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26:五人のメイドに囲まれた、俺の一日

 ついにメイドが五人になってしまった。

 パレクシアを連れ帰った時点でどんどん増える気はしていたのだ。だがまさかここまで大勢になるとは思ってもみず、正直非常に困惑していたりする。


 しかもそのうち一人は公爵令嬢だし。約二名正体不明だし。

 ルルは何か怪しげな術を使った――ルルは「魔法を封じられる前にちょっと細工をしてね」と言っていた――らしく、何者であるかという質問さえさせてくれない始末だ。喋ろうとしたら口が勝手に閉じる。なんなんだ、これ。

 パレクシアは頑なに答えてくれない。もちろんもう諦めたが。


 なんでこんな女たちと同居生活をしなければならないのだろう、俺は。

 考えるのももう嫌になったので、なんとなく一緒に暮らしているのが現状である。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「おはようございますっ、ウィルド様。今日もいい朝ですね」


 アリサに甘々なキスで起こされるのはもはやお約束。

 最初こそ戸惑ってはいたが、慣れれば驚くこともない。ただ、無駄とは知りつつも嗜めてはおくが。


 そしてその後もメイドたちからの猛攻撃は続き、パレクシアは顔を真っ赤にしながら、トーニャは鋭い刃物のような毒舌で、ルルは悍ましいヤンデレ力を発揮しながら俺を出迎えてくれる。


 みんな美少女・美女だし、普通であればハーレムは男としては悪い気はしない。

 そのはずなのに、あまりにもその愛情表現が過激であったり極端であったりするため心が休まることがない。

 唯一、エメルダが真心込めて作ってくれる朝食だけが救いだ。


 ドタバタした朝を過ごし、五人のメイドに見送られながら騎士団に向かって。

 そして疲れて帰って来たらほっと一息……なわけもなく再び絡まれまくる。これでもかというくらいに絡まれいじられ叩かれ罵られて、ヘトヘトになってから眠るのだ。


 でも、色々文句を言いつつもこの生活を少し良いと思い始めている自分がいることに、俺は気づいていた。

 もちろんルルにもトーニャにも居着いてほしくはなかった。だが、意外と共同生活してみると二人ともメイドの仕事はこなせたりするので助かる。今更捨てることなどできない。

 ――まあ、仮に捨てたとしても平気な顔で戻って来るだろうが。


「はぁ……それにしても俺、どうすんだろ」


 もしも本当に全員から好意を持たれているのだとしたら、俺はきっといつか、選ばなければならなくなる。

 そう考えると憂鬱な気分になる。誰を選んでも地雷な未来しか見えない。かと言って五人とも放置して独身で居続けても良いことにはならないだろうということくらいはわかる。


 もちろん俺だって、彼女たちを異性として見てしまう瞬間だってある。

 でも、アリサは可愛いが幼女過ぎてあまり気が進まないし、パレクシアは見た目はいいがうるさ過ぎるので夫婦喧嘩が耐えなさそうだし、エメルダは言っては悪いが一番地味だし、トーニャは問題外、ルルももちろん嫌だ。

 うん。エメルダしかないな。でもあいつ、たまに変なことを言うしな……。


 無理だ、これ以上考えても答えが出ない。

 しばらくの間はこのままこの状況に甘え続けていよう。いつか来るその時までは。


 そんな風に考えながら、俺は今日もメイドたちに言葉で視線で行動で愛を示され続けるのだった――。

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