表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/90

82、対峙

本日ジャンプTOONにて

『契約婚約ですがどうやら愛されているようです』

連載開始されました!

現代社会人ものです!


『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』

小説2巻は7/5発売です!

よろしくお願いいたします!

(詳細は活動報告にて)



「ああ、そうだな。……大事な転生者として、その知識を奪ってやるさ」

「――え?」


 自分の予想と違う反応が返ってきて、ミリィが固まった。


「私のこと、お妃様にしてくれるんじゃ……」

「転生者ごときが何を世迷言を。反乱軍の動きを教えただけで妃になれたらこれほど楽なことはない」


 皇帝はミリィの腕を引き剥がした。


「お前はその辺にあるゴミと結婚できるのか?」


 皇帝にとって、ミリィとは……いや、転生者とはそういうものだということだ。同じ人間なのに、なんて酷い。


「ふむ。だが、お前なら多少遊んでもよい」


 皇帝が楽しそうに私に近づく。


「中々綺麗な顔をしているではないか。これなら楽しめそうだ。しばらくお前を私のオモチャにしてやろう」

「……冗談じゃない!」


 私は後ろ向きに手を動かした。

 そう、機械の最後の一手を。


「っ! 貴様!」


 私の行動に気付いた皇帝が、私を殴るが、すでに遅い。

 機械は作動し、シャッターは開いた。一気に反乱軍が押し寄せ、今頃皇城は混乱に包まれているはずだ。

 人々の大きな声が聞こえる。

 皇帝が私を睨みつける。


「なんということを……この女!」


 皇帝がブルブルと震えている。怒りか恐怖か。その両方か。

 私は彼に向かってにこりと笑った。


「死ね、クソ野郎」


 私の言葉にこめかみをピクリとさせた皇帝は、持っていた銃を私に向ける。


「死ねこのゴミめがぁぁぁぁぁ!」


 私は目を瞑った。

 ああ、帰れなかった。でも私の選択は間違っていないと思う。

 転生者を救って、この腐った帝国を潰せたんだから、頑張ったわよね、私。

 ふと、私の脳裏にルイスが浮かんだ。


 ――帰れなくてごめんね。


 しかし、急に腕を引かれ、誰かに抱きしめられた。


 そして大きな銃声が聞こえた。でも私は撃たれていない。

 私はパチリと目を開く。

 痛みはない。間違いない、今撃たれたのは、別の人間だ。


「ゴミはお前だ」


 耳にルイスの声が聞こえた。

 私は恐る恐る顔を上げた。


「……ルイス?」


 そこにいたのは、ルイスだった。

 ルイス? 本物?

 私はそっとルイスの頬に触れる。確かに温かな肌の感触がする。夢じゃない。


「ルイス?」

「遅くなってごめん、フィオナ」


 ルイス。ルイス。ルイス!

 私はルイスに抱きついた。


「こ、怖かったぁ!」

「そうだよな、ごめんな」

「が、頑張ったぁ!」

「そうだな、偉いな」


 今まで我慢していたものが、全部溢れ出したように、涙が止まらない。

 ズビズビ泣いてルイスにしがみつく。ルイス、本物だ。私のことを守ってくれる手だ。

 ルイスはハンカチを取り出すと、私の顔を拭ってくれた。


「ほら、鼻水まで出てるぞ」

「うっ」


 鼻水まで拭われてしまって、少し冷静になった。


「あの、皇帝は?」


 私は皇帝がいたであろう場所を見ようとしたが、ルイスの手に遮られた。


「見ないほうがいい」


 ルイスがそう言うということは、撃たれたのは皇帝で、おそらく撃ったのはルイスだ。


「ルイス、いつ銃なんて?」

「ここに来る前に習った。帝国と戦うなら必要だと言われて」


 手に持っていた銃をルイスが仕舞う。


「そもそも、どうやってここに?」

「フィオナがいなくなって、帝国に連れて行かれたんじゃないかって。それでエリックの協力のもと、最短で帝国に来れるルートで船を出して、なんとか追いついたんだ。それで、反乱軍の情報を聞いて、彼らと協力して帝国を倒すことにした」

「エリックが?」

「エリックはこの国出身だろう? それにエリックも、父親が転生者だったらしい」


 ルイスの口から転生者という言葉が聞こえて驚いた。


「転生者について聞いたの?」

「ああ」


 ルイスが私の手を握る。


「フィオナもそうなんだろう?」

「……うん」


 知っているなら、もう嘘をつく必要はない。だけど、転生者であることをルイスにどう思われるか。私は不安になった。


「そうだったら説明が付く。フィオナは前世の知識で健康になろうとしたんだな」

「うん……前世の記憶を取り戻したのが、あの、頭を打って何日か寝込んでいたことあるでしょう? あのときで……」

「そういえば、あのときから、フィオナの行動は変わったな」


 あのときから変わったことに気付いていたらしい。

 どうなるんだろう。元のフィオナとは違うと言われるのだろうか。初恋のフィオナを返せと思っているだろうか。




「でもフィオナはフィオナだろう?」




読んでいただきありがとうございます!

