということで見れていない。

 あそこが1番高いものがあるから早く見たかったんだが。



 ちなみにこの屋敷、庭が結構広い。

 庭には訓練施設もあり、そこで毎日予備の戦力が訓練を行っている。

 それは今も尚行われている。ギルドマスターに貸し出すにあたってその辺は継続しなければならない。

 だが、顎がさせていた訓練は効率重視で人間性を無視していたものだったので色々と変えている。

 今までは腕がもげ様が足が砕けようが続けさせられていた訓練は、生前の効率的で安全性の高い訓練に変更されている。


 それでも実戦形式の訓練はどうしても怪我人が出てしまうのは仕方ない。

 この世界は生前のような生ぬるい環境ではないのだから。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 エリザベートさんのたっての願いで今日は屋敷に泊まることになった。

 昨日から引き続き一緒に居るレーネさんも泊まっていくそうだ。

 そしてなぜこの屋敷に泊まる事に賛成したかというと……。



「やっぱりひっろーい!」


「すごいです、お嬢様!」


「いいねーいいねー。やっぱりお風呂はこうでなくちゃー」


「……はぃ」



 目の前には湯気がたっぷりと視界を覆った大理石風呂。

 何十人単位でも入れそうなほどプールのようなお風呂に熱帯雨林に群生してそうな木まで生えている。

 まるで王侯貴族のお風呂そのままだ。


 一糸纏わぬ姿のエルフさんのロケットが大きく揺れながら湯気を突っ切っていく。

 その後を追うようにバスタオルを巻いたオレと、大分ふっくらして普通くらいの体型――でもまな板――のネーシャが続き、最後尾に赤くなりながらも大きなバスタオルを巻いたレーネさんが行く。



「ほらほら、ワタリちゃんもストリングスさんもそんなの巻いてたら体洗えないよ!」


「洗うときにはちゃんと外しますからー」


「じゃあほらほら外した外した! 私が隅々まで洗ってあげるからー」


「自分でできますから、大丈夫ですから」


「お、お嬢様のお体はあたしが洗います!」


「あ、ネーシャちゃんずるい! 私も洗うんだからね!」


「……ぉ、お背中流します……」



 お風呂に突っ込んでいったロケットさんがぷるんぷるん揺らしながら戻ってくるとオレのバスタオルを剥がしにかかってくる。

 ネーシャもレーネさんも誰も助けてくれないどころかロケットさんに加勢するので孤立無援でそのまま剥がされ、揉みくちゃにされてしまった。


 お風呂は当然女性だけなのでアルは居ない。

 ネーシャもアルが居ないから自分がオレのお世話を頑張らなくちゃと張り切って耳を貸してくれないのだ。

 レーネさんに至っては場の空気に流されてしまい、完全に自分が何をしているのかわかっていなさそうだ。


 隅々まで綺麗にされて気が付いたら湯船に浸かってロケットに挟まれていたが、まぁもうよしとしよう。

 久しぶりのお風呂がすごく気持ちいい。オレの頭を挟んでいるぷるんぷるんも気持ちいい。

 ネーシャも楽しそうに泳いでいるし、レーネさんも頭に小さなバスタオルを置いて気持ちよさそうだ。


 このお風呂のためだけにこの屋敷に住むのもいいかもなぁ……。



「あ、そういえばトトさんにお風呂頼んでたの忘れてた」


「トトさん?」


「鍛冶屋の知り合いで、ネーシャがお世話になっている人のお兄さんです。

 ちょっと頼んで簡易風呂を作ってもらってたんですよ」


「へー、鍛冶屋さんかー。そっかワタリちゃん魔法が使えるんだよね。お風呂も頑張ればいけちゃうもんねぇ」


「まぁ大きなタライにお湯張って、風で防壁作るだけのつもりだったんですけど、このお風呂があればいらないかなぁー」


「そうだねぇ~。毎日でも入りに来たいくらいだよ~」


「まったくですねぇ~」



 ロケットましゅまろに挟まれながら、声を発するたびにぷるぷるしている感触を楽しみながらのお風呂は至福の一時だった。



THEお風呂タイムです。


この屋敷をゲットして初めて嬉しいと思えたのがお風呂だったのです。

もみくちゃにされて挟まれてしまいますが無害です。


次回予告

財産検分も終盤。

使えそうな物をどんどん見繕っていく事に。

見繕った物はやっぱり……。


気に入っていただけたら評価をして頂けると嬉しいです。

ご意見ご感想お待ちしております。


10/30 誤字修正

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