6ドリームキャッスル
「おいウサギ」
「なんすかお客さん☆あ、ラビットくんの年齢はドリームウサギの成人年齢と同じですよ☆」
「聞いてねぇ!というかドリームウサギの成人年齢を知らねぇ! じゃなくてガキは何処だよ、ジェットコースターに影も形も無かったぞ」
「まあ想定通りっすよー☆ というか隠れるところあそこ無いっすしねー」
「まぁそれもそうか、そんなとこ隠れ場所に選ばねぇよな……ん? なら何で行ったんだ?」
「仕事で☆」
「ガキを探せガキを!!」
ぶーたれるウサギにツッコんでいると、ウサギはすたすたと進み始める。
電力不足なのか、ジジ…と街頭が点いては消える。
熱帯夜の生温い気温に、首筋を汗が伝った。
「お次はドリームキャッスルって言いましてねー☆ ここは隠れる場所も多いですし、絶対居ると思うんすよねー☆ あ、あそこっすー」
指差した先を見れば、なるほど、某夢の国の様なお城がそこにある。
ドイツとかにありそうな白亜の城だが、如何せん夜中に見るとその全貌が見えず不気味だ。
昔の記憶にない気がするので、その後建てられたのかもしれない
「って、ウワサをすれば居たぞ!?」
「え、どこっすかー?」
「呑気か!! 中に入った! 追うぞ!」
「お客さん城内は走らないでくださいねー」
「言ってる場合か!? つかガキに言えガキに!!」
「もういないっすし」
「おいいい」
ダメだ、このウサギ使えねぇ!!
遊園地潰してる時点で分かってたけど使えねええ!!
ウサギを見捨ててガキに追い付こうと城内を走り出そうとすると、いつの間にか後ろにいたウサギに手を握られた
ぞっとする程の力強さだ
やけに多く城に立てられた旗がばたばたと風ではためく
湿った生温い風が吹いた
痛みに呻いて態勢を崩す
「お客さんダメっすよー☆」
「ッツ、いてぇ、離せ!」
常と変わらぬ軽さと音程が空恐ろしい
月明りの中、至近距離で何ともない様に話し掛けられる。
やっぱりこいつは何かヤバい
着ぐるみの笑顔を見ながら引き離そうと腕を何度も振ると、ぱっとウサギが手を離した。
「こっちに来るんじゃねぇ」
「もう!折角忠告してあげたのになんすかその態度はー」
「はぁ?」
じりじりとウサギから距離を取ろうと、ウサギから目を離さぬまま後ろへ足を動かした瞬間足元が空を切った。
「なッ!?」
「お客さんだから言ったっすのにー!」
ふわりと宙に浮いて闇の中に落っこちる感覚
咄嗟に手を伸ばした先でウサギがこちらに向けて手を伸ばす。
その手を取るのを一瞬ためらった瞬間には、鈍い音と共に身体が落ちていた。
薄れゆく意識と視界の中、思考する。
ウサギは助ける為に手を伸ばしていた?
そう、だよな、そりゃ園内で死なれちゃ寝覚め悪いっつーか死に体の面に蜂状態だろう。
ならあれは気のせいなのか?
そうだよな、おかしい筈だ
何でさっきまで探していたガキと
さっきまで一緒に居たウサギが隣合ってこっちを見下ろしてるように見えたんだ?
◇
「あんまりオイタする悪い子にはお仕置きっすよー☆?」
くす、すす
◇
キィ…キィ…と何かを擦るような金属音がする
連続して、飽きることなくずっと響き続ける
何かの夢を見ていた気がした。
そんなものなど見ていないのかもしれなかった。
寝覚めの悪い気分を抱えながら男は起き上がる。
耳障りな金属音は今も響いている。
男は周囲を見渡したが、暗くてよく見えない。
ここは何処だ? ベッド…休憩室か?
