第13章 賢者の報酬
「そうですか……賢者様の力でもブルハリを止めることはできませんでしたか…………」
ラミールは酷く落ち込んでいた。“ポイント3”を突破された。それは、任務の失敗を意味していた。そして、愛する母国が巨大なモンスターによって踏み潰されるということが、ほぼ確定したからだ。
「すまんのぉ。ブルハリの足の魔力が異常に高くてのぉ。ワシの魔力では太刀打ちできんかったわい。どうやら、ブルハリというモンスターの本体はあの“足”のようじゃな。ワシの魔法で頭を吹き飛ばしても、そのまま“足”だけで走り続けおった。しかも、強力な足の魔力によって、直ぐに頭部が再生しおった。お手上げじゃ。さすがはレベル40といったところかのぉ……」
賢者パピルは余程敗北が悔しかったのか、妙に饒舌に戦闘結果を報告していた。
「賢者様、ご協力ありがとうございました……」
ラミールはか細い声で感謝の言葉を言った。そんなラミールに対して、賢者パピルは毅然とした態度でこう言った。
「ブルハリを止めることはできなかったが、ちゃんと報酬はいただくぞ。ワシの今回の報酬は『活きのいい男6人』だったけど、失敗しちゃったから『活きのいい男3人』に負けてやるわい。それじゃ、ちゃんと準備しておくんじゃぞ~」
そう言うと、賢者パピルは『テレポート』の呪文を唱えて消えた。
<一方その頃、牙とクラリットは……>
「おい! どうすんだよ! グリーン王国までまだ5キロくらいあるぞ! なんで魔力が無くなるんだよ! このへっぽこ魔法使い!!」
「なんですって!! 牙さんは魔力ゼロのくせに、威張らないでくださいよ! この怪力バカ!」
「なんだとぉお!! もう怒ったぞ! ぶん殴ってやる!」
……喧嘩をしていた。