第三話 これからの話
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この小説の、八話から十話をセットにしたバージョンです!
三話程を、一つにまとめて投稿するため、投稿は、3日に一度程となります!
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「おーい!おーい!聞こえる〜?」
「うっ、うう。聞こえてるよ、一応」
「それならよかった。痛い所ある?」
あの後、そのまま少女は気絶してしまった。それと同時に、お互い服が、私は元々着ていた服に、少女は、元々着ていたであろう服に戻った。
全く、意味がわからない力だ。
「ない。てゆーか、話し方全然違くない?」
「本来は、こっちだよ。さっきはちょっとハイになっちゃってただけ。」
少女は、ふーんといってそのままゆっくりと起き上がった。背中についた土をポンポン払いながら、口をひらく。
髪の色は、さっきまでのような奇抜な色ではなく、なったものの、まだ少し赤みがかかっている。
そういう私も、少しピンクがかっているような?
「なんで、あたしのこと殺さなかったの?すごい怒ってたじゃん」
「うーん。だって、洗脳されてたでしょ、あなた。それに、あの『発動』には、洗脳を解く効果が、奇跡的にあったの」
「よく気づいたねぇ。そうだよ。人を刺して回ることに疑問を抱かないように、コントロールされてたみたい。好きだよ」
「見えたんだよ、あなたの中、魂がね。黒いのが張り付いてた。それを切り落としただけ」
「こわっ。あの槍やばすぎでしょ」
「それに、この力は、シオンちゃんを、色んな人を救うために使うって決めたから」
「アナタって、随分なお人好しなんだね。普通、槍で胸突き刺した人のこと、助けたりしたいよ。愛してる」
合間合間に、なんか言ってる気がするけど無視しよう。
「もういいよ。さっきのことは水に流そ。ほら、私も、酷いこと言っちゃったし…」
「大丈夫。それよりさ、これからどうする気?まぁ、大体わかるけど」
そう、これから。
この、よく分からない力で、一番にやるべきこと。
それは―
「単刀直入にきくけど、シオンちゃんがどこにいるか分かる?」
シオンちゃんの捜索と洗脳解除。
「微妙だなぁ。一応私の持ってる情報だと、そのシオンちゃんっていう娘は、私のことを刺した段階では、もう、なんかよく分からない組織に捕えられていて、そこから脱走してきてた。みたいな感じだったよ。まぁ私もさっきまでその組織の一員だったんだけどね」
「それで、そのっ」
「因みに、組織の本拠地はわからないよ。残念ながらね。目的も何もかもがわからないんだ」
情報が、少なすぎる。まぁ日本中探せば見つかるだろうが、少しでも絞りたい。
「ちなみに、あなたが刺された場所ってどこ?」
これで少しでも絞れれば…
「ん?広島だよ。私、家がそっちなんだ」
ふーん、広島。広島。
「広島っ!?」
「そ。広島」
「ちょっと待って、ここ静岡だよ!?えっ何できたの?」
「えっ、歩き」
「歩きぃ!?」
そんだけ、何にも考えず歩いちゃうわけでしょ。洗脳怖すぎぃ。
「あのさ、こんだけ話してまだ名前聞いてなかったんだけど、アナタ、名前は?」
そういえばまだ名乗ってなかったな。
「私は、太呂川 桃。モモでいいよ。あなたは?
「モモ、いい名前だね。こんないい名前をつけるご両親に挨拶しに行きたいな。婚約の。ま、それはそれとして。私の名前は、勝山 炎。ホムラってよんでね」
もうツッコミは、入れないでおこう。
「よろしくね、ホムラ」
「それで、なんだけどさ。モモは、今からシオンちゃんの捜索を始めるでしょ。そして、多分その過程で
、あたしみたいなな危ないヤツに会うことになると思う」
うん、確かにホムラは、二重の意味で危ないかもしれん。
「だからさ、一人より二人の方がいいと思うんだ!ほら、数的有利ってヤツ?だから、その…一緒に行っちゃうダメかな?」
ホムラの、突然の提案に驚く。
「別にホムラがいいなら、いいけどさ、なんで初対面の相手に、そこまでしてくれるの?広島に家もあるし、家族もいるんでしょ?」
大体わかるけれども。
「あの…。あたし、モモちゃんに助けられてさ、その〜、恋しちゃったんだ。モモちゃんに!だから、ね。好きな人のことを助けてあげたいんだ」
うん、知ってた。
「でもほんとにいいの?好きな人の、彼女の捜索なんて」
「いいよ!全然!探してる間に寝取っちゃから!」
おいおい。それを大きな声で、しかも本人の前で言うなよ!
