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幼女と執事が異世界で  作者: 天界
第4章
76/182

76,創造神の加護


 レーネさんと別れてからすぐにランカスター家にネーシャを迎えに向かったが、ノッカーを叩いて出てきたのはトトさんだった。

 どうやらまだ工房で作業をしているようだ。


 ユユさんの興が乗っているらしく邪魔をしても悪いので、少し待つことにした。

 トトさんがお茶を淹れてくれたのでご馳走になりながら軽く雑談をして待っていると1時間もしないうちにユユさんと連れ立ってネーシャがやってきた。



「お嬢様、アル先輩。お待たせしてしまってすみませんでした」


「ごめんね~。ネーシャちゃんの成長がすごくてさー」


「全然大丈夫だよ、ネーシャ。やっぱりネーシャはすごいですか?」


「うんうん。実際すごいよネーシャちゃんは!

 鍛冶神の加護がなくてもかなりの鍛冶の才能があるね! 加護のおかげでもう鍛冶師になるために生まれてきたくらいのすごさだよ!」


「はぁー、ユユさんにそこまでべた褒めされるんなら相当なんだろうねぇ~。

 よかったねぇ、ネーシャ」


「はい、お嬢様! あたし頑張ります! もっともっと師匠に色々教わってお嬢様とアル先輩のお役に立てるようになりたいです!」


「そっかそっか。でも無理しちゃだめだからね?」


「はい!」


「大丈夫だよ~。いくらネーシャちゃんがすごい子でも無理させないのがうちの教え方だからねぇ~」


「ユユが無茶しそうになったら僕が止めてあげるから心配しないでいいよ」



 ユユさんとネーシャの分のお茶を淹れてくれたトトさんも楽しげにユユさんの頭に手をおいて言ってくれる。気にかけてくれているようなので安心だ。


 陽が傾くまでネーシャの成長っぷりやネーシャを預けている間にこなした依頼などで起こった出来事などを問題ない範囲で話したりしてランカスター家を後にした。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 宿に戻り、ネーシャに御土産のぬいぐるみを渡すと泣き虫のネーシャの瞳からはまた涙が溢れたけどその表情はとても素敵な笑顔だ。

 金色のキツネのぬいぐるみを抱きしめるネーシャは実年齢よりずっと幼く見えてとても微笑ましい。

 まぁ栄養不足だったことやネーシャの体型が子供っぽいこともあり、普段から幼く見えるけど。


 今日はそれなりに遅めに帰って来たのでエリザベートさんがやってくるまでそう時間もなさそうだ。

 時間もないので今日の魔法のトレーニングはエリザベートさんが帰ってからになるだろう。

 エリザベートさんは毎日来るけどそれほど遅くまでいるわけではない。ギルドの仕事もあるわけだし。



 部屋着に着替えてからベッドに座って編み物一式を取り出す。

 苦手でも少しずつやっていけばトレーニングになるのだから毎日欠かすことなく頑張っている。まぁ一向に成長しないけど。


 苦戦しつつもアミアミしていると、その出来の悪さについ現実逃避するように思考が逸れてしまう。


 考えることはやはり今日のレーネさんだ。

 あそこまで懐かれるとは正直思わなかった。


 彼女自身もランカスター魔道具店で出会ったことですごく興味を惹かれたとは言っていたが、正直あの人見知りっぷりを見るとちょっと急すぎるような気もする。


 よく考えればこの世界に来てから明確に人から嫌われるということはまだない気がする。

 誘拐はオレ自身への好き嫌いは関係ないだろうし。

 むしろ好意的な人の方が多い。


 見た目が6歳児の幼女だということもあるだろう。

 でも今回のレーネさんの急変っぷりはそれだけではないのではないかという仮説を立てさせるのに十分なものだ。


 オレには加護がある。

 ユユさんになんだかんだで聞きそびれてはいるが、多分創造神の加護だろう。

 そしてこの加護の効果なのだが……。



「わっ」


 思考を進めようとしたところで脳内に突然ピーン、という音が鳴り響きウィンドウが突然開いて驚きの声を上げてしまった。



「ワタリ様、いかがなさいましたか?」


「お嬢様?」



 オレの声に何事かとすぐに作業を中断して傍に寄ってくるアルとネーシャ。

 2人にはやはり見えていないオレの目の前に突然出現したウィンドウには見覚えのあるマークが描かれている。

 でも知っているマークとは少し違う。


 そのマークは封筒に入った手紙を開けて少し出してあるお馴染みのマーク。

 でもEと書かれていそうなところにはなぜか神と書かれている。


 つまりこれは神からのメール?



