コミック3巻発売記念番外編:おせち
本日1/4
『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』
コミックス3巻発売されました!
描き下ろし番外編もあります!
また『妃教育から逃げたい私』という作品のアニメ放送が明日1/5から開始されます!
そちらも楽しんでいただけると嬉しいです!
どちらも詳細は活動報告にあります!
それでは番外編お楽しみください!
「フィオナ様~!」
「ん? アリス?」
庭で作業しているとアリスの声が聞こえた。
畑から顔を上げるとアリスがこちらに走ってくる。
ちなみにアリスが来た時は屋敷に上げていいと使用人に伝えているので、無断で家に入ってきたわけではない。
「どうしたの?」
「私、私……」
アリスがブルブル震えてる。
「初めてニックさんから一本取ったんですー!」
アリスの瞳が輝いていた。
「これはもう騎士になれるのでは!? どう思います!? ねえ!?」
「お、おめでとう……」
アリスのテンションにちょっと引きながら言うと、アリスは「というわけで!」と私の肩を掴んだ。
「おせち! 食べましょう!」
「え……?」
突然のおせち発言に私はポカンとアリスを見た。
「いえ、この世界、おせちないじゃないですか……食べたい気持ちあったんです」
確かに新年におせち食べる文化はこの世界にはない。ジャポーネにはあるのかもしれないけど今のところそういったものがあるという情報はなかった。
「でもせっかくのことなので、お祝いということで! この機会に食べましょう!」
なるほど、一本取ったのは口実で、アリスはおせちを食べたかったのだろう。
私は少し考えた。
おせち……材料はなんとかなりそうよね。
「いいわよ」
「やったー!」
「でも作るの手伝ってね」
「え?」
私はアリスに微笑んだ。
「おせちってね……とっっても手間がかかるのよ」
私はおせちを作る工程を頭に思い描き、遠い目をした。
「一人だと時間がかかるから、アリスも手伝ってね」
もう一度微笑んで言うと、アリスは青い顔をしながらも頷いた。
◇◇◇
「きゃーーーー! 何か吹きこぼれましたフィオナ様!」
「アリス! 火加減! 火加減大事だから!」
「コンニャクネジネジしなきゃいけないのなんでですか!」
「手綱の形に見立ててるの! 心や精神を引き締める意味があるの! あと結び目にも見えるから縁を結ぶ「良縁成就」の縁起も担いでて、さらにこの形のおかげで火も通りやすくなって箸で持ちやすくなるのよ!」
「フィオナ様博識!」
ワーギャー騒ぎながらもなんとか作れた。
アリスは剣の訓練ではそんなに疲れないのに、今はゲッソリしている。
「前世の母の偉大さを噛み締めています……」
「そ、そうね……」
「こんな大変なものを毎年作って……うぅ……」
世の中の毎年おせちを手作りする人って本当にすごいわよね。手間がすごいもの……。今回は手に入らなかったから仕方ないけど、既製品が手に入るなら正直それに頼りたい……。
「でも頑張ったおかげでこんなにいい出来よ!」
私は並べたおせち料理をアリスに見せた。
そこにはアリスが苦労しながら作ったおせち料理があった。
「これを……私が……作った……?」
アリスが信じられないという表情をする。
そうよ、アリス……。
あまりの料理の出来なさに苦労したけどあなたも一緒に作ったのよ。
「さ、食べましょうか!」
「はいっ!」
アリスが嬉しそうに席に着いた。
「「いただきます」」
二人で口を揃えて挨拶し、おせちに箸を伸ばす。
「んー! おいしい!」
アリスが満足そうな声を上げた。
「頑張った甲斐があったわね」
「はい!」
アリスは本当に嬉しそうだ。
「でも食べ過ぎも注意よ。おせちは長持ちさせるために、塩分も多めだから。ほどほどの量食べて、残りは包んで持たせてあげる」
「数日かけて食べるものですもんね! ありがとうございます!」
アリスが自分で作った煮物を美味しそうに口にする。よかったね、アリス。まさかあそこまで料理できないと思わなかったから半分おせち作り諦めてたよ。
「私今日は初夢で母に会って、感謝の気持ちを伝えることにします」
「お母さん喜ぶね」
初夢ってそんな都合よく見れるものだろうかというツッコミは置いておいた。
●オマケ●
ルイスが突然やってきた。
「アリス嬢がフィオナと『オセチ』とかいうものを作ったと聞いたがどうして俺には食べさせてくれないんだ!?」
「えっと……」
日本人でも意外と好き嫌い分かれるので、この中世ヨーロッパ風の世界の人達の味に合うかわからなかったからである。
本日1/4『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』
コミック3巻発売されました!
また『妃教育から逃げたい私』アニメ放送明日1/5開始されます!
両方詳細は活動報告をご確認ください!
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