エピローグ:今日もハーレムは続く
――騒動から、数年の月日が流れた。
あの後、屋敷に戻った俺たちはそのまま平穏な日々を過ごす……ことはなく、色々とあった。
たとえばアリサから、王族の血筋の者の特権だという能力で断れない状態で結婚させられそうになったり。
パレクシア――本名がわかってもなんとなくこのままで呼んでいる――からぐいぐい迫られたり。
深夜に酔っ払ったエメルダから大胆な告白されたこともあったか。
それからトーニャに「長年雄犬のことを良く想っていましたのよ?」となんでもないことのように言われ、当たり前のように婚約させられたり。
それを怒ったルルに殺されかけたり。
パミラまでが俺のことを好くようになって、姉と激しく喧嘩した末、自慢げな顔で「私と結婚してちょうだい!」と言われたこともあった。
こうして考えると、俺は振り回されっぱなしだな、と思う。
今も六人全員の告白を断れないでいる。ちなみにトーニャとは婚約状態だ。
最近、多重結婚が可能な他国に移住しようかと検討中だ。せっかく馴染んできた騎士団という職場を離れたくはないが、仕方ないかも知れない。
「何考えてるんですか、ウィルド様?」
「お、アリサか」
屋敷の自室で頭を悩ませていると、いつの間にか、アリサが俺の隣に立っていた。
まさかお前たちのせいで困ってるんだよとは言えず、笑顔で「なんでもない」と言っておく。
「ならいいですけど。……ねぇウィルド様、ハグしてください」
「なんでそうなる」
「お願いします!」
仕方なく俺はアリサをハグする。
小さな体からいい匂いがし、男の本能をくすぐる。もっと愛でたいがそうはいかない。なぜなら、まるでどこかから監視していたかのように他五人のメイドが雪崩れ込んで来るからである。
「卑怯よっ。アタクシのことが一番好きって言ったくせに!」
「旦那様、昼日中からそれはどうかと」
「ワタクシという婚約者がいながら、ふしだらな獣ですこと」
「殺してもいいよね、ウィルド様?」
「私の見てない間にそんな女と……!」
嫉妬心を隠しもしない女たちは怖い。
しかし、皆が俺のことを好いてくれていると思うとなぜか悪い気はしないのだ。
「ハーレムは男の夢。ヘイズがそう言っていたが、その通りなのかもな」
なんだかんだ言いつつもすっかりこの生活に毒されていた。
こうして俺のハーレム生活は今日も続く――。
〜完〜
これにて完結です。ご読了ありがとうございました。
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