寝かされていたベッドは薄っぺらく埃っぽい。
ウサギは…周囲にはいないようだ
電気を探して壁伝いに進むも、そもそも廃れた遊園地でこんなところまでは流石に電気は通ってないかと頭を振って諦めた。
「っつぅ、俺は落ちた…んだよな?ここがおんぼろ遊園地だってのを失念してたぜ。うわ、こぶ出来てる。ウサギには悪いことしたな」
頭も力もバカがつくほどヤバいやつだが、流石に、助けて貰ったのにビビッて落っこちたのは悪いことした気になった。
まぁ面と向かって謝るとおちょくられそうなので果てしなく嫌だが
紛らわしいウサギが悪い
「この金属音なんだ? つかここ暗ぇな」
部屋を出てすぐの人気のないまっすぐな廊下は音がよく響く。
自分の足音が響いて前からも後ろからも足音が近づいては追いかけてくるようだ。
さっきまで煩い程賑やかなウサギが居たのでやけにこの静けさが恐怖を煽る。
キィ…キィ…
断続的に響く金属音。
ウサギを待つか、人気のあるこの音の方へ行くか
ウワサがふと頭を過ぎる。
『ねぇ、知ってる? ドリームキャッスルには隠された地下室があって、しかも拷問部屋になってるんだって。遊園地にあるわけないのにねぇ』
いやいや、どうせまたウサギ関連だろと思いつつ、やけに乾いた唾を飲み込みながら男は音の方へと向かうことを決めた。
キィ…キィ…
「何か削ってんのか? っつーかこんな音出してるから拷問部屋があるとか変なウワサ流されて潰れるんだよ」
わざとらしく強がって肩を怒らせながら歩を進める。
少しして、目の前の暗い廊下に、横の部屋から光が差し込んでいた。
よく耳を澄ませば、その中から耳障りな金属音が響いている。
まだ見ぬその部屋の主へおーい!と声を掛けようとして、やはり恐怖から喉に声が絡まった。
どうにもこの場所は空気が重すぎる。
地下だから湿気っているのだろうか、どんよりと身体が重だるくなるような感覚と同時に、張りつめるような緊張感が喉を凍らす。
一応中を見てから声を掛けよう
此処に来てから肩透かしさせられ過ぎた警戒心が浮かぶ。
ふとガキとウサギが薄ら笑いでこちらを見下ろす姿が過ぎった。
金属音が耳障りだ。
消極的で慎重な案を選んで、廊下の横に扉もなくぽかりと開いた部屋へと恐る恐る顔を覗かせる。
「なっ!?」
覗いて見てその想定外の光景に思わず声が出てしまった。
中世の鋼鉄の処女やら、一体何に使うのか分からない鉄製らしき鎖や棘付きの武器やら物体が壁に掛けられたり転がされている。ランプからの火でゆらゆらとそれらの影が不気味に揺れる。
『城の地下に拷問部屋があるんだよ』そんなウワサもどうせまたしょうもないオチだと思っていた。
後ずさった男の足音がやけに響いて聞こえた。干上がる喉と一点から逸らせない視線。
態とらしい程「らしい」拷問部屋、それらよりも男を驚かせたのは―――
キィ…キィ…
天井から吊るされた鎖が揺れる。
その向こうで明らかにサイズの可笑しい『着ぐるみ』が背を向けて手元の何かへと大ナタを振り下ろしていた。ランプの灯りでゆらゆらと不安定に照らされるのはクマらしき着ぐるみ。恐ろしいのはそのサイズが男の1.5倍近くも肥大していることだ。こんなの普通じゃないッ
硬いものを無理やりぶつ切る音がした。いや、男の前で着ぐるみが持っていた大ナタをもう一度振り下ろしたから出た音だ。
恐怖で足が竦む。情けないことに力が抜けてへたり込みそうだ。
