The other me『■』text data「7」国への案内人
旅に出るまでが長い!
その少女は工と同じ容姿だった傷痕の位置や数までも、瞳は目を瞑っていて見えないが恐らくは同じ色なのだろう。
「貴方は、誰…?」
そう問い掛けるも返事は無い、工は俯いて…自分の胸の辺りが透けて丸いエネルギーの塊のような半透明の球体が見えた、球体は淡く光を発していて工の感情と同じように淡く光の加減が変わり続ける、そして顔を上げると、彼女にも同じ光が見えたが。
「割れてる…光が…」
彼女の光は割れておりとても小さく弱々しかった。
「だいじょ…___ 」
心配で声を掛けようとした瞬間、工は早朝に目覚めてしまった、まだ外も薄暗く出掛けるのは危険に思えた、何もやる事もなく工は。
「ステータス」
ステータスを出現させ眺め続ける。
「名前…決めないとな…何が良いかな」
工はふと置いて来た親友が気になった、そうして釣られるように親友と一緒に遊んだスマホゲームが思い出された。
「ユラ…て確か公式のランダムで決まるニックネームだっけ」
そう工はゲームでは名前が思い浮かばずに公式のランダムで決まるニックネームを最初から最後まで使っていた、なんとなく、ユラと言う名前が字の繋がりが親友と共に遊んだ名前が、自分を導いてくれると感じた。
「あまり願掛けとか信じるタイプじゃ無いんだけどなぁ… よしっ!今日からはユラと名乗るか!」
だいぶ明るくなった外を見て気合を入れるように元気よく立ち上がる。
「うん、サバイバルは無理があるなさっさと街を探すか、人に出会えたら楽なんだけど、ゴブリンはいらない」
そう言ってユラは朝早くに仮拠点から歩き始める街を探して。
「無い!街がなーい!」
半日ほど歩いているが街どころか獣道すら発見できなかったユラは何処か高い場所に登り周囲を見渡してみる事にした、だが森でそんな高い所は無く取り敢えず一番高い木に登る事に予定変更して高い木を探す、割とすぐに見つけこの辺りで一番高い木に登ろうと近寄りると。
「グルルゥー」
「なんの狼…素材になるのかな?」
狼が涎を垂らしつつ出て来たがユラは既にお金になるかどうかしか考えていなかった、一応その狼は縦2m高さ1.5mほどの大きさでそこそこ威圧感があるがユラには効かなかった、サッサと片付けるかと思い枝を拾い上げ一応防御できる体制になり、物質転移を使おうとして…
「危ない!」
そう叫びながら木剣を持った男の子が飛び出して来てユラの前に立ち狼に向かい木剣を構える。
「俺のことは良いから早く逃げろ!!」
そう男の子が叫ぶもユラはガン無視を決めて遠い目をしながら物質転移を発動する。
「ギャイン」
顎から脳天まで枝が出現し狼の肉をかき分け絶命させるユラは狼に近づき…解体のやり方がわからず引きずるにも大きい為放置して男の子が飛び出した方角に歩いていく。
「おっおい待て!」
男の子がそう言いつつ追いかけてくる、それにユラは街の情報を持っているかもしれないと思い直し、そして男の子の胸から透けて見える丸い玉、魂を見るとそこまで悪人には見えなかった。
ユラはあの夢以降魂が見えるようになっていた、Lvは魂の破片、残滓を吸収して上がる事も分かった、ユラは魂の色で悪人か善人か区別できるようになっていた。
「何?」
かなり無愛想機に口数少なく応じる。
「お前、何処の孤児院だよ?」
そう言われユラはどう返すか悩み…
(何処の孤児院にも属してないからどこかから逃げてきたで通るだろうが、捕まる前は記憶がないで誤魔化すか…)
ユラは奴隷だったが逃げてきて以前の記憶は奴隷時代に無くしてしまったと言う同情を誘うような理由を考えた、そうして理由付けができた為口を開く。
「奴隷だったけど逃げてきたの、名前はユラ、貴方は?」
そう言って男の子にも名前を聞き自然に街に案内してもらおうとしたが、男の子は顔を赤くしていて呆けていているのか喋ることができなかった。
「街の場所、速く教えて」
「あっああ、俺はバルトだ街はこっちだ着いてこい」
バルトが先導し街に向かう、やはりかバルトが飛び出した方向で街の方向はあっていたようだがユラは何も言わずに着いて行く、そうして20分ほど歩いていると森の終わりが見え森を抜けると。
「ここが工業と採掘の国、鉱工国だ」
バルトはドヤ顔でそう宣言し、ユラはバルトを無視して先に鉱工国に向かう。
「おい、待てって」
急いでバルトも追いかけていき、二人並んで門の前に並び列が進むのを待つ、そうしている間にもチラチラとユラを見ているバルト、ユラは耐えかねてバルトに尋ねる。
「何?」
「えっ!?えっとー…そのー…」
ウジウジと言い淀むバルトにもう一度ユラは尋ねる、がこれで言い淀むのなら放置するとユラは決めた。
「何?」
「そのっ!お前、奴隷だったんだろ!?うちの孤児院来ないか!?」
ユラはそう言われ考える、自分の目的、そのための道筋を。
(孤児院は手っ取り早く生活が安定するが自分の目的…自由に暮らす事や彼女を救う手段を探す際に邪魔となる孤児院は最終手段だな、保留だ)
「少し、考えさせて。」
そう言い門の行列の順番をまった。
描写足りない所とか、ボリューム足りない所とかあると勝手に直してますが、みなさんが「ココ!足りないよ!」って所、感想とかで言って貰えると勉強になります。
評価とか、いいねとか、付けてくれると作者が泣いて喜び、踊りつつ執筆します。
どうか、この作品をよろしくお願いします。
因みに、ブックマーク件数とか増えてるの見て毎回本当は作者はニチョニチョしてます。
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キモイ