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11:仲が良いのはいいことだが

 うちのメイド二人はどうやら仲が良いようだ。

 最初でこそ言い争いが絶えなかったり、キンキン声で喧嘩ばかりしていたものだが、数日もすればアリサはパレクシアにとんでもなく懐くようになった。それこそ実の姉妹ではないかと思えるほど。


 最近アリサは「おねーさん」と言ってパレクシアの後をつけて回ってばかりな気がする。

 今まで俺にすごい執着を見せるので困っていたところだったから助かったし、とても微笑ましいので俺的には非常にありがたい。


 「アタシ、妹は多い方だったのよ。だから世話は任せてちょうだい」と自慢げに話しながら、アリサの面倒を見るパレクシアも嬉しそうだった。

 彼女自身の言葉の通り、面倒見はかなりいい方のようだ。とはいえやはり家事はダメダメで、結局俺がやらざるを得なくなっているのだが。


「アタシがアリサをしっかり抑えてあげるから、アンタはせいぜいアタシを唸らせられる絶品料理でも作りなさいよ」


「だからそれは主人じゃなくメイドの役目だと思うんだよな、俺は。メイドの意味わかってるか?」


「う、うるさいわねっ! できないものはできないんだから仕方ないじゃないの……」


「アリサはウィルド様のお料理、大好きですよー? だってちゃんと全部腐ってないで食べられますもん」


 料理は腐ってなければ何でもいいというアリサの驚き発言は放っておくとして。

 俺は一体何のために二人もメイドを雇っている――タダ働きさせているので正確に言えば『囲っている』のかも知れないが――のだろうかと考え込んでしまう。


「……強いていえば目の保養、か。可愛い女の子と超絶美女を毎日間近で見られるだけ、俺は幸せ者なんだろうか」


 アリサもパレクシアも、前者は小動物的な、後者は大人の女的な魅力がある。

 性格的に両方とも扱いづらくはあるのだが目の保養であることは確かだ。逆にそれ以上の利用価値が見つからないという意味でもあるのだが。


「何かまた失礼なこと考えてるでしょう。アンタの考えなんてアタシには全部お目通しなんだからねっ」


「いや、二人とも美人だなーと思ってさ」


「び、美人!? ……そ、そうよ。アタシは世界一の美人なのよ!」


 顔を真っ赤にして叫ぶパレクシアはやはり美しいが、世界一はかなり言い過ぎだと思う。少なくとも俺の知り合いにも彼女と同レベルぐらいか少し上の美人はいた。

 だがもちろん俺はそんなことは口にせずに曖昧に笑っておく。その代わりのようにアリサがパレクシアのことをやたらに褒め始め、パレクシアが真っ赤になっていた。


 ……仲が良いのはいいことだが、それよりちゃんとメイドはメイドとしての仕事を果たしてくれよ。


 内心で愚痴りつつ、俺は仕方なく厨房へ行って料理を始めるのだった。

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