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プロローグ
いずれは滅びゆく文明……。
私にとっては、私が死ぬのもこの地が滅ぶのも――同じことなのよね……。
――紀元前六千年――。
ナイル川の西へ五十キロほど離れたところにも並行する大河、「エーロ川」が実在し、その流域には古代エジプト文明を凌ぐ優れた文明と、砂漠に広がる大きな王都が存在していた。
度重なる地殻変動と天変地異によって消え去ってしまったエーロ川と最古のエーロ文明――。後にエジプト文明の起源となったのだが、そのことを記した石盤や遺跡は一切見つかっていない……。