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45:女帝の化けの皮はすぐ剥がれる

 ――先頭を行くトーニャに付き従うようにして、俺たちはいつの間にか帝座の間までやって来ていた。

 一体どうやって女帝の居場所を突き止めたのかはわからない。もはやここまで来ると何でもありなのでいちいち驚いtいると身が保たないので、『そういうもんだ』とでも思っておくことにしよう。


 帝座の間を守っていた三十人ほどの兵隊もエメルダがあっという間に壊滅させてしまい、俺たちのいく手を阻む障害にはならなかった。

 エメルダは「万が一外から旦那様の命を狙う者が現れても退治できるよう、扉のこちら側で見張っております」とのことで、一旦離脱。彼女一人を残し、トーニャ、アリサ、俺の三人が帝座の間に飛び込んだ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「エトペチカ帝国女帝、パミラ・エトペチカ陛下にご挨拶申し上げます。ワタクシはレシーア王国のセルナラータ公爵家が次女、トーニャ・セルナラータと申しますわ」


「人の城を壊した挙句に勝手に入って来てその挨拶はどうかと思うぞ、セルナラータ公爵令嬢よ」


「承知の上ですわ、パミラ陛下。それにしてもまあ、あれだけの騒ぎがあってよくも帝座の間に座り続けていられたものですわね。女帝としてあまりにも愚鈍な行動ではなくて?」


「この程度のことでビクビク震えているわけにはいかぬのでな。……ルクルーレに裏切られたのは想定外であったが」


「魔女を信じるからいけないのですわ。愚策もいいところでしてよ、女帝陛下」


 今、トーニャが向かい合って話しているのは帝座に腰を下ろす真紅のローブの女性だ。

 パミラ・エトペチカ。輝く金髪の巻き毛は美しいが、端正な顔立ちの割には目の下に隈ができているせいで老けて見える。胸も尻も貧素であまり魅力的ではない。

 これがパレクシアの妹と言われてもいまいちしっくり来なかった。おそらくそういうコンプレックスもあって謀反を起こすに至ったのではないかと俺は思った。


「セルナラータ公爵令嬢からのその言葉、妾はレシーア王国からの宣戦布告と見た。敬意が足りぬ愚か者どもに裁きをくれてやる。妾を舐めるでないぞ」


「女帝さんって強がりなんですねー。全然強そうには見えませんけど」


 足りない胸を張り、精一杯に威張る女帝に向かってそう評するアリサ。

 別にアリサに煽る意図はなかったと思う。しかし女帝をブチギレさせるにはその一言だけで十分だったようで――。


「――っ。(わたくし)を! この(わたくし)を嗤いやがったわね、このチビ女! 好き放題しやがって、こうなったらもう許さないわよ!!」


 一気に口調が砕けた女帝は、帝座から立ち上がるなりどこからともなくハンマーを取り出し、力任せにアリサの頭上へ振り下ろそうとした。

 キャッと悲鳴を上げるアリサ。彼女の手を引っ掴んで避けさそうとするが俺は微妙に手が届かず、叫ぶことしかできなかった。


「危ない、逃げろ――ッ!」


 ……しかし。


「こんなにもあっさりと獣の本性を表すなど、女帝としての矜持が見られませんわね。そんな女に手加減する必要など一切ございませんわ。

 高貴なるワタクシにひれ伏すがいいですわ」


 トーニャがそう言った、その直後。

 帝座の間にパァーっと眩い光が溢れ出し、ハンマーごと女帝パミラの体が遠くへ吹っ飛ばされていたのだった。

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