national project『門』_text data 「2」追憶...
特急で仕上げた死ぬぅ
私の名前は三村工と言う、今は携帯型遠距離通信デバイスにて足りなくなった金属類と薬品と工具などをまとめて注文しようとしていたら、ふと目に付いたクソ怪しい求人募集を地下の作業机の丸椅子に座りつつ眺めている。
「1日限りのアルバイト作業時間は半日ほど、作業終了確認後に報酬1000万円…?何コレ明らか過ぎて逆に詐欺じゃ無い」
(いや、URLがちゃんと国の物だ、と言うことは詐欺じゃ無いのか?URLをここまで完璧に模倣してる奴がこのお粗末な誘い文句を作るとは思えないな、と言うことは国の人間が作ったお粗末な文ということだ、どちらにせよ安定した職につけるかもしれないな)
「公務員か...悪くないな、いや文をちゃんとチェックしろよ...」と、呟きながら求人募集に応募し作業に戻った。
作業を区切りの良いところで中断し地下室から退室し誰も居ないリビングに来たところ朝8:30から珈琲を放置して作業に入ってから実に6時間経っていて2:30になっていた、冷めてしまっている飲みかけの珈琲を飲みつつ工は求人の採用通知を確認しつつ己の過去をなんとなく振り返っていた。
三村工は三村幸子と三村太輔の間に生まれた、工は小学生時代にイジメ未満の嫌がらせを受けていた、教師に相談したが明確にイジメと取れる証拠が無いと動けないと言われてしまった。
「おい!工!お前女子に後ろから抱き付いたんだって?お前、すごいなー俺にもお前の度胸みせてくれよー!」
背後からわざわざ大声で有りもしない事を叫ぶ男の子、工の周りに居合わせた女の子がそそくさと工から離れると背後の男の子はゲラゲラ笑いながら走り去って行くと、今度は工の周りに居合わせた他の男の子たちが話し始める。
「工マジかー女子に抱き付いたのかー」
「度胸つえー」
「マジか!今度抱き付き方教えて貰おー」
「誰に抱き付いたの?」
工は誰にも返事をせずに走って自分の教室に戻った、元は自分から話さずに本を読み孤立し続けた自分も悪いが何故このような噂が流されているのか、工にはわからなかった、3年が経つ頃には工の噂は学校中に知られ新しい噂もどんどん作られ広がっていったがその全て証拠も無い嘘だが、情報の取捨選択もまだ出来ない小学生達は全て信じ鵜呑みにした、一部の話せていた人も一人一人噂に流され周りの同調圧力に負け、工と話さなくなり女の子は常に工のことを避けるようになった、工は完全に一人になってしまったがそれでも意地で学校に真面目に通い続けた。
一年後に工はとても疑り深く感情を表に出さなくなった、何故ならクラスの男の子に一挙手一投足全て見られ何かあると悪ふざけで噂を流されるからだ、クラスの男の子達は軽い遊びのつもりで既に噂を流すのは習慣と化してしまっていた、ある日、一人の女の子が他の女の子5人ほど連れて工に近づいてきた壁際に囲まれて工は内心恐怖・焦り・不安で支配され正常な判断が出来なかった工は”逃げた”真ん中の女の子を引き連れてきた子を押し退け走って帰った。
更に嫌がらせが酷くなる中、工は無心で何故か洗濯機の蓋の上から顔をベッタリ付けて洗濯機の動きを覗いていた、何故か工には楽しく感じた、”なぜ”この動きなのだろう”どうやって”動いているのだろう工は気になってしかたなかったので調べてみたら洗濯機の基本的な構造が出てきて工の疑問に答えてくれた、それからたくさん家電を観察し疑問に思い調べたが満足の行く答えは得られなかった、家電を分解して調べようとしたら怒られた為自分で作ろうにも何も出来なかった。
小学校は無事通い切り、中学生になり顔ぶれに殆ど変化がない事に落胆しつつもなんと無く部活はバレー部に入ったのが”間違い”だった、バレーは身長が生命と言っても過言では無いが身長を抜きにしても顧問が腐っていた顧問は微妙に歳を取ったおばさんだった、バレー部の高身長の美形に甘くよく贔屓していた多くの部員が不満を持っていたがおこぼれをもらっていたので文句は言わなかった。
工は何も貰えないどころか雑用を押し付けられてていた、部員30名近いのに一人工だけボール籠とボール4つ入ったバック二つを持っていた、歩くのが遅いと煙たがられるので練習試合に一度として出る事無く試合が無いとき以外休まず審判やラインフラッグの仕事をした足で必死について行った。
1年後後輩が入ってきたと同時に朝練が導入された工は先輩に対して敬意を持って接していた為自分の後輩もそうだと思っていため、自分が敬語を使うならいいが使われたくは無いなと思っていたが悪い意味で予想に裏切られた、そう自分の後輩は敬意や敬語どころかバレーのやる気すら無かった、工は衝撃を受けた、自分は休憩時間を削ってまで練習を重ねていても試合や大会にメンバーにすら選ばれないのにと心配した、でも自分より圧倒的にやる気も技量も無い後輩が自分を差し置いて大会メンバーに選ばれた時察したこの顧問は技量や勝ちを優先しているわけでは無いと、顔で選んでいるんだと、察した。
工は小学校と変わらない中学校生活を卒業した、進路は勿論工学系の高校で機械科に入った工は相変わらず友達は少ないが小学校で反省し自分から話しかけに行き後、親友までできた自分の好きな事を学びつつ親友と喋りながら楽しく過ごす辛い思いをしてきた工は人一倍楽しく思っていた。
工は高校の部活を決める際何か心機一転始めてみたくなった為工は柔道部に体験入部してみたところ思ったより楽しかったので入部する事にした。
高校にて恋愛以外順風満帆な人生を送っているとふと気になった今は柔道をしているが他の武術はどうゆう動きなのか気になった工は他の武術を休日柔道を休み習ってみては他の武術に移動を繰り返した、放課後には家に必ず帰り携帯型遠距離通信デバイスで注文していた工具・素材・薬品が揃い工はとうとう長年の夢、自分だけで好きに作り好きに研究し好きに突き詰めると言う曖昧な夢を叶え最初に家電に似た何かを自分で作った。
工は高校を卒業後に工場の工員に就職していた。無論、趣味に時間を使うために大学に行かず就職したが、高卒で就職できる所など高が知れていた趣味に使えるお金はごく僅かしか無かった。そこで自分の作った試作品を片端から特許出願手続きを行ないいくつかの作品が審査を通り特許権利が発生した為多少金利が発生したが雀の涙程しか無く殆ど現状維持だった。
工は焦った自分一人でさえお金が厳しいのに父と母の老後を考えるととても貯金が間に合うとは思えなかった、趣味を我慢し定年が近づく両親のために働いていたが働いていた工場が親会社の倒産で潰れた。
「改めて振り返ったが暗くなるだけだな」
工はそう呟き唯一高校時代の友人の連絡先に残っている親友に怪しいバイトに申請し受かったことを連絡した。
まだ一話続く”予定”(プロローグ)あくまで予定だから!