早く隠れなければと軋む身体を音を立てない様に動かそうとした瞬間―――ゆっくりと着ぐるみが振り向いた。
一縷の望みを賭けてウサギみたいな頭の可笑しい、たまたまこんな真夜中に着ぐるみ着ててちょっぴり趣味の悪いお部屋で遊んでるフレンドリーな奴だと思おうとした。
「こ、こんばん……」
「アぉぉぉぉぉ!!!」
「で、ですよねええええ!!!」
あ、無理だこれ死ぬ、死ぬ未来しかない
クマの着ぐるみが吠えた。というかもう着ぐるみじゃなくてあの重層な吠え声絶対怪物だろ、斬ってたの絶対血が出てただろッ!? 前を向いた怪物が付けてたエプロンが、ランプに照らされても飛沫が真っ黒だったことに泣きそうになった。 拷問されて食べられる。処刑される。もう無理あのウサギマジデコロス。
当然の帰結に涙目になりながらくるりと来た道へと体を方向転換。
どたどたと大ナタを片手にこちらへと手を伸ばすクマを置いて、全力で駆け出した。
「いやすぐ帰りますんで何も見てないんで」
「アぉぉぉぉぉ!!」
「帰すわけないですよねですよねえええ!!? 逃げっ切るっっ、黙ってやがったあのウサギ絶対締める!!!」
あのウサギの仲間だろうか?というかこんな怪物飼ってやがるウサギがマトモなわけが無い。つまりどっちもヤバイ
ぜぇはぁと脇腹を押さえながら死にもの狂いで足を動かす。
運動不足には辛いが四の五の言ってられない。どたどたとした足音は後方からまだ響いている。
「そりゃ、ここまで階段あったとは、いえ一本道…、だしなっ。くそっ、足遅いとはいえいつまでも逃げらんねぇしっ」
地理も体力も相手の方が上手なのだ。こんなんどうしろってんだよっ
あんなガキなんて見捨てりゃ良かったんだ、そもそも何で俺は此処に…。
荒い息のまま愚痴っていると、視線の先から光が見えた。
今まで暗い廊下を走っていたから眩しさに目が眩むし痛む。だがそれよりも安堵と希望の方が大きい。
「おっしゃっこれでっっ……、なっ、あれは――」
出口と思われる光の前にそれを遮るように立つ人影。
特徴的な耳の影、腹と頭の部分だけ横幅のある特徴的なフォルム。
くっそ何でウサギがそこに立ってんだよっ
そりゃそうか、ウサギは遊園地の頭の可笑しい園長だろうし、イカレタ怪物の飼い主だろうし、物理的に証拠隠滅させようとしてんだ。1本道の出口で待ち伏せなんて手馴れてるに違いない。
この道はダメだッ
一瞬足を止めて後ろを振り向く。
「アぉぉぉぉぉ!」
「こっちはもっと無理だああ!!」
まだ姿は見えないが後方から聞こえる重層音にもう一度前を向く。
もう一本道しかないのだ、ここを突っ切ってウサギを抜けるか後ろの怪物クマを倒すかしかない。
実質一択である。
やるっきゃねぇッ、ウサギどけ!!
「あ、お客さん待ってたんすよー……って、何で飛び上がってドロップキックぅぅぅ!!?」
「さっさと死にさらせええ!!」
「うええええ!!?」
両手を振り回すウサギを無視して全力でドロップキックを繰り出す。当たった足裏の反発が微妙にぷにょんとしてたのがキモイが命掛かってるのだ。無視だ。関わってる暇はねえ。
ウサギを文字通り押し倒して道を確保。よし!何とかそのまま外に出れたようだ。
横で転がっているウサギを放置して駆け出したいが、着地を失敗してしゃがんでしまう。
ようやく笑う膝に力が戻って立ち上がろうとした途端、足首を強く握られた。
「いっ! ウサギ止めろ離せって!」
足首を見ればウサギが凄まじい力で掴んでいた。
