おさんぽ大好き ⑤
まる丸出版のオオムラさんがいらっしゃいました。
ピンポ〜ン……。
ワンワン、ワンワン……。
真っ先にチロさんが反応します。
興奮して玄関へダッシュしていきます。
チロさん、誰も〈ぽ〉は言っていませんよ。
ピンポーンですよ……あ、〈ぽ〉ありますね。
お客様大好きチロさんです。
「あ〜い、ただいま」
「こんにちは、メイドさん。チーロ、元気だったかい?」
「五月様ぁ〜、オオムラさんいらっしゃいましたよぉ〜」
「ほいほい、いらっしゃい」
ワンワン、ワンワン、キュィ〜ン……。
チロさん、オオムラさんの足元で連続ジャンプです。
「五月先生、これ、親戚が送ってきたものですがどうぞ召し上がってください」
「ほぉ、ありがたい。いただきます」
「さくらんぼです」
「あ……」
「あ……」
「あ?」
「あ、五月様大丈夫でございます。〈ぼ〉です」
「うむ、セーーーフ」
「ぼ?」
居間へ移った途端、チロさんはオオムラさんの膝の上で寝息をたて始めました。
「ジャンプしすぎて疲れちゃったんですね」
「申し訳ない」
「いえいえ」
チロさん、オオムラさんの撫でる手が心地よさそうです。
「ところで、さっきの〈ぼ〉ってなんでしょう?」
五月先生が説明しました。
「そういうことでしたか、さん……」
「言ってはいかんっ!」
「んぐ……」
「セーーーフ」
そのあとのお二人の会話は、なんだかぎこちないものでした。