「ワタリ様?」


「あ、えっと大丈夫だよ、ごめんね」



 心配そうにしているアルを安心させるためにとりあえず神からのメール? は置いといて笑顔で答える。

 一先ず問題がないと判断したアルは一礼してテーブルへと戻る。その後を追うようにネーシャもペコリと頭を下げてテーブルに戻るが、まだこちらを心配そうに見ているのでより笑顔を深めてニッコリとしてあげると安心したのか砂ノートへと視線を戻した。



 神からのメール? はまだウィンドウとしてそのままだ。

 そのままにしておいても意味はないし、フォーカスしてみるとピロリン、と電子音がなり文章が書かれたウィンドウに変化した。



【やぁやぁ、ワタリちゃんのアイドル創造神だよ☆

 このメールは君がボクがこっそり与えた創造神の加護の効果に思考が行き着いたら勝手に届くように設定してあるよ☆

 というわけで加護の効果だけど、君は非常に人に好かれやすくなるというものです。好感度超アップだよ☆

 ハーレムも逆ハーレムも想いのままだね☆】



 ……なんとも『☆』が非常に腹立たしい文章だ。

 だが加護の効果は確定した。

 しかしこっそり与えたとか……なんでこっそりやる必要があるんだよ……。

 まぁあの神のやることだ。いちいち考えてたらきりがない。

 本人の許可も取らずに勝手に性転換させるようなやつだからな。


 しかし好感度超アップ効果か……。

 どうなんだこれ……。


 いい意味で取るなら好かれ易いなら円滑な人間関係を作りやすいともいえるが……。

 悪い意味で取るならストーカー量産コースじゃないですか?

 後ろから刺されるなんていやだよ? いや前からも嫌だけど。

 何かの肉を入れたシチューを食べさせられるのも勘弁だよ?


 現状ではとりあえずストーカーみたいなのは発生してないし、せいぜいエリザベートさんが急速接近してるくらいだ。

 エリザベートさんはアルが防波堤になっているのでまず問題にならない。


 レーネさんはそういうんじゃないだろう。

 だがこれでレーネさんの異常な懐き具合がわかった。

 レーネさんは人見知りの性格なため溜まりに溜まっていた人恋しいという感情が、加護の効果で一気に振り切れて噴出してしまったのだろう。オレ限定で。



 お願いだからストーカーとかエリザベートさん化だけはしないでおくれよ、レーネさん……。



 微妙な表情を浮かべて目を閉じて祈る気持ちで心の中で囁く……と同時にいつものようにノックもなくエリザベートさんがただいまの挨拶と共に部屋へと乱入してくるのだった。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 エリザベートさんが帰ってから日課のアルによる隅から隅までの体洗いを済ませる。

 ネーシャも覚える必要があるので多少ゆっくりなのはここ最近の定番だ。


 ちなみにエリザベートさんが帰ってからやるのはもちろん貞操の危機を回避するためだ。

 アルによる鉄壁のディフェンスがあるとはいえ、エリザベートさんの前で洗ってもらうのは危険すぎる。


 一緒に筋トレをしても汗は浄化で何とでもなるのでそれはソレだ。

 ちなみに浄化はアルしか使えないのでエリザベートさんは自分でタオルと着替えを持ってきている。

 浄化は職業:執事でも取得難易度のものすごく高いスキルだそうだ。

 まぁあの便利すぎる効果を考えれば当然とも思える。


 なので最初にアルが浄化を使ったところをエリザベートさんが目撃したときはそりゃあもうびっくりしていた。

 でも非常に珍しいとはいえ、執事なら持っていてもおかしくないスキルなので特に人前で秘密にするとかはない。

 取得難易度がものすごく高いけど取得している執事はそこそこいるらしい。

 そもそも執事という職業を取得できる時点で取得はそれほど難しくないらしい。


 執事という職業は上位職と呼ばれるいくつもの条件を満たさないと取得することができない職業らしい。

 上位職は結構色々あることは知っている。

 魔法使いと戦士とその他諸々な条件で魔法戦士とか。


 上位職は大体複数の職をある程度のLv以上にあげてその他の条件をクリアすると取得できる。

 取得が難しい分恩恵や固有スキルも強力なんだそうだ。


 ちなみにレーネさんは当然上位職を取得している。

 ホワイトナイトという職でスピードと攻撃力に特化したタイプの職だそうだ。


 ナイトというだけにレーネさんは騎士の職業を持っているそうだ。

 とはいっても騎士団には所属しておらず、以前特殊進化個体(モンスター)討伐に協力したときに騎士の叙勲を受けたそうだ。

 上位職を取得する前から特殊進化個体(モンスター)討伐に協力するくらい強かったレーネさんが上位職を取得してさらに強くなり、特殊進化個体(モンスター)討伐には必ず呼ばれるくらいになってしまったのだそうだ。


 特殊進化個体(モンスター)討伐回数が3回もあるのはそういうことらしい。


 図書館で上位職の取得条件は多少調べておいたのだが、最低でも2つの職をLv20以上にしなければいけないのでまだまだ取得するのは遠そうだ。


 さっぱりして眠気も強くなってきたので明日のレーネさんとの依頼に備えてそそくさとベッドの中に潜り込むのだった。



好感度超アップ☆


でも嫌われる時は嫌われます。

初対面でそういう場合も無きにしも非ずです。


次回予告

レーネさんとの依頼を見繕うワタリちゃん達。

そんなワタリちゃん達をハンカチを噛みながら見つめる例のあの人。

どうなる、ハンカチ!


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