裏切り者は貴様か――
――へ?
「な、な、なんの冗談だ? ガッポ」
「冗談? ハハハ。まあ、冗談といえば冗談だな。政府のお偉いさんが狙っているのは俺じゃなくてお前達二人だ。巻き込まれるのは御免だからここでおさらばさ。俺はジェット機でお前達とは別の方向へ逃げる。悪く思うな」
「う、嘘でしょ?」
近づこうとするジョナにもライフルを向けるガッポの目は真剣だった。
ジェット機以外の乗り物は車しかなく、その車も砂地の駐車場で黒い煙をモクモクと上げ炎上している。FBIが逃げる前に火を放ったのだろう。
「殺されなかっただけでもありがたいと思え。俺のデーターは、NASUでも政府でもない外国の企業が欲しがっているのさ。このジェット機と俺の最先端の人工知能があればどこの国にでも飛んで行けるのさ」
「じょ、情報スパイだったってわけか! 俺が思っていた通りの!」
「――最悪! 裏切り者だったのね!」
パッシーン!
この日、三回目のビンタをされたジョナは、涙と鼻水を流し、口の中を少し切ったのだろう……口から血が垂れた。
「だーかーら! ――ちょっとは手加減して叩けよバカロボット野郎!」
「バカめ。ユー達はジェット機の操縦どころか、自転車の操縦もできないだろ」
「バカにするな! それくらいはできる」
――ズドン! オンオンオン……。広大な砂漠に銃声が響く。
ガッポの構えるライフル銃が容赦なく一発放たれると、怖くて一歩も動けなくなった……。
俺の靴の数センチ前に黒い穴が空き、小さく煙が上がっている。
また少しちびってしまった。さっき小便したとこなのに……。
「あばよ。せいぜい長生きしろ。クソ人間どもめ」
ライフルを持ったままジェット機へとガッポは走って行った。
「――バカロボット! お前の母ちゃん出ベソ! お前の脳ミソ、タ・ケ・ヤ・ミ・ソ」
「もうやめろジョナ!」
ロボットなんだから脳ミソなんか入っているわけないだろ――。
「それより、ここから早く離れよう。今はそれしかない。爆発に巻き込まれてしまう」
「あんな奴――死んでしまえ! バカロボット!」
地下からまた一つ、爆弾が爆破する音が響いた。




