ハイヒールな令嬢はハイヒールでハイヒールして無双する
それは学園の卒業イベントである会場で行われた。
「お前との婚約は破棄するッ! そしてこの子と改めて婚約するッ!!」
この言葉を発したのは、この国の王子である。
その相手は侯爵令嬢であった。
「その理由をお聞かせ願いたいですわ」
令嬢は平坦な声音で応える。
「お前がこの子をいじめていたのを知ったからだ。時折数人で連れだっていく所を目撃もしている」
「そんな目撃証言ではいじめの証拠とは言えません。証拠がございませんね」
令嬢は冷静に反論した。
「それにこの子の健気さに真実の愛に目覚めたのだ」
あっさりと本音を暴露する王子。
「……はぁ。ここ数年少子化が異様な速度で加速している現状をご存じですか?」
令嬢は溜息を吐き、別の話題を振る。
「言い逃れをするつもりか」
「愛に目覚めた王子にはこちらは関与していませんので言い逃れではないのですけども、質問に答えていただけますか」
「ああ、知っている。僕が立太子したら王宮の腐敗を一層し、この問題も解決するつもりだ」
令嬢は首を振る。呆れて二の句が継げない。
だが気を取り直して話を続ける。
「そのお隣の子の素性はご存じかしら?」
「ん? 孤児院出身だと言いたいのか。知っているとも」
「ではその孤児院から王宮にここ数年メイドが大量に送り込まれている事実は?」
「何が言いたい? 平民だからという理由で能力のある者を排除しようというのではなかろうな」
「いえ。ただその孤児院が隣国の『男の娘供給して少子化で弱国化計画』という馬鹿げた物で送り込まれている孤児の巣窟であると理解されてますか?」
令嬢は隣国の暗躍を明かします。
「ば、バカなっ。それではこの子はもしかして……」
「そう、男の娘、ですよ。でも真実の愛とやらで、この事実を受け入れることも考慮してこう致しました」
――バシンッ!
音が響く。
令嬢の腰から鞭が現れ、振るわれる。
胸の飾りを引き何かがプツリと切れる音がすると、令嬢は肩から身に纏うドレスを剥ぎ取る。
それを横に出すとどこからともなく現れた男が回収して折り畳む。
令嬢は黒いボディスーツ姿を晒す。
令嬢は座る。
いつの間にか後ろにいた男性が四つん這いになっている場所へと腰を掛けたのだ。そのお尻を軽く撫でる。
令嬢がグラスを持ち、軽く揺すると中のワインが豊潤で馥郁たる香り立たせて鼻腔を擽った。
一口それを含み、咽喉を潤す。
隣にいた男に「残りはあげるわ」とグラスを返す。
「ほれっ見ろッ。お前がそんなことを言うから青褪めているじゃないか」
王子は令嬢の行動には一切触れなかった。理解が追い付かなかったので、とりあえず無視を決め込んだ。
王子の発言通り、今まで一言も発していなかったドレス姿は、実際に顔面を蒼白にしていた。
「さあ、皆さんに見える様にそのかわいいおちそちそを晒して御上げなさい」
そう言って令嬢の鞭が再び大気を切り裂く。
たくし上げられるスカート。下着を履いていないその股間にはその奥床しさの如く隠れているモノが衆目に露になる。
音の壁を突き破り発せられる甲高い音。その音が響く度にむくりむくりと小さいながらも天へと主張する。
「さあ、次はこちらでおねだりです」
令嬢の前まで行き、王子に土下座をするように、令嬢にお尻を向ける。失礼極まりない行為だ。
「至高の癒しをください」
「さあ、ご褒美ですッ!」
ガスガスと小ぶりなお尻にその高い踵を穴に突く。突く。突く。
先ほどまでの青褪めていたとは思えない表情。赤みが差し、もう紅潮している。
声を漏らすまいとして耐えていたのが、次第に零れ、溢れる様になっていく。
艶っぽい、色っぽい艶姿。明らかに発情している。
「おイキなさいッ!!」
慣れているのか息の合った一撃で痙攣しているのが傍目にも分かる。
だが白く汚してはいなかった。
「見ての通り、彼はまだ、叡智に精通してもいないために賢者にも至れません。ですが王子は成人してますもの。無知を知れば、愚かな考えを改めて賢者へと成れますわ」
――ビシンッ!!
気持ちよさそうな人物を目撃した者たちはその性癖に異常が来したことを未だに知らない。
王国は高貴で悪役な令嬢によって隣国の脅威を一蹴し、少子化は阻まれた。
この事件によって周囲の令嬢たちも覚醒し、王宮の腐敗を一掃。
逆にベビーブームが到来する。
また王国は稀に見る強兵を得たことにより隣国が攻めてきたときも、数の不利を覆して撃退に成功している。
王国の腐敗は隣国の暗躍だった。
それを乗り越えた王国は別の呪縛に罹っているようにも見える。
強くはなった。強くはなったけど、このコレジャナイ感がスゴイ。
これで本当に良かったのか悩む現役の王や貴族家当主たちは次世代を諦め、次々世代である孫の教育をちゃんとしようと画策するようになるのだった。
はたして次はどんな性癖が流行するのだろうか。
ベビーシッターとなるメイドが男の娘であるために、男の娘好きか、女装が流行るかもしれない。
王国の将来に一抹の不安が残るのであった。
某ヒール物でヒールがゲシュタルト崩壊。
なのでハイを付けて意味を再度理解しようとした結果。
でも『帆船が風を受けて横に傾くこと。 ⇒ heeling』は入れることが困難なため無視。
heal:英語で「癒やす」を意味する動詞。
heel:英語で踵のこと。プロレスにおけるヒール(Heel)は、プロレス興行のギミック上、悪役として振舞うプロレスラーのこと。悪役、悪玉、悪党派などとも呼ばれる。
wikiではこんなことが書かれてる。
他にも
ハイヒール(high heels)は、履くとかかと部分が爪先よりも7cm以上持ち上げられる形状の靴のこと。「高いかかと」という意味を持つ。高さが地表から4センチ以上これまでであれば「ミドルヒール」、4センチを上回らなければ「ローヒール」となる[1]。
パンプスからブーツに至るまで多くのバリエーションがある。かかとの高さや太さ・爪先の形状などによっても別称が存在しており、かかとが細く尖っているものはピンヒールやスティレットヒール(英: stiletto heel)、サンダルに近い形状で爪先やかかとが露出するなどのものはハイヒールサンダル(英: high heel sandal、high-heeled sandals)やストラッピーハイヒールズ(英: strappy high heels)、ミュール(仏: Mule)とも呼ばれる。日本でいう厚底靴のようなかかとと爪先の両方が共に高いものはプラットフォームシューズ(英: platform shoes)と呼ばれる。
近年一般的にこの形態の靴はウェスタンブーツやシークレットシューズの様な紳士靴を除いて、殆どが婦人靴に限定されている