第11章 賢者
「“ポイント1”に続いて“ポイント2”でも作戦失敗か……」
『ほら魔貝』という魔力を通して遠くの人と会話ができる道具を使い、各ポイントの代表と連絡をとっていたラミールは、頭を抱えていた。無理もない、残るは“ポイント3”のみであり、ブルハリにそこを突破されてしまうと後がないのだ。
「こうなったら、あなた様の力に頼るしか、我々にできることはありません。“賢者”パピル様……どうか、ブルハリを止めてください」
ラミールは“賢者”と呼ばれる老婆に向かって頭を下げた。
「ほほほ。ワシの力でブルハリを止められるかどうかわからんが、やれるだけのことはやってやる。安心せい。ところで、ちゃんと“報酬”は用意してくれているのかのう?」
そう言うと賢者パピルは曲がった腰をトントンと叩きながら立ち上がり、ラミールの顔をマジマジと見つめた。
「あ、はい。ちゃんと用意する……つもりです」
ラミールが少し口ごもりながらそう答えると、賢者パピルはニヤリと不気味に笑った。
「ほほほ。“報酬”楽しみにしているぞい。それじゃ、ちょっくら行ってくるわい。 我を誘え! 『テレポート』」
そして、『テレポート』の魔法を使い、“ポイント3”へと瞬間移動した。
「頼みますよ……」
ラミールは最後の望みを“賢者”に託し、静かに勝利を祈った。
<一方その頃、牙とクラリットは……>
「ポイント3へ急げ! もっと速く走れないのか?」
「だから、僕の魔力じゃこの速度が限界なんですよ。それに、ポイント3には行きませんよ。あそこには賢者様がいますから、僕らがいても邪魔になるだけです。なので、このままグリーン王国へ向かいます」
魔車に乗ってグリーン王国へ向かっていた。