無理、殺られる
「いや、いきなりのドロップキックの謝罪を貰うまで離さないっすよおお」
「俺を怪物に食わせて証拠隠滅しようとしたことよりも可愛すぎるもんだろっ」
「怪物? お客さん何言ってんすかー? そんなもんいる訳ないじゃないっすかー☆ あ、ビビッて落っこちて頭打ったからっすかね? ぷーくす」
「こいつむかつくわあああ!!」
てんやわんやである。というかこのウサギの様子、本当に城の地下に拷問部屋が作られてて怪物が住んでるって知らないのか? そんなことあるのか? というか何よりもまずこいつムカつき過ぎて蹴り飛ばすだけじゃ足りねぇ
「ウサギマジで知らねぇのか? まぁお前って頭可哀そうな間抜けウサギだもんな。だったら逃げるぞ、後で説明してやっから」
「甚だしく不本意な発言が! お客さんそんなこと思ってたんすね!? というかお客さんさっきから何を慌てて」
げしげし蹴ってた足を止めて、動きの鈍いウサギを足首に捕まらせながらズリズリと引きづる。おっもい。さっさと自分で動けよ。
「だから怪物が城の中にだな――」
「アぉぉぉぉ!!」
「ほら来たウワサしちゃったからもう嫌だ早く逃げるぞ!!?」
「怪物って、へ? うひゃ、うひゃひゃひゃ」
「ついにイカレたかウサギ。分かった、お前の健闘は無駄にしない。信じないままそのまま其処に居てくれていいからさっさと手を離せやおらあ!?」
「うひゃひゃ、怪物って、うひゃひゃひゃ」
「アぉぉぉぉ!」
「カオス!! もう来た無理だ!?」
少し離れた出口から出たのは2m半近い巨体。大ナタに黒い飛沫の飛んだエプロンを着たウサギの様に狂気の笑顔固定のクマ。月明りに照らされ先程よりもくっきり見えるせいで余計に恐怖の権化である。
ウサギはまだ足元で地面をバンバン叩いて笑い転げている。足首はそのまま掴んだままだ。
まだ少し距離はあるがこんなの五秒も掛からず捕まるだろう。
やはりこのイカレ間抜けウサギのせいで死ぬのだ。せめて俺だけでも逃げたかった。
呻きと共に頭を押さえて蹲る。諦め全開だ。せめてひと思いにやって欲しい。
「うひゃひゃひゃふぐっっ、げっほごほっ」
「うっるせぇな!? 死ぬ前くらい静かにしろよ!? つかウサギのせいで死ぬんだけど!? むせんじゃねええ!」
「ひー、いやぁお客さん笑かしてもらったっすわー。ほら、もう一回よく見るっすよー☆」
「ああ? 何言って」
そう言って倒れたままのウサギが指差す方を見る。
こっちをじっと見る怪物処刑クマがいる。
確かに様子見してるのか何故か動かねぇが…
油断無く観察していると、怪物クマが大ナタを持った腕ごと両腕をあげた。
「アぉぉぉぉ!」
「ひぃぃ! やっぱ無理だぞウサギぃぃぃ!!?」
「もー、お客さんじっと見過ぎっすわー☆ ほら、クマ子ちゃんが顔隠して照れちゃってるじゃないっすかー☆ あ、クマ子ちゃんこのお客さんの看病ありがとうっすよー☆ 心配して持ち場外まで来てくれて悪いっすね~。後はやっとくっすー☆」
「いやいやいや照れてとか……え? いや顔隠してとか…え? 看病…、え? 心配、ええ?」
「うひゃひゃひゃ、お客さんテンパり過ぎがウケふげっふ!!痛い!」
「とりあえずウサギは死に晒せ!!」
どしどしと本当に背を向けて去り行く巨体。
意味が、分からない。え? マジで俺は看病されてたの?心配で付いてきてたの?確かに両腕で顔隠してたけど照れてたの?というかクマ子ちゃんて中身メスなの?