もしよければ、ページ下部の★★★★★クリック評価や、ブックマーク追加で応援いただけるととても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病弱令嬢コミックス4巻発売!
 


『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』

コミックス4巻本日8/5発売!


描き下ろし番外編もあります!!

平置きしてない場合もあるのでこちらの実物写真ぜひご購入の際の参考にしてくださいね!

i00000


作品書影&情報はこちら⬇

i00000


『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』
コミックス4巻


発売日:2025年8月5日



あらすじ

健康オタクがバレた悪役令嬢×過保護が加速する公爵令息のラブコメディ

領民の生活改善を進めたことから、国全体の健康改善プロジェクトにスカウトされたフィオナ。
その主要メンバーは「きらめきの中に」の攻略対象の面々!
作中では彼らの前で断罪される運命であり、内心穏やかでないフィオナ。
ジェレミーはフィオナに好意的なものの、その側近・サディアス、婚約者・カミラからはそうでもないようで、ちょっと一筋縄ではいかない状況に…。
さらにジェレミーを意識するルイスからは「殿下のことが好きなのか?」と問われ!?



特典詳細はこちら↓

i00000


特典は4種類!
小箱ハコ先生の描き下ろし漫画に、
描き下ろしイラスト付きの私の書き下ろし特典SS!

それぞれ2種類ずつあるのでぜひお好みのものをゲットしてください!

ぜひお手に取っていただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!

あと下に、
『妃教育から逃げたい私』のグッズ通販情報と、
『せっかく令嬢に憑依したのにすでにやらかした後でした!』6巻の情報です!

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

『せっかく令嬢に憑依したのにすでにやらかした後でした!』

コミックス6巻8/2発売!


コミックシーモアさんで発売されてます!
(その後各電子書籍ストア配信予定)

なんと今なら6巻発売記念キャンペーンで
1~2巻無料で読めます!

気になってる方ぜひ読んでみてください!

元は縦読み漫画ですがこちらの単行本版は横読みになってます!

i00000


『せっかく令嬢に憑依したのにすでにやらかした後でした!』 コミックス6巻


発売日:2025年8月2日



あらすじ

社畜のように日々働いていた主人公は、ある日、目が覚めると異世界の令嬢クリスティナに憑依していた。
望んでいたような人生のやり直し、ではない。
記憶によればこの身体の持ち主はとんでもない悪女で、すでに色々『やらかしたあと』だった!
王太子からは「次はない」と脅され、抑制の手段という理由で監視役の公爵令息からは「一緒に住む」と言われ…!?
本気で抹殺の理由を得ようとしていると震えるクリスティナは、好感度を下げないために労働することを思いつく。一方、公爵は監視の他にも思惑があるようで……。

やらかし終えた元悪女と、監視役公爵との無自覚ロマンスファンタジー!



ヒーローの過去(子ども時代)出てきます!
そう、表紙の子どもはヒーローです!
ぜひお読みください!

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

『妃教育から逃げたい私』
POP UP SHOP 事後通販開始!


POP UP SHOP行ってくださった方ありがとうございます!
そして行けなかった方…もしくは買うか悩んでやっぱり買いたかった!と後悔している方…

8/4から事後通販始まってます!

i00000


こちらのグッズは菅田うり先生のイラストのものになります!

どれもとっても可愛いのでぜひ!
(私もキーホルダー追加で買おうと思ってます可愛い!)



ぜひお手に取っていただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!


― 新着の感想 ―
[一言] しかし、こうも簡単に状況がひっくり返るということは、皇帝、余裕が有るように見せて、かなり追い詰められていたのですね。 籠城し、『甘い汁を吸わせて味方にした兵士たちが、反乱軍を蹴散らすのを待つ…
[一言] 戦闘シーン関係苦手なのかはわかりませんが、ちょっと色々とすっ飛ばし過ぎでは?
[気になる点] いくらなんでも、簡単にひっくり返り過ぎでは? ルイスが、金に飽かせて、大量の傭兵を雇ったというのなら、まだともかく。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