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【コミック6巻2026年8/5発売】病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)【ボイコミ2026年8/19開始!】  作者: 沢野いずみ
第二章

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79/92

77、エリックの過去



 フィオナの捜索が暗礁に乗り上げた。


「どうして見つからない!」


 俺は机を大きく叩く。俺の怒りの行動を、咎める者はいない。婚約者が誘拐されたのだ。みんな痛ましい目で俺を見ている。

 もう誘拐されてから数時間は経過した。時間が経てば経つほど誘拐された痕跡を探すのは難しくなる。

 フィオナはどこにいるんだ!

 最後に消えたのは劇場のトイレだ。丁寧に他の人間が入らないように『掃除中』の立て札がされていて、目撃者はいない。

 唯一の手がかりはその近くに落ちていた国旗だ。


「リビエン帝国関連の船はない?」


 今まで何か考え事をしていたエリックが口を開いた。


「あの国旗があったから、真っ先に疑って調べた。怪しいものは出てこなかった」


 ジェレミー殿下が答える。


「友好国は?」

「友好国?」

「あの国は友好国という名目の属国がある。その中でもリビエン帝国に従順なのは――アルメニアだね」

「! 今すぐアルメニア関連の船を調べろ!」


 エリックの一言で、場が動いた。


「なぜもっと早く言わなかった!」

「今のリビエン帝国と関係している国がどこか考えていたんだ。僕が国を出たときとまた情勢が変わっているからね。だから、王太子殿下の部下に新聞の調達をお願いしたんだ」


 エリックの周りには新聞が散乱していた。

 もう少し早ければ、すぐにフィオナを見つけられたのではという思いからエリックを責めてしまうと、エリックは淡々と事情を説明した。

 そうだ。エリックだってわかっていたらすぐに言っていたに決まっているのに。


「悪い……」

「いや、気持ちはわかるよ」


 エリックがポツリと言った。


「僕も家族を奪われたから」


 エリックの言葉に、俺は彼を見たが、感情のわからない表情を浮かべていた。


「奪われたってどういう――」

「見つけました!」


 そのとき、兵士が叫んだ。


「アルメニア行きの船が一隻ありました!」

「よし、すぐにその船に行こう」

「い、いえ、それが……」


 兵士が気まずそうに声を出す。


「すでに出航してから五時間経っています……」


 その言葉に、その場の全員が言葉をなくした。

 五時間。とても縮められる距離ではない。


「クソッ!」


 俺は壁を殴った。フィオナが連れ去られたというのに、俺はなんて無力なんだ。


「諦めるには早いよ」


 みんなが気落ちしている中、エリックが地図を指さす。


「この海域、潮の流れが速くて、みんな避けて通るけど、実はこの部分だけうまく抜けられるようになってる。ここを通ればかなりの時間短縮になる」


 エリックが説明する。


「どうしてそんなことを知ってるんだ?」

「帝国から追われているとき、ここしかバレずにいく海域がなかった。一か八かでいったら、この海流を見つけたんだ」

「追われているとき……?」

「……」


 エリックは悩んだようだが、意を決したように口を開いた。


「みんなよく聞いてほしい。これから言うことは真実だ」


 みんながエリックに注目し、口を閉ざした。


「リビエン帝国は、国家主導で人攫いをしている」

「なんだって!?」


 エリックの告白に、その場がざわついた。国家主導の人攫いなど、あっていいはずがない。にわかに信じ難いが、エリックが嘘を吐いているとも思えない。


「そんな話は聞いたことはないが」


 ジェレミー殿下が困惑した表情を浮かべてエリックに確認する。


「僕がいたころは帝国内だけで行われていたんだ。ある特定の人間だけ、国に捕えられる……だから露見しなかったんだと思う。捕らえられた人は逃げたら家族を殺すと脅され、家族は口外したら捕らえた人を殺すと脅される。……きっと、帝国内では狩り尽くしたから、他国にも手を伸ばしているんだろう」

「そんな……」


 衝撃的な真実に、みんな言葉を失った。カミラ嬢は青い顔をして、ジェレミー殿下にしがみついている。


「僕の家族も攫われた。僕の父で、僕に医学のすべてを教えてくれた人だ」


 エリック自身が被害者だったのだ。


「僕も……本当は対象ではなかったけど、父の知識を持っているからという理由で捕まりそうになったんだ。父が身を挺して助けてくれて、一人だけ逃げることができたけど、父はそのまま捕まってしまった」


 エリックがギュッと拳を握った。


「これから話すことは、さらに信じられないことだと思う。だけど、きっと腑に落ちると思うから、聞いてほしい」


 エリックは息を吸い込んで、一度吐く。


「帝国は、『転生者』を攫っている。――そして、フィオナ嬢もその一人だ」



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『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』6巻8/5発売&ボイコミ化お知らせ
 


『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』

コミックス6巻
本日
8/5発売!


今回も描き下ろし小箱ハコ先生の番外編もあります!
また特典もありますよー!
頑張って書いたので楽しんでいただけると嬉しいです!

特典など諸々詳細はこちら⬇

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『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』
コミックス6巻


発売日:2026年8月5日



あらすじ

王太子妃にと求められた悪役令嬢×過保護を譲らない公爵令息のラブコメディ

正ヒロイン・アリスと気脈を通じたのも束の間。フィオナは、国王から才能を認められ王太子妃――つまりジェレミーの妻になるよう求められる!
ジェレミーには既にカミラをはじめとする婚約者候補がいる…。
それにフィオナの婚約者ルイスも黙ってはいないが、さすがに王家に逆らえるのだろうか…。
そんな不安を抱えたまま、フィオナの爵位授与パーティーが行われて…!?

原作沢野いずみ先生書き下ろしの特別ストーリーのオーディオドラマが聴ける二次元コード付き♪
キャストは人気声優が出演!

◆キャスト◆
ルイス:千葉 翔也さん
フィオナ:ファイルーズあいさん

※オーディオドラマの視聴期限は【2027年8月4日】まで



なんと今回、オーディオドラマついてます!

期日内に楽しんでいただけると嬉しいです!

そして

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ボイスコミック化決定!

フィオナ役は ファイルーズあい さん
ルイス役は 千葉翔也 さん

とっっても素敵な演じてくださってるのでぜひ!

ボイスコミックについては開始されたらまたお知らせします!
(予定ではYouTubeのキトラチャンネルで8/19開始です!)

実物の写真もあります!
背表紙など書店で探す際の参考にどうぞ!

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コミカライズはカドコミさんで連載中!



ぜひお読みいただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!


― 新着の感想 ―
[一言] やはりエリックの父親も転生者だったか。
[気になる点] 王国へ拉致実行者を差し向けられる帝国なら、とっくに、逃亡したエリックを捕えることが出来たのでは? エリックは偽名で、男子の姿に変装しているけど実は女の子だったとか? それなら、帝国の…
[一言] 内部事情に詳しいとはいえエリックが新聞(一般公開情報)から判断できることを、王城上層部の面々が即座に上奏できないのは、この国は情報部門どころか外交部門もまともに機能してないってことになるので…
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