「いやいやいや無い無い無い。だってあの鳴き声と巨体は人間じゃねぇだろ」
「もーお客さんそんなこと言ったらクマ子ちゃん泣いちゃいますよー? 女の子にそんなこと言うなんて最低っすわー。これだから非モテ顔のお客さんはー」
「うっせぇ!?」
「よく聞いたらあのーって呼びかけてたり居たー!って言ってたっすよー?ちなみにラストのはきゃーってとこっすねー☆ まぁ中身と外見が合ってないからというか、声が籠って何層にも聞こえちゃうから最初は全部同じ様に聞こえちゃうんすけどねー。悲鳴上げてたらもう少しびっくりした感じでアオーって叫ぶっすー。あ、恥ずかしがりやのクマ子ちゃんの中身は調べようとしちゃダメっすよー☆」
「誰も調べねぇわ!? いや、でも大ナタはどう説明すんだよ、明らかに拷問部屋らしき所で物体切り刻んでたぞ!?」
未だに信じられない、というか信じたくねぇとか思ってたら立ち上がったウサギがチッチッチと人差し指を立てて振る。やっぱり折られたいんだなコイツ。
「もービビりのお客さんはすーぐ勘違いするんすからー☆ お客さんが寝てたとこは城内にある臨時の救護室なんすけど、お客さん頭打ってたから動かし辛かったんすよねー。(いやぁ、邪魔でしたわぁ。)僕も城内でやる仕事ありましたし☆ 困ってたら料理の下拵え中だったクマ子ちゃんが近くの部屋で作業しながら見ててくれるって言ってくれましてねー☆」
「おい聞こえてるからな。じゃあ何だ、あの猟奇的でスプラッターな場面は下拵えって言い張るわけか?」
「まぁクマ子ちゃんの料理はザ・男飯って感じで野性味たっぷりな見かけっすしねぇ。魚の頭丸っと鍋から出ること多いですし☆あ、でも吐きそうなほど美味いっす☆」
「いやそれ不味くね!?」
「またまたぁ」
「何がだ!? つかいらねぇだろ料理。帰れよ家に」
「またまたぁ。僕ここの園内に住んでますし☆」
…は? じゃあこのウサギマジで24時間丸一日ずっと園内で働いて…
「ひぃ、今一番ぞわっとしたわ。もう潰れてんだからそんなに身を粉にしなくてもいいと思うぞ…? ほら、ウサギみたいな働き者ならその頭の可笑しさ隠せばどっかでやり直せるって」
「ちょ、何すか急に優しくなって!? むしろ心外というか傷付くんすけど!?」
「ほら、俺もちょっとくらいは手伝ってやるから」
「その生温い目を止めるっすよ!?」
地団駄を踏むウサギから三歩離れていると、ふと思い返す。ん?それなら拷問部屋って最初からあったというか、ウサギも知ってたってことだよな。何でそんなもんが城の地下に必要なんだ?
まぁ率直に聞いた方が早ぇか。
「なぁウサギ、何で拷問部屋が城の地下にあるんだ? いらなくねぇか? そのせいで変なウワサ立てられてんぞ」
「チッ、お客さんも変な所は気付くんすねー。これだからデリカシー無し男は…痛い痛いギブっすー!」
「懲りろやコラ」
「うう、益々凶暴に…、マスコット☆ラビットくんの貞操の危機っすよくすん。まぁ有り体に言えば」
「100万積まれてもいらねぇわ。有り体に言えば?」
「趣味で集めちゃったの置いてまっす☆ いやぁ、最近のネトオクって山の上まで来てくれて便利っすよねー☆」
「お前がやっぱ遊園地潰してんじゃねぇかー!!!」
「失敬な、給料の範囲内っすのにー」
やっぱな、やっぱこいつが職場への報復で遊園地潰したんだな。こええわ!
つか趣味が拷問グッズ集めな時点でヤバいっつーかこええわ!!
レプリカ? 高い? 知るか!
「いやでもあのクマ明らか人間離れしてた気がすんだが」
「もー、お客さんクマ子ちゃんに言っちゃダメですからね~。あ、そういやお客さんアレはいいんすかー?」
「アレ?」
何だ?と首を疑問に思いながらウサギが指す方を見ると、遠くの方にガキがのんびりと歩く姿が見えた。
忘れてたが舐め過ぎだろおいい
「クッソ舐めやがって、おいウサギ行くぞ! 捕まえたら一発拳骨しなきゃ気が済まねぇ」
「きゃー凶暴ー。お客さん無理っすよ諦めやしょうよー。それに最後の行き先は観覧車って決まってるんでそんな鼻息荒くしなくても~」
「お前はもう少しやる気を見せろ」
終いには両手を頭の後ろで組んでのんびり歩くウサギを後ろから発破かける羽目になった。
場所をウサギしか知らないのを笠に着やがって…。
その間にもガキはいなくなるし…、観覧車に居なかったら流石に帰るぞ。
いるいる詐欺に何度もひっ掛かってるので、どうせまらホラだろと若干疑いつつ、ウサギのケツを蹴ろうとしては避けられる男であった。
お待たせしました☆次は観覧車とあいなります~☆
知ってるかい?これ、数年前の夏ホラーの企画なんだぜ…?
(まだ完結していないホラー!!!)←