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三題噺もどき5

コンビニ

作者: 狐彪
掲載日:2026/06/10

三題噺もどき―はっぴゃくはちじゅうよん。

 




 自動ドアをくぐると、冷たい空気が流れて出てきた。

 店内にはおなじみに入店音が鳴り、来客を知らせる。

 BGMも流れているけれど、誰かがしゃべっているという事しか分からない。

「……さむ」

「ね~」

 雪でも降った後かと思う程に寒い。

 冷房を効かせているからというのは分かるが限度というものが何にでもある。もう何か、夏服でいると寒すぎる。ただでさえ冷凍冷蔵があるんだから、そんなに冷房いらないのではと思ってしまう。

「……」

 腕をさすりながら店内を進んでいく。

 たいして広いわけでもない中には、時間のせいかスーツを着た人や作業服の人が少し窮屈そうにしながら陳列棚を眺めている。

 さっさと決めて手に取る人も居れば、悩みながら離れた位置にいる人も居る。

「なにたべよ~」

「ん~」

 中間テスト1日目が終わり、近くのコンビニに昼食を買いに来ていた。

 他にも数名同じ制服を着た人を見受けられるが、彼らはこの後そのまま帰宅するんだろう。リュック持ってるし、外に止めてあった自転車に鞄が置かれていた。

 よく置いていけるよなと思うが、まぁ、取られて困るものは入れてないんだろう。多分。

「……」

 私と言えば、あの子と同じように財布とスマホしか持ってきていない。

 リュックと鞄は学校に置いてきた。

 この後戻って昼食を食べて、時間が許す限りというか、あの子が飽きるまでは学校で勉強をするので。

「ぱん……」

「麺もなぁ」

 ある程度この時間に合わせて補充はされているんだろうけど、あまりものはない。

 というか、気分じゃないモノが残っていたりするから何とも言えない。

 麺類はその後のつゆの処理が面倒なので学校では食べようがない。

「なにたべる~」

「なににしよ」

 寒さに震えながら、弁当の棚を離れ、パンをもう一度見る。

 甘いものばかり残っているが……あぁ、このりんごパンとやらなら食べれるか。

 チョコチップとかもいいが、あんまり量は食べられないし。

「私もパンにしようかなぁ」

「その手に持ってるのは?」

「これは、別」

 見れば、お菓子を手に持っていた。

 まぁ、食事とはまた別ではあるのか。

「これ探してて~」

「へぇ」

 そう言って見せられたのは、薄紫のパッケージ。

 表面には花畑のようなものが描かれ、その中心に一等大きくすみれの絵が描かれている。どうやらクッキーらしいが……というか今のこの時期にすみれのお菓子が売られていることがあるのか。関係ないのかな。

「おいしいのそれ」

「分かんないけどおいしそう」

「……」

 そう言って、以前もそんなの買って私がほとんど食べた気がするが。

 まぁ、いいか。

「何買うの」

「チョコパンにしよ」

 私もついでに飲み物を買って置こう。

 学校に自販機はあるのだが、それじゃなくてコンビニのストローで飲むカフェオレが欲しいこともあるのだ。

「おけ?」

「おっけー」

 それぞれ買う物を手に取り、レジへと向かう。

 少し空いてきたのか、店内にいた大人たちはいつの間にかいなくなっていた。

 それに反するように制服が増えていくようにも見えるが、気のせいだろう。

 さっさと買ってさっさと学校に戻るとしよう。

「おねがしまーす」

 レジをさっさと通していく店員さん。

 さすが慣れているというか素早いというか、そこまで量を買っていないので、こちらがお金を出す方に時間が掛かって申し訳ない。

「ありがとうございました。」

 軽く会釈をしながら袋を受け取り、コンビニを出る。

 ジワリと汗が噴き出そうになる。

 昼間はやはり暑い。これがまだ6月なんだから信じられない。

「おまたせ~もどろ」

「ん」

 学校までの道のりを、2人でゆっくりと歩いていく。

 この何でもない時間が。











 お題:雪・すみれ・りんご

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