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さまざまな短編集

魔法屋“ファーデン・アリアドネ”ー開店準備中ー

作者: にゃのです☆

 小さな町の一角にある魔法屋さん。

 名前を“ファーデン・アリアドネ”と言う。

 今まで祖父(じい)さんが切り盛りしていた店で常連もいたらしい。

 その祖父さんももういない。

 店は閉めたまま数年が経ってから、魔法学校卒業後に親族が厄介払いできたと思ったのだろう。

 俺に相続された。


「ここが、そうか……」


 誰も手入れしていなかったため店の塗装、金具などはさびれている。

 ここまでひどくなるくらい放置していたということだ。

 祖父さんはおかしな人ということで有名だったが、店自体の評判で悪いと聞いたことは無い。


「まぁ、やることもなかったし……いいか」


 今日からここが俺の家。

 ただ、具体的に店を継いで開くということはまだ決めていない。

 中の様子を見るためにも、もらったカギで正面のドアを開ける。

 錆びているためドアの開きはガタガタ。

 開けた瞬間は埃だらけの空気が一気に体を包み込んでせき込む。

 これはたまらんな……。

 すぐに魔法ですべての窓を全開にする。

 バタバタと開くたびに、埃が舞う。

 おまけにここの立地は風が入りにくい。だから、湿気とカビ臭さがある。

 風の魔法で一気に中の空気を追い出す。が、それは埃とカビを全身に浴びる原因になる。


「ゴッホッ! ゴホッ! こりゃあ、ダメだ。一からしなおしになるかも」


 中の様子はというと商品はなく、棚ばかりが置かれている。部屋の真ん中にテーブルと椅子が二つ置かれて、奥がカウンターとなっている。

 基本は正方形の部屋だ。

 床は板張りだが……ところどころ割れている。

 これも俺が修復しとかないといけないのかよ。

 ため息をつきながらも気が付いたところは直していく。


「まぁ、こんなものかな?」


 一通り片付いたころにはもう日は暮れていた。

 朝について食事をした記憶がない。

 集中していたということか……。

 もう今日は夕食にして、続きは明日しよう。

 残りは二階部分と台所、つまりはカウンターの奥側だ。

 魔法でもできないのは手でするしかないのだ。


「とりあえず。今日は店側寝袋でも敷いて寝よう」


 店が開店するのはまだまだ。

 もうしばらくお待ちください。


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