第9章 ”ポイント2”へ
「うぅ……こ、ここは?」
牙は『魔車』の中で目を覚ました。
「牙さん、“ポイント1”での作戦は失敗に終わりました。今、『魔車』で“ポイント2”に向かっている所です」
牙は起き上がると窓の外を見た。
「バヒヒヒヒヒヒューン!!」
そこには走るブルハリがいた。今まさに、『魔車』がブルハリを追い越すところであった。
「ブルハリのスピードがこの『魔車』より遅くて、ほんとに助かりました。まだ、“ポイント”は2つあります。絶対にブルハリをとめましょう!」
クラリットが運転する『魔車』を先頭に、十数台の『魔車』が列をなしてブルハリを追い越す。“ポイント1”でブルハリに蹴散らされたときに、意識を失わなかった戦士達もまた“ポイント2”に向かっているのだ。“次こそブルハリを止める”、みんながその強い意志を持っていた。
『魔車』を走らせて30分、ようやく“ポイント2”に牙たちは到着した。“ポイント2”にはすでに400人近い魔法使いが集まっていた。
「“ポイント1”の戦士の皆さんは、このまま“ポイント3”に向かってください。“ポイント2”では魔法使いによる作戦を行いますので、皆さんが協力できることはありません」
クラリットにそう言われた戦士達は、「ここはまかせた」と言い、再び『魔車』に乗って“ポイント3”へと向かった。
「牙さんは、ここで少し休んでください。もし、ここでブルハリを止めることができなければ、牙さんの力が必要になる時が来るかもしれません」
「……そうか。わかった。ここはお前達魔法使いに任せて、俺は休むことにするよ」
牙は“ポイント2”でもブルハリに挑むつもりだった。しかし、クラリットのこの言葉を聞いて休むことにした。正直、ブルハリと衝突したときに受けたダメージがまだ、回復していなかったのだ。
「まかせください! 『ツルツルツルリン! ひゃあ! 冷たい!大作戦』で絶対にブルハリを止めて見せますから!」
クラリットはそう言うと、他の魔法使いと共に持ち場についた。そして、静かに作戦開始の刻を待った。






