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1消えたこども

 

「うわぁ…」

 

 俺は思わず呟いた。

 真夜中の人気のない遊園地が目の前に存在する。

 そりゃそうだ、自分でここまで来たのだから

 とはいえ風が吹くたびにきぃきぃと錆びた錠前や梢が鳴らす音はとんでもなく不気味だ。


「これ入る所無ぇよな…、あいつらには行ったって写メだけ送ればいっか」


 3年前に閉園になった遊園地「裏野ドリームランド」

 茶色い錆びが這っている看板には、マスコットと言うには何とも目がイッてる感満載のピンクウサギが笑っている

 まぁ子供だったから変に大きなマスコットにびびってたんだろうけど、やはり今見ても不気味だ


 肝試しでつい煽られてここに来ちまったが、正直夏の夜にしては肌寒いぬるさに、もう帰ろうという思いしか湧かなかった。

 さっさと写真撮るかと腰のポケットに手を突っ込む

 スマホを取り出したところで後ろからたったっ…という砂を蹴る軽い足音がした。


「なっ…」


 慌てて振り向いた横を、野球帽を被った小さな少年が駆け抜けていく。

 一瞬冷えた肝は、今度は呆気へと変わる。


 そうこうする間に、子供はそのまま体を斜めにして小さな隙間から園内に入っていってしまった。


「は? おいちょっと待てっ!」


 頭には裏野ドリームランドの七つのウワサが頭を過ぎる


 『あの遊園地ってさ、たびたび子供がいなくなるんだって』


 スマホを見れば夜の11時、明日は土曜とは言えこんな時間に小学生が一人でいていい時間じゃない

 周囲を見渡すが親らしき存在は見当たらない

 

「まじかよ」


 つい不法侵入しようとしていた自分を棚に上げて頭を抱える 

 目の前には笑いながら見下ろす不気味なウサギ、もといマスコットの看板

 うーあーと迷う

 秘密基地にするには危険な場所だ

 見上げると真っ暗な入口、街頭に照らされた鉄の門扉

 迷って迷って、結局意を決して子供が潜り込んだ隙間に身を滑り込ませるのだった。

 あのクソガキ、捕まえたら絶対叱ってやる


「つーか狭っまいな!」


 ぶつくさ文句を言ってると、風に吹かれたチラシがピラりと音を立てて捲れた。

 目に入ったその文字が、妙に俺の頭に残った。




 さあ ようこそ! 裏野ドリームランドへ☆






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