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第3章 戦う理由


「……これが、ブルハリというモンスターの特徴だ。それでは、次にどうやってこのモンスターを“止める”か。その作戦を話そうと思う」

 

 ブルハリの説明を終えたラミールは、続いて作戦の話をしようとした。


「すいません。一つ質問いいですか?」


 ラミールの話を遮るように、一人の男が手を上げた。


「あぁ、クラリットくんか。なんだい? 手短に頼むよ」

「ありがとうございます。それでわ」


 深々と礼をした後、魔法使いクラリットは質問をした。


「先ほどからラミール隊長はブルハリを“止める”とおっしゃっていますが、ブルハリの進行方向を“変える”ではダメなのでしょうか?」

「あぁ、そのことか……」


 ラミールは少し話しづらそうなそぶりを見せ、2,3度咳をしてからクラリットの質問に答えた。


「確かに、ブルハリの進行方向を変えることは可能だ。そうすればグリーン王国は助かるだろう。でも、そうすることで他の国に被害がでる。我らが王はそれを善しとしないお方なのだ。わかってくれるかな?」


「わかりま……」

「つまり、ブルハリの進行方向を変えて、グリーン王国が助かっても、それによって他の国に被害が出ればグリーン王国は世界中の国々から批判を受ける。当然、王の立場は危うくなる。だからといってグリーン王国をブルハリに破壊されるのも困る。だから、ブルハリがグリーン王国に来る前に“止めろ”ということだな? 王にそう、命令されたということだろう?」


 クラリットの声を遮るように、モンスターハンター『牙』が大きな声でそう言った。


「まぁ、そう言うことだな」


 ラミールは少しばつが悪そうな顔で牙に応えた。


「そして、もし失敗したら、全責任はグリーン王国防衛隊長であるお前がとれと、王に言われたんだろ?」


「…………」


牙の鋭い問いに対して、ラミールは無言で答えた。


「……わかった。俺の戦う理由はそれだけで十分だ。絶対にブルハリを止めてみせる! それじゃ、俺先に行っているぞ!」


 そう言うと牙は作戦も聞かずに、ブルハリのもとへと向かおうとした。


「お、おい! ちょっと待て。作戦を聞いてからにしろ! おい!」


 牙はラミールの言葉など聞く耳持たず。さっさと城から出て行った。


「はぁー……ったく。あのバカ。クラリット君。悪いけど、牙について行ってくれないか? 人間の足じゃブルハリには追いつけない。そこで、魔力を原動力にして走る『魔車ましゃ』を城外に用意しているから。それに乗ってブルハリのところに向かってくれ。作戦については、頭のいい君ならもう理解しているだろう? それじゃ、頼んだよ」


「あ、はい。わかりました」


 そう言うと、クラリットは牙の後を追って城外へと向かった。


~用語解説~


『魔力』

人間の体に流れる力の一種。魔法使いはこの魔力を消費することで魔法を使える。魔力には『強い・弱い』があり、同じ魔法でも使う者の魔力が違えば、当然その威力も異なる。また、魔力の強い者に対して、魔力の弱い者が魔法を放っても、効果がない場合がある。モンスターにも魔力というものが存在し、モンスターが使う魔法のことを『特殊能力』と呼ぶこともある。当然、使いすぎれば枯渇するが、体力と同じである程度休めば回復する。


魔車ましゃ

魔力を原動力にして走る車。最大200キロ近くのスピードがでるが、速く走るためにはそれなりの魔力が必要である。また、高級魔車であれば、ナンパの成功率がグンッ! とあがるため、モテ男の必須アイテムでもある。


『クラリット』

この物語の主要人物。まだ、新米の魔法使いである。ラミール、牙とは前作“踊る巨剣と霧の舞”で知り合った。体力と魔力はあまりない方だが、頭脳明晰である。牙のことを少し馬鹿にしている。


きば

この物語の主人公。(全長20メートルほどの)巨大な剣を使って戦う姿から『ダンシングソード』という異名を持つ。また、魔力を一切持たないという珍しい人間である。そのかわり、20メートルもある巨剣を振り回すことが出来るほど、超怪力の持ち主である。バカである。

ちなみに、ラミールとは親友である。

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