第8章 『ロープにつまずいて、スッテンコロリン大作戦』
「ブルハリが来たぞ! みんな気を引き締めろ!!」
数百メートル先でブルハリに吹き飛ばされた牙を見て、戦士達の士気が一気に上がった。牙一人に頼るわけにはいかないと、全員が意識したのだ。
「バヒヒヒヒヒヒューン!!」
ついに、ブルハリが“ポイント1”にやって来た。
「今だ! 思いっきり引っ張れ!!!」
「おおおおおおお!!!」
“ポイント1”の指揮官が声を上げる。その声に応えるように戦士達がロープを引く。ブルハリの右前足が、鋼鉄製のロープに引っかかる。
「おおおおおおお!!!」
戦士達の額に汗が滲む。みんなの力をあわせても、到底ブルハリの馬力にはかなわない。それはみんな理解していること。でも、少しでもバランスを崩すことが出来たなら、ブルハリは転ぶはず。戦士達は皆、そう考えていた。しかし、現実はそんなに甘くなかった。
「バヒヒヒヒヒヒューン!!」
何事も無かったかのように“ポイント1”を駆け抜けるブルハリ。まるで金魚の糞のように、右前足に巻きついているロープ。そのロープを引っ張る者は、もはや一人もいなかった。皆、ハリケーンの餌食となり、空中にその身をあずけていたのだから……。
後に戦士達はこう語る。
【あれはまるで、ハリケーンのようだった】