[短編二]~散歩道~
とある男の散歩道の話
「ねえ、君は生きているのかい?」
確か、最後に彼女とあった時にそう言われたような気がする。
「さあね」
確か、私はそう答えた気がする。
その時の彼女の顔はどんな顔だっけ。
「いかんいかん長く居ると過去に浸ってしまう」
そう言い私は公園のベンチから立ち上がり体をほぐす為上体を反らす。時間は夕暮れ時お子様は帰る時間だ。
「さて、今日は何処まで行けるかな」
一呼吸つき公園を出る。
「いつもと同じく日の沈む方に行きますかな」
重い体を動かし道に沿って行く、夕暮れ時だからなのか自転車で急ぐ小学生、犬を連れたおばさん方など多くの人とすれ違う。
「人間と言うのはやっぱり都合の悪いことは視界情報から遮断するんだよな、ついでに聴覚や嗅覚もね」
そう口に出したがどうせ聞いている人はいない悲しいながらね
いつからこんな事を始めたのだろうか、確か彼女と別れたころだったか、それとも、もっと前からだったか、自分でも思い出せない。
「全く私は何をやっているのかね」
口ではそう言いつつも足は止まらずに歩みを進める。
あの時の彼女の質問には今の私はなんて答えるのだろうか
「いいえ」、「はい」、それとも前と同じ「さあね」なのかな
「まあ、こんな事考えているなら足を動かした方が効率的だな」
ここで一つの視線に気づく
さっきすれ違ったはずの少女がこちらを振り返って固まっている。
服装をみると中学生であろう少女はこちらを固まったままこちらを見るだけである
「どうしたのかい」
私はこれがよくない決断であることを理解しながら少女に声をかける
「あの・・・」
「なんだい、お嬢ちゃん」
少女は声に反応し何かを言おうとし、私はそれに構える
「一つ質問をよろしいでしょうか」
「いいですよ」
反射的に答えてしまったのは迂闊だったがもう遅い
「あなたは生きてますか?」
「さあね」
即答だった。迷いなくこれを答えた
「え、ああ、そうですか、ありがとうございます。」
「気を付けてお帰り」
しどろもどろにお礼を言う少女に私は笑みで見送る
少女が視界から見えなくなり深い深呼吸をする。
「はあー、まさかあの質問がくるとは思わなかったたな。口は災いの元とか言うけど本当だな。」
どっと疲れた
「まあ、さあねと答えるしかないんだけどもね」
さっきの質問を思い出す
「薄暗い道、少女と二人きりの男、叫ぶ少女、最悪じゃねえか、お縄になる未来しか見えないぞ」
もしかしたら起こるかもしれない事を想像し頭を抱える
「あ、でも本当のことを言っても叫ばない子だったかもしれない」
そう考えると先の少女に会い、本当の事を言ってみたくなる。
「たまには逆に行ってみるか」
そう言い180度回転し後ろを向く、
「行ってみるか」
明日不審者情報に乗るのであった。
この話は短編一を投稿した後テンションだけで書いたはなしです。中身はお察しです。最後までお読み頂きありがとうございました。