「まぁ、いいや。じゃあよろしく。ホムラ!」
「こちらこそ!モモ!」
こうして、私たちの長い長いシオンちゃん捜索の旅が、始まったのだった。
ホムラが、シオンちゃん捜索に参加してくれる、というのは、とてもありがたいことなのだが…
「流石に、このまま探しに行くってわけにもいかないでしょ」
「うん、確かに。お互い結構、服とか体とか汚れちゃってるしね」
「うーん。あっ、そうだ。うちっち来る?こっから、まぁまぁ近いから」
「うちっち?」
あっそうだ。うちっちって確か方言なんだよな。
「ごめん、私の家来る?ってこと」
「まじ!?行く!絶対行く!今日日曜だよね。確か!ついでに、ご両親に挨拶しに!」
「そう。なら、行こう。ご両親ってのは、ちょっとがっかりしちゃうかもしれないけど…」
「ん?」
「まぁ、いいよ。行く途中に話すから。それより、ええと…ここどこだ?」
そう、問題はそこなんだよなぁ。
「えっ?わからないの!?」
「うん…。ホムラから、逃げるためにそのまま走って森の中に逃げちゃったから…。橋のところに戻れればわかるよ」
「まじかぁ。あと、何であんな朝早くに橋の端っこの方で突っ立ってたの?あ、これダジャレじゃないからね!」
さむっ!もうすぐ冬も近いからかな…?
「ん?まぁ、散歩だよ散歩。それで、この森たぶんそこまで広くないだろうから、すぐ抜けられるよ。多分」
決して、「あっ自殺しようとしてたんだよねー笑」とか言えないから、適当に誤魔化す。
「それもそっか!あはは」
良かった。誤魔化せたみたいだ。
「それじゃ〜!モモちゃんの家へ〜レッツゴー!」
「はぁはぁ、やっとついた。橋に。はぁ」
「どんくらい歩いたかな?はぁはぁ」
「陽の傾きからして、1時間くらいかな?モモちゃんだいじょぶ?ごめんね、私のせいで…」
めっちゃ時間かかった。ホムラについて、まだわからないことが、沢山あるが。わかったこともたくさんある。
まずは、私と同じ高校2年生であること。血液型は、B型で、姉と弟がいることなど。そして…
極度の方向音痴であることだ。
ホムラがこっちだ!と言った方向は、綺麗に全てハズレた。逆に才能だと思う。
「いいよ、全然。それに、無事に辿り着けたわけだし。えぇと、たしかこの辺に…、あった!自転車!」
こうして、なんとか無事に橋まで辿り着くことができた、私とホムラは、我が家へ向けて、歩き出した!
自転車は、一人で乗るわけにもいかないので、押して歩いている。
家までどれくらいかかるかな?うーん。単純計算で30くらいか。30分…
家を出たのが、6時くらい。そして、橋まで行く時間、ホムラと戦ってた時間、森の中で迷子になってた時間を足すと、8時ちょっと前くらいだろうか。
「そういえばさ。さっき両親がどうたらこうたら言ってたけど、結局なんなのー?」
「あ、それは…」
ホムラに両親のことを話す、ついでに三週間前のことも。
「なんか、そのー。こめん!聞いちゃって!悪気があったわけじゃないんだよ!いや、ほんとごめん!」
「いいよいいよ、それより、もうすぐ着くよ」
「いぇい!やっと休める〜」」
家を出発したとき、私は、もうこの家とか、一生見ることはないんだな、しみじみ。とかいって、自転車漕いでたのに、がっつりもう一回見ちゃったわ。完全なる想定外。
まぁ、でも、この家にもう一回戻って来れて…
「ここだよ私の家。やっとついた〜」
「おぉ、いい家住んどりますなぁ」
本当に良かった、と今では思っている。
「ええと、鍵、鍵。あった」
ズボンのポケットの中に、手を突っ込み、鍵を発見する。よかった。『解放』のときに消滅しちゃいました〜、とかじゃなくて。
そういば、この服昨日から着てたな…シャワーして着替えよ。
二つある鍵を、開け、家の中に入る。
「ただいま」
「おっじゃましまーす!」
本当は、この家にも、帰ってくるつもり、なかったんだけどな。今のただいまは、この家に向けて、ということにでもしておこう。
「ええと、ここまっすぐ行って、左側がリビング、右の手前がトイレで、奥がお風呂ね。にしても疲れた。とりあえず、水飲も!」
「ありがとう。何から何まで。なんか悪くなってくるなぁ」
「いいのいいの、完全に個人的なことを手伝ってくれるんだもん。動機はおいといて」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいますっ」
二人でリビングに入った。私は、台所に。ホムラはソファのある方に行った。
「確か、ここら辺に使ってないのが…。あっ、あった」
使っていなかったコップを見つけ、棚から取り出す。長く使っていなかった物なので、丁寧に洗って、自分のも一緒に、水を汲む。
「おまたせー」
「ありがとう!あれ?このテーブルに乗ってる紙なんだろ?い、しょ?」
「あ!それ、だめっ!」
「ってこれ!遺書じゃん!なんでこんなんあるの!?太呂川桃って書いてあるから、書いたのモモだよね?」
「あのっ、それは、ええと…」
しまった!なんちゃって遺書書いて、置いたことすっかり忘れてた!
