おさんぽ大好き ⑥
「それでは五月先生、連載の続き、またお願いします」
「はい、お任せを」
オオムラさん、お帰りです。
メイトさん、何やらオオムラさんに耳打ちします。
「なんだ? メイド、内緒話か?」
「ごしょごしょ……五月様宛のファンレターは来てないですか?」
「あー、あいにくですが、それはまだです」
「何があいにくなんだ? メイド、変なことオオムラくんに頼むんじゃないぞ」
「頼みごとなどしておりませぬ……」
「オオムラくん、メイドの言うことなど無視してください」
「五月先生、そんなんじゃないですよ、ふふ」
「そうか? 怪しいなぁ……」
チャリーン……。
ワンワン、ワンワン、キュィ〜ン……。
オオムラさん、鍵を落としてしまいました。
「ごめんごめんチロ。びっくりしたね、うちの家の鍵だよ」
「まずいな」
「はい、まずいでございますね」
「え? まずい?」
ワンワン、ワンワン、キュィ〜ン……。
「今日はオオムラくんに頼もうか」
「そうでございますねぇ」
「な、何をですか?」
「実は……」
実は、チロさん〈ぽ〉に反応するだけではないのです。
リードにつけている鑑札と鎖が当たって鳴る金属音が、おさんぽのサインだと思っているのです。
それと同じような音でした。
チロさん、もうお散歩モード全開です。
「えぇーっと、みんなで行きませんか?」
「そうでございますね。オオムラさんを駅までお見送りいたしましょう」
「ん」
「あのぉー、僕にリード持たせてください」
オオムラさん、恐縮至極のご様子です。
チロさんはというと、賑やかなお散歩にとっても嬉しそうです。




