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月落とし  作者: 矮鶏ぽろ
未来編
51/51

エピローグ


『火星に来ておいて良かっただろ』

「……」

 先輩の声が宇宙服の中に無線で聞こえる。

『地球にいたら、今頃は火の海に飲まれて人類は絶滅した――てわけだからな』


「……別に先輩が凄いって訳じゃないでしょ。先輩の先祖が火星行きの抽選に当たったのと、僕の先祖がそれに騙されてノコノコついて来たのが凄いんです」

 ニ十分しかもたない重い酸素ボンベを背負い、歩きにくい赤土の上を宇宙服で歩くのは、決して楽ではない。


 地球という遠い星は、遠い昔、空気で包まれていた……なんて迷信、信じられるハズがない――。


 酸素発生装置には限界があり、火星のベースキャンプ「平成基地」は人口を十人以上に増やせない。


 たったの十人だ――。ぼっちじゃなけど、ほぼほぼぼっちだ!


 二十一世紀末に打ち切られた火星探査。火星には地球に有用な資源がなく、移住不可能と決断されると、早々に地球との交信は途絶えた。それでも僕達は先祖代々受け継いできた「平成基地」とその設備を維持しつつ、細々と生き長らえている……。何年も、何百年……何千年も――。そろそろ限界だろう。隕石が近くに落ちたことも過去に数回あったらしい。

 ……これからもないとは限らない。


『なあーに、いつかは地球も冷えて固まり、そしたら帰れる日が来るさ。それか、火星も暖かくなり、氷が溶けてこんな宇宙服も必要なくなるさ』

 そんな夢物語にイラっとする。

「何年後の話ですか」

『さあな。早くて十万年は掛かるんじゃないか?』


 ……はあ~先は長い。

 ベースキャンプに隕石が当たって絶滅するのが先ではないだろうか。


『そんなことより、早く今日の分の氷を掘って帰ろうぜ。今日の晩御飯は「モヤシの味噌汁」って言ってたぞ』

 モヤシは基地でたくさん収穫できる。僕の大好物だ。

「先輩の奥さん、料理上手ですからね」

『まあな。ただ……人一倍よく食べるがな』

 先輩の奥さんはちょっとポッチャリ系で、二人分をペロリとたいらげる。


『お前の奥さんも清楚で可愛いじゃないか』

「へへ~、今日はいいことしてもらうんス。これ内緒ですよ」

『いいよなあー新婚夫婦は!』


 赤土の割れ目に潜り込むと、僕と先輩はツルハシを使って硬い岩肌のような氷を掘り始めた。



 火星から見える遠くの地球は限りなく小さく――、真っ赤に輝いていた。


「月落とし」はこれにて完結いたします!

読んでいただき本当にありがとうございました!!


感想やポイント評価、レビューやコメントなどなど、なんでもお待ちしております!

ホワニタマニタ~!? ヒャッ!

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