「…わかっちゃった。モモが、なんであんな時間に橋の上にいたのか。全然、散歩なんかじゃないじゃん!」
「だって!自殺しに来ました〜。なんて言えないじゃん!」
「それは、そうだけど!モモ、予想以上に重たい女だな。まぁ、そういうところも好きだけど」
「はい!この話は終わり!ほら、汚れてるから。さっさとシャワーいこ」
「うん。そうだね。ん?シャワー?」
言ったその次の瞬間、ホムラは目を輝かせる。
「あのさ?」
「うん?どした?」
「私たちってさ、多分長い付き合いになると思うんだよね」
「まぁ、うん。そうなる、かもね」
「それだったら、できるだけ早く体の付き合いをした方がいいと思うの!だから!一緒にシャワーを…」
「浴びないよ!?それ普通彼女持ちの人に言わないでしょ。ほら、先ホムラからでいいよ。タオルとか着替えは、用意しとくから」
「そんなー!わかりました。お先失礼します」
そう言って立ち上がると、風呂場の方に向かって行った。
こえーな。執念というか、何というか。マジで寝取りに来てるわ、アレ。
私も立ち上がり、バスタオルと着替え(下着を含めた)を準備をする。着替えは…私のパジャマでいっか。たぶんサイズは、大丈夫だろう。
そして、しばらく経ち、ホムラが出てきた。
「ふぅー。スッキリスッキリ。一週間ぶりだったからなぁ」
なんか鼻を押さえてるな。
「よかった。服、キツくない?」
「ん?大丈夫だよ。ちょっと胸がきついくらい」
小さくて悪かったな!あれ?なんかちょっとクラクラしてるけど大丈夫かな?のぼせる…わけもないだろうし。まぁいいや。
「じゃあ私も入ってくる。あ、余計なことはしないでね?」
「はい!任せてください!」
信用できねぇ。取り敢えず、表面上は、信じて脱衣所に入る。
なんか赤い。ところどころ赤い。なんだこれ?
「あっ」
全て繋がった。鼻を押さえながらの登場、謎のクラクラ。
「あいつ、私のモノに興奮して鼻血出しやがったな!?」
あー、やばい。私は、とんでもないヤツを仲間にしてしまったのかもしれない。
まぁ、掃除は後でするとして取り敢えずシャワー浴びよ。
「はぁ、気持ちいい」
今日のこの数時間で、とんでもないことが立て続けに起き、疲れも溜まっていたが、お湯と一緒に流れていってしまいそうだ。
…シオンちゃんの情報は、得た。まだ生きている。その情報だけで、涙が出そうなくらい嬉しかった。後は、何がなんでも見つけ出すだけ。
あれ?今なんか感じたような?
疑問に思いつつも、シャワーを浴び終えた私は、服を着てもう一度リビングへと戻る。
「お疲れ、モモ」
「はい。…なんかすごい嬉しそうだね」
「そう?」
ソファに座ったホムラの顔は、満面の笑みを浮かべている。なんか怪しいけど、これ以上探るのは、やめておこう。
「さっぱりしたところで、今後の話なんだけどさ」
「うん」
私が、今後のシオンちゃん捜索についての話をしようとした、次の瞬間。
「ホムラァァ!いるのはわかってる!出てこい!」
そんな怒号が、外から聞こえてきた。
「えっなに?これ」
「はっ?いやっ、まさか」
私がポカンとしていると、ホムラは顔色を変えてリビングを出て、玄関に向かっていった。
「どうしたの!?ホムラ?」
私も走ってホムラの後を追う。靴を履いて外に出ると…
白い髪の毛、着物みたいな服、そして、頭に天使の輪っかをつけた少女が、少し先の道路に立っていた。
この特徴から導き出されるのは――
「敵だッ!」
ゆったりムードが一転、辺りに緊張が走った。




