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一話
これ、作者が前に違う題名でケータイ小説で投稿してた話が元になっております。
「ここが、私の…」
空港に降り立った私ー柚子華 可憐は、小さな溜息をついた。
歩く度に、少し低めのヒールが、カツカツと音を立てる。
私が歩く毎に必ず振り返る、数人の人。…彼らは決まってこう呟くのだ。
「あれって、『柚子』じゃないか」
…と。
ーそう。私は芸能界で、モデルと言う職業に就かせて貰っている。
「お前、自分じゃ気付いて無いだろうが、結構な売れっ子だぞ?」
…とは、マネジャーの、熊井さんから聞いた話で。
「あ、あああの、柚子さんですか?」
おっと。
気が付くと、私の目の前には、おそらく同年代と見られる女の子が、頬を上気させて立っていた。
「うん。そうだよ。」
嘘を吐く場所でも無いよね。…私は正直に、最上級の笑顔で返事を返した。
「あたし…も、死んでもいいかも…」
瞬間、トロンとした女の子は二へ二へとした表情でその場にぶっ倒れた。