第7話 魔女狩り
ポッポ介からの前回のあらすじだポ。
道化師キーンは、魔女カーリーを、アイザック氏の屋敷に案内したポ。
そこで怪しい階段を見つけたんだポ。
(あらすじ終わり)
地下へ通じる怪しい階段。
石の扉を開け、道化師キーンと魔女カーリーの2人は地下へと降りていくことにした。
「薄暗いわね」
魔女カーリーは屋敷の中で盗んだ懐中電灯を使い、足元を照らして階段を降りていく。
「ここは何だ?」
道化師キーンにとって、この部屋がなんの部屋なのか検討もつかなかった。
一番下まで降りると、そこは大量の樽が積まれた小さな部屋であった。
ワインの貯蔵庫だろう、室温が一定に保たれている。
「ああ、ワインの貯蔵庫だ」
道化師キーンは再び咄嗟に嘘をついた。
すると、魔女カーリーの様子が急変する。
「ふふっ。ねえ、いつまで嘘をつけると思ってるの?」
道化師キーンは彼女の言葉に背筋が凍るような緊張が走る。
「えっ、なんのこと......?」
次の瞬間だった。
屋敷には2人しかいないはずなのに、階段を誰かが降りてくる。
「ここは、俺の家なんだが」
階段から降りてきたのは、あの"アイザック・スミス氏"であった。
「あなたは騙されたのよ、道化師キーン」
魔女カーリーは、道化師キーンを利用していた事実を明かした。
アイザック氏が詳しく話してくれた。
「この女は俺に借金をしている。金が払えないなら、俺の罪を背負えそうな身代わりを連れてこいって言ったんだ。お前はその身代わりだ」
道化師キーンは動揺を隠せなかった。
「身代わりって、何だ......?」
アイザック氏は分かりやすく説明するため、わざわざ新聞の記事を見せてくれた。
「連続殺人事件のだよ。犯人は未だに行方不明、2人の若い女が死んだ事件だ。なぜ犯人が見つかっていないと思う?それは俺が真犯人だからだ」
道化師キーンはあまりの衝撃に尻もちをついてしまう。
「まさか、俺に殺人鬼だと嘘をつけって言っているのか?」
アイザック氏は笑いながら言った。
「ぶっはははは。お前がいつも言ってることじゃないか、嘘はやがて、真実になるってな」
道化師キーンはとにかく頭を下げた。
「お願いします、どうか許してください」
アイザック氏は冷たく一言、こう告げる。
「"こいつら"を朝まで拘束しておけ。明日の朝、公開処刑だ」
すると、アイザック氏が雇った2人の傭兵が階段を駆け下りてくる。
傭兵の1人は道化師キーンを、もう1人は、魔女カーリーを取り押さえた。
魔女カーリーはこの状況に頭を抱える。
「待って、どういうこと?私はあなたの仲間よ、どうして私を取り押さえるの?」
アイザック氏は煙草に火をつけると、魔女カーリーに話をした。
「仲間?冗談言うなよ。お前は俺の秘密を知ったんだ、だから始末する。借金を無しにしてやる条件は、俺の身代わりを連れてくることだ。お前も身代わりにするのは最初から考えていた。哀れだな、小娘」
「そんな......」
魔女カーリーは、道化師キーンと同様に手錠をつけられてしまう。
「さあ、お前たちにとって最後の夜だ。せいぜい長生きするんだな。あと、その手錠は1度つけたら外れない仕組みになってる。脱走しようなんて思わないことだ。お前たち、見張ってろ」
アイザック氏は、雇った2人の傭兵に、道化師キーンと魔女カーリーを監視するように命じる。
傭兵は、石の扉の前に1人、彼ら2人の前に1人、監視を始める。
囚われた2人、そして屋敷の全ての窓が開けられ、ハトは外へと逃げた......。
ハトの習性。
彼らは巣に帰る習性があり、1000キロの距離からも帰って来れるそうです。ハトさん、凄い......。